昨年来、外国人労働者の受け入れ政策について国会の場で議論が進められています。
そうした中、昨年10月24日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で外国人労働者の受け入れの背景について取り上げていたのでご紹介します。
外国人労働者の受け入れについて、臨時国会での議論をもっと深めて欲しいという、番組の解説キャスターで日経ビジネス編集委員の山川
龍雄さんは以下のデータを掲げて、その背景について解説されました。
生産年齢人口 名目GDP (出典:総務省 内閣府)
(15〜64歳)
1975年度 7584万人 152兆円
2017年度 7596万人 548兆円
年齢別人口 (出典:総務省 2017年時点)
0歳 96万人
1歳 100万人
2歳 96万人
68歳 217万人
69歳 213万人
70歳 201万人
「1975年度と2017年度の生産年齢人口はほぼ同じ水準で、そのくらい人口は減ってきている。」
「では名目GDPについて、当時(1975年度)に比べて2017年度は3倍以上、ですから一言で言うと、日本人は頑張っているんですよ。」
「現役世代はさぼっているわけではないということがまず1点。」
「それからもう1点、よく言われる少子高齢化です。」
「衝撃的なデータだと思うんですよね。」
「団塊の世代の方の人口は200万人台、それに対して今生まれている子どもの数は100万人を切ってきているということで2倍なわけですよね。」
「もう現実の問題として、介護も日本人だけでは回っていかないという時代がすぐそこに迫っているんですね。」
「経済学の中で最も予想し易いのが人口動態なんですよ。」
「ですから、確実に来る未来を前提にして、どれだけ今回の臨時国会で深められるか、期待したいですね。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
なお、外国人労働者受け入れの拡大については、昨年10月29日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でも番組コメンテーターでクレディ・スイス証券
チーフ・マーケット・ストラテジストの市川 眞一さんが次のようにおっしゃっていますのでご紹介します。
「今後、将来人口推計国立社会保障人口問題研究所によると、50年間にわたって日本は人口が年間64万人ずつ減っていくと。」
「これは1.1%ずつ率にすると減っていくわけで、これにどう対応していくかという問題があるわけですね。」
「その一方において、外国人技能実習制度という制度がありまして、今これで28万7000人くらいの方が日本で実習という名で、実はいろんなところで労働力不足を埋めるような仕事をしておられる。」
「ですから、こういった技能を持った方たちを今、最長5年しか(日本に)いられないんですけども、いかに日本に残っていただいて、それを労働力不足につなげていくのか、ないしは、例えば税金や社会保険料を納めていただくのか、そういったことを考えていくべき時期に来ていると思うんですね。」
「(あとは、日本で技術を学んだ方が日本を去った後、近隣の国に即戦力として使われているという、非常にもったいない状況であるという指摘に対して、)そういった意味も含めて残って頂くような仕組みが一定の・・・」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
まず、長期的な観点で生産年齢人口が大幅に減少する今のような状況は、年金や医療、介護などの制度を危うくします。
しかし、山川さんの指摘されているように、人口動態は予想し易いのですから、ここまで状況が逼迫するまで対応をおろそかにしてきた国の責任は重いと思います。
そこで短期的な対応策としては、やはり外国人労働者の受け入れだと思います。
そして、中長期的な対応策としては、以下の3つが考えられます。
・安心して子どもを生んだり、育てたり出来る環境の整備
・人に代わって作業するロボットやAIの開発
・生産年齢人口の増減に影響を受けないような年金や医療などの制度改革
特に、安心して子どもを生んだり、育てたり出来る環境の整備は基本的人権にも係わる大きな課題だと思います。