最近、AI(人工知能)の活用事例が次々に報道されています。
そこで、AIの活動事例の第2弾として5回にわたってご紹介します。
2回目は、AIによる社員の動きの分析についてです。
9月11日(日)放送のニュース(NHK総合テレビ)でAIによる社員の動きの分析について取り上げていたのでご紹介します。
勤務先で行っているデスクワークや上司への報告、部下への指示、会議など、従業員の職場での1日の動きをAIが全て分析、そしてもっと同僚に話しかけた方が良いなどのアドバイスが送られてくる、こうした動きが企業の間で広がっています。
日立製作所(東京都港区)では600人の営業社員を対象に職場のコミュニケーションを改善するための実証実験が行われています。
社員が社員証に加えてもう一つぶら下げているのが組織の活性度を測るセンサーです。
就業中常に身に付ける名札型のウエアラブル端末は2種類のセンサーを内蔵しています。
一つのセンサーは他の社員と近づいているかどうかを検知、もう一つのセンサーは会話をする時などの細かな揺れを検知し、データはAIに送られます。
AIは得られたデータからいつ誰と会話したか、どれくらいの時間、机に向かっていたか
など、社員の一日の動きを全て分析し、その結果からアドバイスを社員のスマホに送る仕組みです。
例えば、デスクワークが1日平均5.5時間で、コミュニケーションが0.7時間だった場合、AIからは「同僚や先輩に相談してみましょう」といったアドバイスが送られてきます。
このシステムについて、ある男性社員は番組の中で次のようにおっしゃっています。
「第三者的な視点で行動をこうした方がいいよ、とか働き方をこう変えてみたらいいんじゃないかというようなアドバイスをもらえると自分自身もっと成長出来るかなと。」
一方、採用試験をする際、書類選考を手助けするAIも開発されました。
人事部が新卒採用で使うものを想定したAIは、過去に提出された履歴書の内容と採用試験の結果をあらかじめ学習、人事担当者が職種などを選択するとAIがその職種に相応しいと選んだ順番に応募者名が表示されます。
職種ごとの適性が数値化され、人事担当者の負担を減らし、個人的な好みで選考するリスクを防ぐことが出来るとしています。
このシステムを開発したNECの中村 暢達さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。
「企業からしてみると、(人事担当者は)数万通というエントリーシートを見ているうちに疲れてきて判断がぶれてきてしまうとか、AIを使って手助けしていきたい。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
まず、この番組を通して人もIoT(モノのインターネット)の一部であるとあらためて感じました。
今回、日立製作所の事例でご紹介したように、企業としては少しでも労働生産性を向上させるために様々な観点から従業員の行動データを集め、AIでそれを解析する流れが今後とも加速していくと思われます。
しかし、一方で従業員は自分の行動が全てガラス張りになってしまいますから息苦しさを感じてしまうことが危惧されます。
確かに、従業員の業務分析も必要ではありますが、採用試験をする際の書類選考を手助けするような様々な業務をサポートするAIの活用との組み合わせの上に立ったかたちで総合的に業務の生産性向上を進めるべきではないかと思います。
ちなみに、アイデアよもやま話 No.3499 参考にすべきソフトバンクのAIの業務への活用!でもご紹介したようにソフトバンクでは既にこうした取り組みを加速させようとしているようです。