2018年06月21日
アイデアよもやま話 No.4048 健康診断の結果の提出だけで保険料が割引に!?

3月20日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で健康診断の結果の提出だけで保険料が割引になるというプランについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

第一生命が3月20日に健康診断の結果の提出だけで保険料が割引になるというプランを発表しました。

一見、会社側が損をしそうですが、なぜこのような保険をつくったのでしょうか。

第一生命は、KSW(診をっかり受けて引に)という検診割を生命保険業界で初めて導入すると発表しました。

保険を契約する時に健康診断の結果を提示すると、保険料が割引きされるのです。

番組のディレクターが昨年秋の診断結果を見せたところ、2割程度保険料が割引になると第一生命に評価されました。

血圧や血糖値など3つの項目の結果が良い場合は最大2割引き、とここまでは不思議ではありません。

ところが、今回は基準ではメタボに該当してしまう検診結果が出た別のディレクターも基本割引が適用出来るので1割ほど保険料が割り引きされるといいます。

例えば45歳の男性では、月額でおよそ2100円、10%程度の割引になります。

健康診断の結果に係わらず保険料を割引するその理由について、第一生命保険 商品事業部の奥 知久さんは次のようにおっしゃっています。

「検診を受けていただくことによって、自分の数値を見て、良くなかったなとなれば、健康意識が変わっていって、日々の行動が良くなっていく。」

 

1千万件以上の過去の事例を分析したところ、検診を受けている人はいない人に比べ、病気や死亡により保険金が支払われる確率が1〜3割少ないことが分かったのです。

昨年から医療保険を始めとして運動や健康への取り組みを保険料に反映させる商品が次々と現れています。

4月から生命保険の保険料率を決める基となる死亡率が下がり、各会社が保険料を安く出来る環境になったことも背景にあります。

番組コメンテーターであるモルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザーのロバート・A・フェルドマンさんは次のようにおっしゃっています。

「どの国の医療制度を見てもやっぱり高齢化より単価と保険のインセンティブが問題になっているということが言えると思いますね。」

「日本の場合、国民1人当たりの単価は、2005年度の25.9万円から2015年度の33.3万円まで7.4万円上がっているんですよね。」

「これ結構大きいですよ。」

「28%上がって、物価上がっていないのにこれだけ上がっているんですよね。」

「理由はいろいろありますけど、大きいのは今の健康保険制度では特に個人が単価を抑制するインセンティブがかなり弱いんですね。」

「そうすると、今の新しいような保険、インセンティブが広がれば、予防の医療も広がり、健康寿命、労働寿命も長くなり、日本経済の持続性に貢献すると思いますので、嬉しいですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した、健康診断の結果の提出だけで保険料が割引になる健康保険のプラン誕生のきっかけは過去の事例の分析結果といいます。

1千万件以上の過去の事例を分析したところ、検診を受けている人はいない人に比べ、病気や死亡により保険金が支払われる確率が1〜3割少ないことが分かったことが新プラン誕生につながったのです。

まさにビッグデータの分析のお蔭なのです。

 

以前、アイデアよもやま話 No.3587 AIの活用事例(2) その5 AIのスポーツへの活用!でデータアナリストについて触れましたが、今後様々な業界でビッグデータをもとにAI(人工知能)を駆使したデータアナリストの分析結果を参考に、新しいビジネスが誕生してくると思われます。

 

そして、こうしたビッグデータ源として、今回ご紹介した健康診断の結果のようなデータはとても貴重になります。

このようにビッグデータの中には重要な個人情報も含まれるので、厳重なデータ管理が求められますが、一方で膨大なデータの集合体であるビッグデータの分析により、従来の勘や経験などに比べてはるかに正確な定量的なデータに基づく新規ビジネスのアイデアを考えることが出来るようになるのです。

 

ということで、ビッグデータの整備、および今後続々増えていくと思われる優秀なデータアナリストの誕生が企業にとっても私たち消費者にとってもメリットのあるサービスを生み出していくと大いに期待出来ます。


 
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