2013年10月30日
アイデアよもやま話 No.2595 小泉元総理発言にもあるように日本は”脱原発”しかあり得ない!
今まで何度となく”脱原発”の必要性についてお伝えしてきました。
そうした中、最近小泉元総理が公の場で”脱原発”について発言されており、あちこちのテレビのニュース番組でその内容を断片的に取り上げていました。
私は小泉元総理は全体としてどのような内容を話していたのか知りたいと思っていたところ、10月20日(日)放送の「週間 BS−TBS報道部」(BS−TBSテレビ)でその全容を放送していました。
 
そこで、まず10月16日に千葉年木更津市で行われた小泉元総理による講演会の全容について、番組を通して以下にお伝えします。
「総理大臣の時代はCO2を削減しなくてはいけない、地球温暖化の問題もある、石油の依存度を下げていかないと、また石油の値段が上がった場合どうするのか、そこで原子力というのはCO2を出さない、安全である、太陽光とか風力とか石炭火力とか、様々なエネルギー源に比較してもコストが一番安い、そういう専門家の話を信じていました。」
「しかし、あの福島第一原発事故、その後の様々な問題を考えてみるとこれは日本でこのまま原発を推進していくのは無理だなぁと感じ始めました。」
「自分なりに勉強して資料を見ていくうちに、これは今までの専門家の説明はおかしかったんじゃないのかなと、そういう中で今経済界のみなさんとよく話し合いをするんですけども、だいたい現在でも原発を生産している会社は勿論そうでないいわゆる実際の生産の現場で収益を上げなければいかんという経営者の話は、「原発ゼロなんて無理だなぁ、原発ゼロなんていうのは無責任だ。」という声が強いですね。」
「しかし、それは私なりに勉強した結果、そうではないと、私は日本国民、日本国の企業の環境に対する努力度合いは実にするどく強いと、政治が決断すれば原発ゼロでもやっていけるという私の考えの中でじわりじわりと固まってきたもんですから、かなり前から震災が起こった時から原発はゼロにすべきだということで原発ゼロの主張を展開して講演を頼まれた場合には私個人の意見として日本は原発ゼロで十分経済成長出来る、また日本企業はその力があるし、国民の協力度合いも強い、原発ゼロの方向を打ち出すべきたという主張を展開しているんです。」
 
「原発を稼働させれば必ず廃棄物が出てきます。」
「放射性の廃棄物、この最終処分場を今世界でただ一国、フィンランドが建設しているんですね。」
「8月、フィンランドのオンカロ(放射性廃棄物の最終処分場)に視察に行ってあらためてこれは日本は原発ゼロにしなきゃいかんなとという確信を持ちましたね。」
「フィンランドは岩盤で出来ている国ですよ。」
「地下400mまでバスに乗っていき、もう完成したのかと思ったらそうじゃない、もう1回審査があり、この審査を通過しないと完成だとはいえないんだと。」
「岩盤といえどもどこに水が漏れているかないかということを調べなきゃいかん。」
「これをよく調べないと10万年という期間、この核のゴミが安全に管理されるか保証出来ないからそいう審査が待っているんだと。」
「日本がね400m地下掘ったら水が漏れてるどころじゃないですよ、温泉出てきますよ。」
「しかもね、フィンランドは地震がない、このような状況を見てやっぱり原発は必要だと、この論理で国民を説得することは出来ない。」
「むしろ増々ゼロにすべきだということならば説得が可能だと思いましたね。」
「放射性廃棄物、放射性というのは色がない、においがない、だから目の前に放射性を置いたって分かんないんです。」
「ところが、高性能の放射性レベルに近づいて30分いれば死ぬとかですね、障害を受けるのは分かっている。」
「だから、このオンカロの核のゴミを10万年保管しなきゃいけないんでこれを将来の人類に理解してもらうのはどういう方法がいいかということに対して今悩んでいるんだと。」
「なぜか、人間というのは好奇心が強い、ここに近づいてはいけないというと必ず近づきたくなる、そういう性質を人間は持っている。」
「だから、このオンカロに近づいてはいけない、また何が保管されているのか掘り出してはいかんという文字をどういうふうにすればいいのか、まして千年、万年、人類はどう変わってくるか分かりませんよ。」
「言葉というのは変わるんですから、日本語だってしょっちゅう変わってきますよね。」
 
