2016年10月10日
アイデアよもやま話 No.3517 新・瞑想法“マインドフルネス” その1 大ブームになったマインドフルネス!

8月21日(日)放送の「サイエンスZERO」(NHKEテレ東京)で新・瞑想法“マインドフルネス”をテーマに取り上げていたので4回にわたってご紹介します。

1回目は、大ブームになったマインドフルネスについてです。

 

今、ビジネスマンたちに大人気なのが瞑想です。

実は、脳に良い効果があることが科学的に証明され、マインドフルネスという新たな瞑想法として世界中に広がっているのです。

更に、医療の現場でもマインドフルネスが活用されています。

わずかな期間実践するだけで脳の機能やかたちまでが大きく変化することが分かってきました。

 

そもそも瞑想とは仏教の世界で2500年にわたって探求されてきたものなのです。

現在でも世界中で多くの仏教徒が日常的に瞑想を行っています。

日本でも座禅が行われています。

こうした瞑想から宗教性を排除したものがマイウンドフルネスなのです。

宗教性を排除したことによって、人種や国に囚われず誰でも参加出来るようになったことから世界中に広まっています。

 

マインドフルネスは、ビジネスの世界で大きな注目を集めています。

大手IT企業、ヤフーでは毎週1回仕事の前にマインドフルネスを取り入れています。

他にもグーグルやインテル、フォードなど世界中の多くの企業で導入しています。

マインドフルネスによって集中力をアップ、仕事の効率を向上させることが出来るといいます。

ヤフーY!アカデミア本部長の伊藤 羊一さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ビジネスやっていると、余裕がある時なんてあまりなくて、常にいざという時だったり、事件が起きていたりということなので、その時にしっかりした心を持ってぶれない意思決定が出来るようになるというのが私どもでは考えていることですね。」

 

一方、イギリスではマインドフルネスが医療の現場に取り入れられています。

ダラム市で対象となるのは、不安症やうつ病の患者など、この地域では7年前から3500人が実践してきました。

リビングマインドフリーのギャリー・ヘッズ所長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「マインドフルネスは、うつ病や不安症、パニック障害などストレスの病気に対処するのに本当に役に立ちます。」

「こうした症状にどのように陥るのかに敏感になるため、それを防ぐ行動を取れるようになるのです。」

 

5年前、マインドフルネスの指導を受けたアビゲイル・ヤダムジェさんは今でも毎朝欠かさず続けています。

当時、ヤダムジェさんは産後うつに悩まされていました。

二人目の子どもの出産の頃、夫は仕事のため離れた場所に暮らしていました。

幼い子どもたちの面倒を一人で看なければならず、疲れ切っていました。

そこで5週間のマインドフルネスの指導を受けたところ、子どもとの付き合い方が改善していきました。

子どもが癇癪を起こすなど手に負えなくなった時でもうまく対処出来るようになったといいます。

ヤダムジェさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「マインドフルネスは、起きてしまったことに囚われるのは無意味だと気付かせてくれます。」

「トラブルに対して反射的に対応してしまうことが多いけれど、それによって相手を傷つけたり事態を悪化させたりする場合もあるのです。」

「そんな時はマインドフルネスをして、ストレスへの対処法を決めるのです。」

 

マインドフルネスの専門家で、早稲田大学人間科学学術院教授の熊野 宏昭さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「うつ病(へのマインドフルネスの治療)は本当に世界中で使われていて、特にうつで問題になるのは、うつ病は一度なると再発が多いんですね。」

「一度うつ病になると、一旦治っても6割の人が再発すると言われていて、その治っている時期にマインドフルネスの実施をすると、再発が非常に抑えられるというデータが出ています。」

 

昨年イギリスで発表されたデータによると、抗うつ薬を飲み続けるよりもマインドフルネスを続けている人の方がうつ病の再発を若干抑えられるという結果になっています。

マインドフルネスは、うつ病以外にも不安障害やパニック障害など様々な不安の問題にも非常に効果があるといいます。

ただし、現在うつがひどい状態の時はあまり適していないとも言われています。

その理由は、うつの方はすぐ疲れるので無理にやっていくとかえって状態が悪くなるということもあるので、今うつ病の治療をしている方が行う場合は受け持ちの先生と相談してというのが原則になります。

また、マインドフルネスがビジネスの場面でも取り入れられていることについて、熊野さんは番組の中で次のようにおっしゃっています。

「一つはマインドフルネスを実践していただくと生活の余裕が出てくる、そういうようないろんなことに効果が出てくることが分かってきたことと、もう一つは過去10年、15年ぐらいの間に脳の研究が随分進んだ、脳にかなり影響を与えることが分かってきたんですね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

まず、マインドフルネスが仏教の世界で2500年にわたって探求されてきた瞑想をベースにしていることについて、瞑想の歴史の重みを感じます。

また、マインドフルネスはちょっと時間がある時に、一人でどこでも出来そうです。

しかも、その効果はうつ病以外にも不安障害やパニック障害など様々な不安の問題にも非常に効果があるといいます。

また、健常者にとっても、ビジネスや育児など日頃のストレス解消に効果があるといいます。

なお、マインドフルネスで狙う基本的な心の持ち方は、No.3510 ちょっと一休み その562 『現代の忍者 その2 海外にも広がる忍術!』でご紹介した忍者の昇段試験の心構えに通じるところがあるように思います。

 

こうした素晴らしい効果のあるマインドフルネスについて、一つ提案したいことがあります。

ラジオ体操はかなり以前から学校教育で身体の健康維持の一環として取り入れられています。

そこで、マインドフルネスも心の健康維持の一環として学校教育に取り入れることです。

国民全体にマインドフルネスが普及すれば、国民の精神的な安定やうつ病など心の病気の発症予防につながると大いに期待出来ます。

なお、マインドフルネスの具体的な方法については、次回で簡単にご紹介します。


 
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