2020年03月09日
アイデアよもやま話 No.4585 脳波で意思を伝える装置!

昨年12月23日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で脳波で意思を伝える装置について取り上げていたのでご紹介します。

 

この装置「NOUPATHY(脳パシー)」を使用するうえで、事前に自分のやりたい選択肢と音を紐づけて記憶します。

そして自分のやりたい行動の音を頭でイメージしながら、モニター上で流れてくる音を数十秒聴くと、ターゲットの音に脳波が反応し、意思が伝わるという仕組みなのです。

この装置を開発中の株式会社電通サイエンスジャムの荻野 幹人さんは次のようにおっしゃっています。

「これはもともとALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者さんのために作ったものです。」

 

共同で開発に係わったのは、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病、ALS患者で一般社団法人WITH ALS代表の武藤 将胤さんです。

ALSが進行し、目も開けられなくなった時、最終的に残るのは、脳の機能と聴力だと言われています。

武藤さんは次のようにおっしゃっています。

「(ALS患者の)感覚や意識は正常なままなので、伝える手段、テクノロジーさえあれば、伝え続けられる未来をつくることも可能だと思うんですね。」

 

また、荻野さんは次のようにおっしゃっています。

「工学は医療ではないので、治療は出来ないんですけど、工学でも支えることが出来る。」

 

荻野さんは、今後ALSの患者だけに限らず、全ての人が脳波を利用出来る仕組みも作りたいと考え、次のようにおっしゃっています。

「朝起きて、勝手にトースターが起動してくれないかなと思ったら、トースターが自動的に起動してパンが焼けるみたいな、そういったところにも脳波計を着けてですけども、出来たらいいなと考えています。」

 

まだまだ研究段階なので、これから精度を上げるために開発を続けていくということです。

なお、ALS患者の武藤さんは、2020年1月に声帯の手術を控えており、そうなると自分の声で伝えることが今後難しくなってくるということですが、「ALSがいつか直る病気になる未来のためには、今の患者さんの生活の質をテクノロジーで支えていくことが重要だ」とおっしゃっています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した装置「NOUPATHY(脳パシー)」は、声や手足が不自由になってしまっても脳の機能は失わないALS患者さんが少しでも楽に暮らせることを目的とした、コミュニケーションの手段を提供するものだといいます。

 

その方法は、事前に自分のやりたい選択肢と音を紐づけて記憶し、その音を頭でイメージしながら、モニター上で流れてくる音を数十秒聴くと、ターゲットの音に脳波が反応し、意思が伝わるという仕組みだといいますが、うまく脳の特徴を生かした方法だと思います。

まだ研究段階ですが、少しでもALS患者など声や手足が不自由になってしまった方々のために早期の実用化が期待されます。

 

さて、脳波によるコミュニケーションは究極の伝達手段だと思います。

ですから、この研究が更に進んで行けば、伝達手段はいずれ声や文字から脳波へと移行することも夢ではなさそうです。

 

一方で、アイデアよもやま話 No.2997 人工知能のもたらす未来像 その3 2045年にはプライバシーという概念がなくなる!?でもお伝えしたように、もし個人の脳波がガラス張りになった場合、プライバシーは崩壊してしまうので、恐ろしく住みにくい社会の到来をもたらす可能性を秘めていると思うのです。


 
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