アイデアよもやま話 No.4243 外国人労働者受け入れ拡大の必要性!で少子化対策の必要性について触れました。
そうした中、昨年12月15日(土)付け読売新聞の朝刊記事でフランス・スウェーデンの少子化対策について取り上げていたのでご紹介します。
驚くことにお隣の韓国の合計特殊出生率(出生率)は2018年に史上初めて1.0を割り込む見通しだと言います。
ちなみに、出生率が人口維持に必要な2.0を下回ると「少子化」と定義されます。
更に、1.3前後まで落ち込むと危機的な「超少子化」と分類されることもあります。
世界でも例のない速さで進む少子化の背景には住宅や教育費が高いことによる、非婚・晩婚化があると言います。
更に歴史的な背景として、1970年代にかけての「漢口の奇跡」と呼ばれる高度経済成長に伴う人口急増を抑えるための出産抑制、および1997年のアジア通貨危機後の非正規職の増加があります。
こうした状況に対して、韓国政府は2006年に少子化対策の基本計画を始めて策定しましたが功を奏しておりません。
また、こうして全体の3割を占める非正規職の平均賃金は、正規職の半分程度と言い、経済格差が進んでいます。
さて、日本の少子化については以前から問題視されてきました。
具体的な数値として、日本の出生率は2017年、前年比0.01ポイント減の1.43でした。
韓国より高いとは言え、人口維持に必要な2.0前後を大きく下回る深刻な状況です。
経済発展に伴う少子化は先進国共通の課題ですが、出生率の低下に歯止めをかけ、反転に成功した例とされるのがフランスとスウェーデンです。
経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2016年の出生率はそれぞれ1.9でした。
日本の国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、出産・子育て支援を含む「家族関係社会支出」の対国内総生産(GDP)比(2015年度)は、日本の1.23%に対し、フランスは2.96%、スウェーデンは3.54%と高水準です。
両国とも、自治体や民間を中心とした保育サービスの充実、男性の出産・育児休業の推進といった施策を通じ、仕事と家庭の両立支援に早い時期から力を入れてきました。
フランスでは「連帯市民協約」(事実婚)、スウェーデンではサムボ(同棲)といった制度があり、多様な家族のあり方が認められています。
結婚が出産の大前提にあり、晩婚化や非婚化が出生率低下に直結する日韓とは異なります。
移民が多いのもフランスやスウェーデンの特徴です。
以上、記事の一部をご紹介してきました。
日本ではまだまだ結婚が出産の大前提であるということは間違いありません。
一方で、結婚したからと言っても、子どもは産まないで二人だけの生活を楽しむという夫婦のライフスタイルも否定出来ません。
夫婦のかたちはそれぞれ認められていいと思います。
しかし、極端なケースとして出生率がどんどん低下していき、日本の国の人口が1000万人程度まで減ってしまうようなことがあっていいでしょうか。
反対に、出生率がどんどん上がっていき、日本の国の人口が5億人とか10億人にまで膨れ上がってしまってもいいのでしょうか。
多くの日本国民はこうした状況を望んでいないと思います。
少子高齢化の進む中で、子どもが欲しくても経済的、あるいは時間的な余裕のなさから子どもを産むことを諦めてしまっている夫婦もあるといいます。
ですから、問題はこうした夫婦が子どもを授かっても安心して暮らしていけるような制度や支援を受けられるような仕組みをどのように構築するかです。
現実として、国や地方自治体ではいろいろと工夫を凝らして取り組まれております。
しかし、遅ればせながらですが、まず必要なのは“持続可能な社会”を大前提にした日本国民の数はどの程度が妥当かという議論を関連する専門家に進めていただくことだと思います。
次にその結果を受けて、その数字に近づけていくための対応策を検討することです。
そこで参考にすべきなのが、今回ご紹介したフランス・スウェーデンの成功事例というわけです。
勿論、国民性や文化の違いがあるので、全ての対応策を真似るというわけにはいきません。
日本の国民に合った日本独自の取り組みもあるはずです。
いずれにしても子ども、第一線で活躍する若い世代、そして高齢者の世代の人口バランスがよく、その上で一人ひとりが心地よく暮らしていける社会こそが健全な社会、あるいは国だと思うのです。