「原発ゼロにしようという一番の理由は処分場がないということですよ。」
「どんな原発でも電気を供給する過程で放射性の廃棄物が出る、それをきっちりと危険のないように保管する場所がどこにもないんです、日本には。」
「そういう核のゴミをね、捨て場所もないのにこれから仮に原発がいくつかこれからの電気に必要だからと言って再稼働を認めたとしてもですよ、ゴミはどんどん増えていくわけですよ。」
「今まで54基分の原発が稼働して電気を国民に供給した、その過程で出た核のゴミには未だに1ヶ所も処分場が出来ていない。
「これはね、政治の怠慢と言えば怠慢なんだけれども同時に多くの国民がやはりね、放射性の廃棄物から出るゴミ、これは様々な悪影響があるということが分かっているからこそ根強い反対とか抵抗がある、その方が処分場が出来ない理由ではないかと思っているんです。」
「確かにね、この日本は地震国で津波もある、そういう処分場を作ったってフィンランドのように岩盤じゃないんですから10万年じゃなくたって100年後だって分かんないですよね。」
「こういうことを考えて、私はフィンランドと違って日本は地震も頻発、津波も何十年(?)かに1回の大きな津波が来る、そういうことを考えると、これからも処分場は出来ないだろうなと。」
「住民の反対が強い、第一民主主義の国ですからこれだけ放射性、あるいは原発の危険性が分かってきた現在、選挙の場合、市町村候補でもうちのところに処分場を作ってもいいですという候補者が出てくるか分かんない、仮に出てきたとしてもね当選出来る可能性は少ないでしょうね。」
「いくらお金あげる、そうしたとしても。」
「今までね原発は安全でコストが安いと言ったけども今あの事故の前にそういう安全神話を信じる人はほとんどいないでしょう、私もう信じませんね。」
 
「原発を立地するためにどれだけ税金を投入していたか、電源立地とかですね、今福島で事故が起きてあの東京電力だけで賠償責任終えませんよ、汚染水処理出来ませんよ。」
「廃炉にする、廃炉にしても40年、50年かかるっていうんですから。」
「技術者の養成ね、東電だけで出来るわけない、国が関与しないと。」
「先月、安倍総理はじめ何人かが汚染水対策の視察に福島に乗り込みましたね、ヘルメットして防護マスクして防護服して。」
「あのために今毎日約3000人の作業員が汚染水処理に当たっているんです。」
「しかもあの防護服1日入ったら翌日次の人に回すこと出来ないんです、捨てなきゃいけないんです。」
「捨てて焼いてんのか、焼いたら放射線が出るから焼けない、毎日毎日あの約3000人の作業員は新しい防護服着てやってんですよ。」
「それだけでも大変な費用ですよ。」 
「こういうことを考えてね、原発のコストが一番安いだなんて・・・。」
「それ知らなかった。」
「電力会社、一番安いって言ってるけれど、じゃあ9電力日本に電力会社ある、電力会社だけで税金投入なしでそういう対策出来るのか、出来ないでしょうね。」
「今や原発にかかるコストは一番安いどころが私は一番高いと思いますよ、他のエネルギーに比べて。」
「そういうことからも日本は早くこういうエネルギーを原発に代わる代替エネルギーに、資金にしても様々な対策にしても変えていった方がいいんじゃないかと。」
「だから私は今後様々なそういう原発ゼロに代わる代替エネルギーの開発、その支援策、奨励策を採れば日本はやっていけるんじゃないか。」
「問題はどうやってそういう体制を作るか。」
 
「幸いなことに、今野党はだいたい賛成ですよ。」
「ここでもし政府自民党がやっぱり原発ゼロにして自然環境に配慮した自然を資源にするそういうエネルギーを日本は採るべきだと言って政治的な方向を出せばね、国民はね、大方の国民は協力してくれるんじゃないか。」
「企業もそういう方針を出せば優れた実力を持っていますからそちらの方に進んでいけ、将来原発ゼロの社会が形成出来るんじゃないかと思っているから今私は早く原発ゼロを政治が決めた方が将来100年後でもいい、200年後でもいい、原発ゼロにする社会が出来れば世界がまた日本をモデルにするぞと。」
「自然を資源にするんですから。」
「捨てられたものを更に利用するような社会を作るというそういう夢のある仕事に日本は取り組んでいけばまた新たな発展が始まるんじゃないかと。」
「最近ねぇ私が原発ゼロを主張するんで、やぁそれは無責任だと言った人たちもそうすることが出来ればいいなぁということはだいたい分かってきたんです。」
「処分場あてがない、確かに小泉さん言うようにねぇ原発ゼロにするのなんか無責任、小泉さんから処分場もないのにそんなゴミをどんどん出していく方が無責任だ、あの言葉が効いたのかどうか知らないけどね、まぁ出来ればゼロの方がいいなぁというのもぼちぼち出てきたんです。」
「ただ言ってんのは将来ゼロにするのはいい、しかし今ゼロにしちゃ駄目だと言うんですよ。
「今ゼロですよ、今ゼロでやってんですよ我々、気が付かないけれども。」
「今もう既にゼロなんですよ。」
「じゃあ将来54基ある、新設、増設は出来ないんでしょうね、住民の反対が強くて。」
「じゃあ今稼働しているのを安全対策をしっかりやって稼働させる、それでもね10基、30基というのは出来ないと思いますよ。」
「まぁせいぜい数基、一桁でしょう。」
「それだったらば代替エネリギー出来るじゃないですか。」
 
