2016年10月02日
No.3510 ちょっと一休み その562 『現代の忍者 その2 海外にも広がる忍術!』

私が子どもの頃、忍者ブームで漫画やテレビ番組、あるいは映画でもよく取り上げられていました。

ですから、私も忍者にあこがれていた時がありました。

そうした中、7月7日(木)放送の「いま忍者 初見良昭八十四歳」(NHKBSプレミアム)で驚くべき実際の忍術について取り上げていました。

そこで3回にわたってご紹介します。

2回目は、海外にも広がる忍術についてです。

 

初見良昭さんは、900年の歴史を持つといわれている戸隠流忍法第43代宗家です。

初見さんは修行の果てに忍術を核とした武道を作り上げました。

84歳になった今もご自身の武神館道場で多くの弟子たちを育てていますが、弟子の8割は外国人といいます。

年間延べ1万人以上がこの道場を訪れています。

 

1967年に公開された、ショーン・コネリー主演の映画「007は二度死ぬ」、日本を舞台にしたこの作品で初見さんは忍術をアドバイスしていました。

その後、初見さんは世界各国で忍術を指導し、その弟子の数は世界に10万人いるとも20万人いるとも言われています。

千葉の道場に集まる弟子たち、柔道や空手などの武道を極めた末に初見忍術にたどり着いた人も多いといいます。

中には、軍人や警察官も少なくありません。

危険な現場で日々戦う彼らにとって忍術は生き延びるための手段になっているといいます。

アメリカ国防総省・在日特別代表部のフィリップ・レイゲアさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「宗家のお蔭で危険を察知出来るようになった。」

「危険が起きる前に分かるのです。」

「五段審査と同じです。」

「身体能力というより第六感のようなものです。」

「戦場で同じ体験をしました。」

「危険を感じて移動した直後にそれまでいたビルが爆発したのです。」

 

ちなみに、初見道場での五段審査では、審査される人が目を閉じた状態で座り、後ろから柔らかい棒のようなもので頭を目がけて振り下し、それを事前に察知して避けられるかどうかで合否が決定されるのです。

五段審査の合格者は忍術を人に教える資格を与えられます。

 

また、アメリカ海兵隊・武道エキスパートのジャック.E.ホーバンさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「忍術は命を守る方法を教えてくれる。」

「戦う方法ではない。」

「避けられない戦いでも大切なのは守ることだ。」

「この考え方は海兵隊にとっても大切だ。」

 

元FBI捜査官であり、逮捕術の指導教官も務めていたチャド・バシールさんが初めて初見忍術に出会ったのは22年前、1994年でした。

アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のムアパーク大学でチャドさんは今、犯罪に巻き込まれた時の対処法と護身術を教えています。

大学の授業として普通の学生たちが習っています。

 

大学内の看護学部でも初見さんの忍術が注目されています。

アメリカの病院では看護師への暴力事件が多発していて大きな問題になっています。

調査によると、患者やその家族などから暴力を受けた経験がある看護師は80.8%にも上っているといいます。(2014年全米調査)

ムアバーク大学健康科学部統括のキャロル・フォックスさんは、こうした状況について番組の中で次のようにおっしゃっています。

「患者の多くは看護師に感謝してくれます。」

「でも心を病んでいる人や薬物依存の人は薬の作用で暴力的になることがあります。」

「私たちも殴られたり、蹴られたり、かみつかれたこともあります。」

「そのせいで多くの看護師が辞めました。」

「患者と看護師、両方の安全が大切です。」

「この授業はとても実用的だと思います。」

 

こうした状況から、チャドさんは暴力を振るおうとする患者をコントロールする方法を教えているのです。

チャドさんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「第一に自分が傷つかないことが大切です。」

「第二に誰でもコントロールされないこと。」

「第三に攻撃してくる相手をコントロールすること。」

「そして相手を傷つけることは最後の手段です。」

「この考え方は警察官だけでなく世の中を守ります。」

「相手までも守るのです。」

「相手が攻撃する気を無くせば、何も起きないからです。」

 

アメリカに先立ち、スペインでは初見さんの弟子たちにより病院での護身術は既に実用化されています。

この技術を修得した医師や看護師の数は8千人に及んでいます。

 

こうして世界各国の弟子たちは多く育って来ています。

世界に広がった自慢の弟子たち、彼ら一人一人が初見さんが撒いた種が花開いた姿なのです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

初見忍術の弟子の8割は外国人で、年間延べ1万人以上が初見さんの道場を訪れており、その弟子の数は世界に10万人いるとも20万人いるともいうのですから、初見忍術は海外にも広がり、国際化しつつあるといえます。

そして、チャドさんが教えている犯罪に巻き込まれた時の対処法と護身術の基本的な考え方は初見忍術の核心を体現していると思います。

また、日本の忍者は海外では“NINJA”として多くの人たちが関心を寄せているといいます。

ですから、こうした流れの中で、単なる見世物や武術としてではなく、初見忍術の本質である護身術という考え方が世界的に普及していけば、世界的に暴力の犠牲者が減り、世界平和にも多少なりとも貢献出来るのではないかと大いに期待出来ます。


 
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