少子高齢化の進む中、世代間の人口のアンバランスから多くの国民は日本の財政状況について大なり小なり不安を感じていると思います。
そうした中、7月18日(火)放送のニュース(NHK総合テレビ)で日本の財政健全化目標について取り上げていたのでご紹介します。
膨れ上がる国の借金にいかに歯止めをかけるのか、そのために政府が掲げている財政健全化の目標ですが、「基礎的財政収支」と言われる財政指標の黒字化について、内閣府は2020年度時点で8兆2000億円程度の赤字が続き、今のままでは目標の達成は厳しいという見通しを公表しました。
政府は先進国最悪の水準に膨らんだ借金に歯止めをかけるため、2020年度までに国と地方を合わせて「基礎的財政収支」を赤字から黒字に転換し、政策の実行に必要な費用は借金に当る国債の発行に頼らず、税収などで賄えるようにする目標を掲げています。
これについて、内閣府は7月18日、昨年度の国の決算などを反映させた最新の試算を公表しました。
それによると、今後名目3%程度の高い経済成長が続き、2019年10月に消費税率を10%に引き上げた場合でも2020年度の「基礎的財政収支」は8兆2000億円程度の赤字が見込まれるということです。
試算は、この日開かれた政府の経済財政諮問会議で示され、安倍総理は支出改革とともに「人づくり革命」などを通じ、持続的な成長を目指す考えを示しました。
政府や与党の一部には、「基礎的財政収支」を黒字化する今の目標そのものを見直すべきだという意見が出る一方、健全化の取り組みが後退したと受け止められれば、日本の信認が損なわれかねないという意見もあり、今後議論が活発になる見通しです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
一方、同日放送の「ニュースウォッチ」(NHK総合テレビ)で国の財政状況について家計を例に分かり易く解説されていたので以下にご紹介します。
ある家庭では、5397万円の借金(住宅ローン)を抱えています。
これに対し、月収33万円、そして生活費(ローンを除く)38万円です。
ですから、ローンの支払いを除いても毎月5万円のマイナスで、借金は増える一方ということになります。
この借金を減らすために、毎月の収支を黒字にしなくてはなりません。
それが政府が目標にしている「基礎的財政収支」の黒字化なのです。
では具体的にどうするかですが、方法は2つしかありません。
収入を増やすのか、支出を切り詰めるのかです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
2つの番組を通して思うのは、過去の延長線上での対策を施しても、遅かれ早かれ日本の財政は破綻してしまうということです。
そもそも具体的な根拠もなく今後名目3%程度の高い経済成長が続くという大前提が現実離れしています。
過去の常識に囚われた考え方から脱皮した思い切った政策を打ち出すことが求められるのです。
その際の基本的な考え方は、番組でも指摘されていたように、収入増と支出減という2つの観点に立った政策です。
しかし、収入増はそれほど期待出来ませんから、支出減の観点からの徹底的な見直しが求められます。
ここで、とても気になるのは、持続可能な社会の実現に向けた日本の政治家の姿勢です。
例えば、太陽光や風力による再生可能エネルギー発電や電気自動車(EV)の普及に向けた海外の動きに比べた日本の政策の保守的な目標設定です。
例えばEVの普及政策においては、No.3732 ちょっと一休み その599 『2030年までにEVの販売のみを目指すインド』でインドの動きをご紹介しましたが、EUのいくつかの国でも同様の方針を打ち出しています。
海外の動きの後追いや既存の業界の保護に重点を置くのではなく、日本を、あるいは世界をどのような方向に変えていくべきなのかを真剣に考え、その上で実効性のある現実的な政策を打ち出し、研究機関や企業を巻き込んで目標達成に邁進させるような、強力なリーダーシップを持った政治家の出現が待たれます。
その際、私たち国民もただ待つだけでなく、こうした流れの中で私たち一人一人が自分の立場で何が出来るのかを考え、実行に移すことが求められるのです。
今は、まさに地球温暖化やエネルギー、経済、そして国際政治の不安定、核兵器の拡散など、様々な危機に人類は直面しています。
こうした大きな危機こそ、世の中をがらりと変える変革のチャンスなのです。