2019年07月09日
アイデアよもやま話 No.4376 30、40代「貯金ゼロ」が23%!

3月6日(水)付け毎日新聞のネット記事で30、40代「貯金ゼロ」が23%と報じていたのでご紹介します。

 

SMBCコンシューマーファイナンスは3月6日、30〜40代の金銭感覚に関する調査結果を発表しました。

「現在の貯蓄額がゼロ」と答えた人が前年比6ポイント増の23.1%になり、平均貯蓄額も同52万円減の195万円に低下、同社は「景気回復が働き盛りの賃金上昇につながっていない」と分析しています。

貯蓄額の平均は30代が前年比4万円減の194万円なのに対し、40代は同120万円減の196万円でした。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

また、6月17日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中間所得層の減少について、日本総研 チェアマンエメリタスの高樫 進さんは「所得階級別の割合変化 60歳未満・男性」(出所:未来投資会議)を参照し、次のようにおっしゃっています。

「この25年ぐらいの間(1992年〜2017年)に年収300万円〜700万円ぐらいの中間所得層の割合が日本は減っちゃっているんですね。」

「で、その分ていうわけではないんですが、実は低所得層が増えているんですよ。」

「で、結果、こういう状況だと中々こういう人たちは貯蓄をしたくたって出来ないですね。」

「それから社会保険料も払えない人が出来れば、老後年金を受け取らない人も出てくるわけですよ。」

「ですから年金問題を考える時は、この低所得層の問題とか貧困の問題、こういうこともきちんと議論すべきだと思いますけどね。」

「(その他に就職氷河期世代と呼ばれる方もどうすべきか考えていくべきではという指摘に対して、)そうですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

一方、6月26日付けネットニュース(こちらを参照)によれば、国の2018年度の税収が60兆円超になることが6月26日に分かりました。

バブル期の1990年度(60.1兆円)を超えるのは確実で過去最高となります。

2018年度は世界経済が好調で株式の配当収入などが増え、所得税が伸びたといいます。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

また7月2日(火)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)では以下のように伝えています。

 

厚生労働省がまとめた2018年の国民生活基礎調査によると、1世帯当たりの平均所得は今年551万6000円と、前年より8万6000円減少しました。

所得が平均を下回る世帯は全体の62.4%に上り過去最多となっています。

また生活の状況について尋ねたところ、合わせて57.7%が“生活が苦しい”と回答しました。

厚生労働省は、“比較的所得が低い高齢者世帯が増加していることで、平均所得が減少したと見られ、低所得世帯への支援に引き続き力を入れたい”としています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これらの記事を以下にまとめてみました。

・30〜40代で貯蓄額がゼロと答えた人は前年比6ポイント増の23.1%で、平均貯蓄額も同52万円減の195万円に低下していること(SMBCコンシューマーファイナンス調べ)

・1992年〜2017年の25年間に年収300万円〜700万円ぐらいの中間所得層の割合が減り、その分低所得層が増えていること

・国の2018年度の税収が60兆円超になり、バブル期の1990年度(60.1兆円)を超え、過去最高となったこと

・1世帯当たりの平均所得は今年551万6000円と、前年より8万6000円減少し、所得が平均を下回る世帯は全体の62.4%に上り過去最多であること(厚生労働省による2018年の国民生活基礎調査)

・その理由は、比較的所得が低い高齢者世帯が増加していること

・約60%の世帯は“生活が苦しい”と回答していること

 

こうしてみると、国の2018年度の税収は過去最高となった一方で、中間所得層の割合が減り、その分低所得層が増えているのです。

また、30〜40代で貯蓄額がゼロと答えた人は前年比6ポイント増の23.1%で、平均貯蓄額も195万円に低下しているのです。

そして、1世帯当たりの所得(2018年)が平均を下回る世帯は全体の62.4%に上り過去最多であり、約60%の世帯は“生活が苦しい”と回答しているのです。

 

こうした状況から見えてくる光景は、景気が回復して企業の収益は上向きであるにも係わらず、その恩恵が従業員の所得に反映されず、一方で非正規雇用の割合は40%近くまで増加しているのです。

その結果、約60%の世帯は“生活が苦しい”という調査結果につながっているのです。

 

全ての世帯が“生活が楽である”と感じられる状況はあくまでも理想ですが、約60%の世帯は“生活が苦しい”という調査結果は国のあり方として是正されるべきです。

ではその具体策ですが、大きく3つのことが考えられます。

1つ目は、企業活動の活性化による収益の拡大です。

そのためには、企業が活動し易い環境を国や自治体が整備することが必要です。

同時に、特にベンチャー企業へのヒト・モノ・カネの支援が行き届くことです。

 

2つ目は従業員の所得向上です。

企業収益の向上が従業員の所得増につながるような仕組みが必要です。

同時に、今進められている「働き方改革」でも指摘しているように、正規雇用、非正規雇用に関係なくスキルや成果に応じた給与が支払われるような仕組みが必要です。

中間所得層の所得向上が消費を喚起し、それが商品の売り上げ増をもたらし、経済の活性化、すなわち経済の好循環につながるのです。

 

さて、財務省が昨年9月3日に発表した2017年度の法人企業統計によると、企業(金融・保険業を除く全産業)の「利益剰余金」、いわゆる「内部留保」が446兆4844億円と前年度比9.9%増え、過去最高となりました。

増加は6年連続ですが、9.9%増という伸び率はこの6年で最も高いのです。

こうした状況から考えると、企業は内部留保の一部を従業員の給与に回すようにすべきなのです。

 

そして3つ目は今急速に進んでいるAIやロボットなどの技術革新に伴う、雇用機会の減少を見越した制度設計です。

具体的には、国や自治体などが働いている、働いていないに係わらず全ての人に毎月必要最低限の生活費を支給する制度、ベーシックインカム(参照:アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!)の導入です。

 

日本は“少子高齢化先進国”と言われています。

また、格差化も進みつつあります。

しかし、救いなのは中国の追い上げはあるものの、まだまだ日本には競争力のある技術が残されています。

ですから、“少子高齢化”、および“格差化”の進行を見据えつつ、AIやロボットなどのテクノロジーを最大限に活用し、より多くの国民が心地よく暮らせる“持続可能な社会”の実現に向けて国を挙げて取り組む必要があるのです。

そして、このような“持続可能な社会”の実現は、そのまま世界各国への展開により多大な国際貢献につなげることが出来るのです。

 

さて、日本の現状は“縮み思考”に陥っていると言われていますが、日本には明治維新、あるいは戦後の復興という成功体験があります。

ですから“縮み思考”から脱却し、新たに“持続可能な社会”というこれまでの成功体験を大きく超えるような壮大な課題を国家目標に掲げるべきだと思います。

大きな目標設定は、達成は困難ではあるものの、国民のパワーを最大限に発揮出来るチャンスでもあるのです。


 
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