2019年09月01日
No.4422 ちょっと一休み その684 『国際政治におけるロビー活動の重要性と弊害』

前回、No.4416 ちょっと一休み その683 『偽情報の溢れるネット社会に求められる報道と一人ひとりに求められる要件』でネット社会に求められる報道と一人ひとりに求められる要件についてお伝えしましたが、国際政治の世界においては必ずしも真実に基づいて物事が進んでいるとは限りません。

 

さて今、日韓の間で生じている元徴用工に関する賠償や日本政府の対韓輸出優遇見直しを巡る問題において、多くの国内の識者は日本政府の韓国に対する取り組みに理があるとしています。

しかし一方で、韓国は国を挙げてアメリカの政界や財界の主だった人たちにいかに日本政府の対応が酷いかを吹聴して回っているといいます。

残念ながらこうしたロビー活動が国際機関による決定に大きく影響を与えているのです。

 

ではなぜ、こうしたロビー活動が功を奏しているかと言えば、真実の情報が国際機関に係わる人たちにきちんと伝わっていないからなのです。

このような状況を反映してロビー活動が盛んに行われているのです。

ちなみに中国ではロビー活動に多くの資金を投入しているといいます。

一方、日本ではこれまでロビー活動をそれほど重視してこなかったといいます。

ですから、今回の日韓問題も両国のロビー活動への取り組みの度合いの差が勝敗を決するという可能性はゼロではないのです。

 

こうしたロビー活動が国際政治に大きく影響を与えている状況は決して好ましくありません。

なぜならば、ロビー活動に必要な資金力のある政党や国の言い分がまかり通ってしまう可能性が大きいからです。

 

ではどうしたらロビー活動の弊害を取り除くことが出来るでしょうか。

その対応策の一つとして考えられるのが国際機関の中に第三者機関として、特に国際的に大きな問題については問題ごとにその分野の専門家によるプロジェクトを編成し、客観的に何が真実であるかを世界中に発信していくことです。

その際、メンバー間で異論がある場合もそのまま公開するのです。

更に、こうした公開情報について世界中の人たちが自由に意見を言えるような場を提供するのです。

こうしてある問題について、専門家による真実と思われる客観的な情報をベースに世界中の人たちが自由闊達に議論が出来て、しかもそれらが全てガラス張りになれば、自ずと何がより真実に近いか、そしてどのような方向性で問題を解決すべきかということが見えてきます。

こうした場においては、従来のロビー活動もワンノムゼム(One of them)の意見として取り込まれるので弊害はほとんどなくなります。

 

もし、今こうした場が出来ていれば、今起きている日韓問題においても文大統領の言い分がいかに国際的な常識とかけ離れているか、そして自国の経済的な悪影響、あるいはアジアの平和を危うくしようとしているのかが日本の言い分としてではなく客観的な情報として公になります。

その結果、韓国の国民も文大統領の日本を標的としたなりふり構わない対応の真意が朝鮮半島の統一であり、次回の国政選挙における政権の維持にあることが分かり、いかに自分たちが文大統領に振り回されているかを自覚し、ジャパンパッシングは沈静化すると思われます。

 

なお、アメリカの政界では以前からロビー活動が盛んに行われているといいます。

そして、このロビー活動は国民に対する政党や政治家のイメージに大きく影響を与えているといいます。

しかし、そこには国際政治と同様の弊害があります。

ですから、国際政治だけでなく、国内政治においても同様の場が提供されることにより、より健全な政治活動が維持されると期待出来ます。

勿論、こうした場を提供することは、該当する各国の首脳や政権政党にとってはとても不都合な面があるので、消極的になると思われます。

しかし、長い目で見れば、真実をベースに考えることを基本とすることによってのみ、世界はより良い方向へと進むということを忘れてはならないのです。

 

ということで、国際政治や国内政治において、真実が報道されてこそ、より良い国民の暮らし、あるいは国際社会の実現、更には世界平和につながるのです。

そういう意味で、報道機関、あるいはジャーナリストの真実を伝える責任はとても重いと思います。

同時に、ネット上にはフェイクニュースも溢れていますから、そうした偽の情報に惑わされないようない国民の高い意識レベルも求められるのです。

 

さて、今回の日韓問題の発生により、韓国の国を挙げてのジャパンパッシングが止まらず、エスカレートしています。

その影響を受けて韓国から日本への観光客が激減しているといいます。

ですから今回の日韓対立のようにある国の間で対立が生じ、理不尽なパッシングが生じた場合、正当性のある側の被害を最小限に食い止める対応策が必要なのです。

例えば、具体的に大きな影響の出ている観光地を公開して、その地域に国内外を問わず、観光客に来てもらうようなキャンペーンを展開するというような取り組みです。

一方で、明らかに理不尽な対応をしている国に対しては、その国の商品に対する不買運動などを展開するのです。

このような対応策によって、世界中の多くの国からの支援により、被害が軽減出来るような状態が続き、一方で理不尽な対応をしている国への制裁が続けば、理不尽な対応をしている国の国民も目が覚めて、その国民の声が国の首脳をあるべき道へと軌道修正することにつながるのです。

 

ただし、こうした国際的な取り組みも行き過ぎるといろいろな弊害がもたらされます。

ですから、あくまでも正確な情報に基づいて、世界中の多くの人たちが自分の意志で善悪を判断して支援活動をするという枠組みが維持される必要があるのです。


 
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