「現に日本は今まで幾たびか危機に襲われて来ましたけれどもその危機というものを何年か経って振り返ってみると、よく勉強して学習効果が出てきた新しい時代の創造に向けて進んできているんですね。」
「現に政策っていうのはね、ずうっと変わる、同じものじゃないんです。」
「良い例があの幕末、鎖国だったんですよ。」
「鎖国が一挙に開国に変わっちゃったんです。」
「それで近代国家建設に励んできた。」
「第二次世界大戦までは鬼畜米英だったんですよ。」
「終わったらアメリカ様々、親米、まぁ考えてみればねぇ最強の敵を最大の味方にしちゃったんだからたくましいと言えばたくましいとかもしれない。」
「変わり身が早いと言えば変わり身が早いかもしれないけど、ともかく方針を大転換して発展してきたんです。」
「もう石油はねぇどのエネルギーよりも安いから他のエネルギーなんか無駄だと、金させ出せば油がいいんだからと言って高度成長を遂げてきた。」
「ところが石油ショック起こった、大変だと言ったけれどもこれも見事に環境先進国へと変身して今世界から様々な省エネ技術とか技術力の高い国だと評価されている。」
「だから私としてはこういう様々な企業経営者の意見を聴いたり自分で勉強したり視察したりして、ああ日本という国はピンチをチャンスに変えてきたなぁ。
「千年、万年経過してもですよ、有害性が消えない、そういう原発の処分場を作るために莫大な金とエネルギーを使うよりもその金を自然を資源にする環境に優しいそういうエネルギーに踏みかかった(?)方がはるかにやりがいがあって夢のある事業ではないかなぁと思ってんです。」
 
以上ですが、小泉元総理の講演を要約する以下の4点になります。
�原発は安全とは言えない
�放射性廃棄物の最終処分場がない
�原発はコストが高い
�再稼働出来る原発はせいぜい数基なので、それなら代替エネルギーで出来る
 
さて、ここで小泉元総理が講演会で言及していない原発に関することについて、私の知るところを以下にまとめてみました。
現存の原発を再稼働させてもせいぜい40年前後で全ては老朽化による廃炉になる
・一部の専門家は地震の多い日本には核廃棄物の最終処分場の候補地は存在しないと提言している
・原発の稼働停止により、原発周辺地域の財政難、あるいは原発関連企業の従業員の失業が問題化している 
原発ゼロは石油などの化石燃料の輸入増をもたらし、そのための貿易収支に与える影響は年間約4兆円のマイナスとも言われている
・原発の稼働停止により、円安の影響もあり電力各社のコスト増から今後とも電気料金の値上げが見込まれる
 
なお、一部のマスコミから小泉元総理は原発推進の当事者であり、核廃棄物の最終処分問題などについては当時から分かっていたはずだ、無責任だといようなう声が上がっています。
でも多くの人たちがそうであるように、福島第一原発事故による原発の恐ろしさが小泉元総理の考えを大きく変えるきっかけになったと思います。
また、原発コストについてはNo.2052 ちょっと一休み その317 『原発に投資価値はあるのか?!』でお伝えしたように、原子力委員会による福島第一原発事故の損失額(試算)は、廃炉にする費用を合わせると1基当りおよそ3兆8800億円といいます。
また、ソフトバンクの孫社長はある講演会で「経営者として大変大きなリスクのある原発は投資に見合わない」とおっしゃっていました。
そして、原発ゼロの時期について、小泉元総理は具体的に言及していません。
でも国内には再生可能エネルギーによる発電装置について多方面の技術開発が進められているのですから、政府主導であらゆる再生可能エネルギーの取り組みについてその可能性評価を早急に実施して欲しいと思います。
その結果で、将来性のある技術に研究開発の補助金を投入して出来るだけ早く導入・普及を図って欲しいと思います。
遅かれ早かれ、日本は”脱原発”に向けて進むしか道はないのですから。

 
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