4月11日(水)、4月12日(木)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で 福島第一原発事故を巡る裁判について取り上げていたのでご紹介します。
福島第一原発事故を巡り、東京電力の元副社長など旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されています。
裁判では事故の9年前、政府の地震踏査研究推進本部が福島県沖で巨大な地震が起きる可能性を示していたことから、事故を予測出来たかどうかが争われています。
4月10日に東京地方裁判所で開かれた5回目の審議で、当時東京電力で津波対策を担当していた社員が証言しました。
事故の9年前の2002年には、政府の地震踏査研究推進本部が福島県沖で巨大な津波を伴う地震が起きる可能性を公表していて、社員は“権威のある組織の評価結果であることなどから想定の見直しに取り入れるべきだと思った”と証言しました。
そして、この見解をもとに巨大な津波が来るという想定を事故の3年ほど前の2008年6月に武藤元副社長に報告したものの、7月になって“更に時間をかけて専門の学会に検討依頼する”という方針を元副社長から告げられたと説明しました。
この時の心境について、社員は“津波対策を進めていくと思っていたので予想外で力が抜けた”と証言しました。
4月11日の法廷では、津波への対応が保留になったことを外部の専門家に説明したところ、複数の専門家から“「推進本部の見解を無視するなら証拠を示す必要がある」などと厳しい指摘を受けた”と証言しました。
その一方で、東日本大震災で実際に巨大な津波が起きたを問われると、“あの日の津波は更に大きいもので、自分たちが想定していた津波と違っていた”と述べました。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
そもそも万一原発事故が起きた場合の影響は計り知れないほどの大きさになるということは、広島や長崎での原爆投下による想像を絶するような甚大な被害からも容易に想像出来ます。
ですから、原発を稼働させる電力会社の経営陣は、原発事故リスクについてどのような原因が考えられるか、そして万一事故が起きた場合の影響範囲、あるいはコンティンジェンシープランなどについて十分な検討を重ね、必要な対応策をしっかりと実施しておくことが求められるのです。
ところが、番組によれば、事故の9年前、政府の地震踏査研究推進本部が福島県沖で巨大な地震が起きる可能性を示していたことに十分な関心を示さず、更には事故の3年前の社員の報告に対しても保留していたという事実は、まさに原発の“安全神話”を信じていたとしか思えません。
福島第一原発事故の被害については、一つ間違えば首都圏全域にも被害を及ぼしかねなかったという専門家の指摘もありました。
もし、当時の経営陣がこうした地震や津波と原発事故との関連情報に真摯に向き合い、原発事故のリスク対応策に取り組んでいれば、東日本大震災での巨大津波による福島第一原発事故の被害は実際の被害よりもかなり低く抑えられたはずです。
更に、アイデアよもやま話 No.2595 小泉元総理発言にもあるように日本は”脱原発”しかあり得ない!などでもお伝えしたように、原発周辺住民の反対、核廃棄物の保管場所が未定であること、あるいは事故リスクを考慮した場合の投資対効果などの理由から“脱原発”を推進すべきだという声が以前から出ています。
一方、再生可能エネルギーの中でも太陽光発電のコストは劇的に下がってきています。
こうした状況を踏まえて、政府は今後のエネルギー政策を十分に検討していただきたいと思います。