2016年06月23日
アイデアよもやま話 No.3423 進化するシェアリングエコノミー その2 地域の課題解決への活用!

4月10日(日)放送の「サキどり↑」(NHK総合テレビ)で「進化するシェアリングエコノミー」をテーマに取り上げていたので2回にわたってご紹介します。

2回目は、地域の課題解決への活用についてです。

 

どんどん進化を遂げているシェアリングエコノミーですが、地域の様々な課題の解決にも活用され始めています。

東京の空の玄関口、羽田空港のある大田区、外国人観光客を呼ぶには打って付けの立地ですが、宿泊施設の稼働率は9割を超え、拡大する需要への対応が難しくなってきました。

そこで目を付けたのが空き家や空き部屋に有償で人を泊める“民泊”です。

国家戦略特区の仕組みを活用して、これまで無かった“民泊”のルールを全国に先駆けてスタートしました。

大田区健康政策部部長の杉坂 克彦さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「いわゆるグレーな状態ですとか、違法な“民泊”がかなり全国的にあると聞いております。」

「そういったものを少しでも減らして、安全安心な滞在の環境を整えたい。」

 

今年2月に早速特区民泊として認定された部屋の一つ、民泊仲介サイトを運営する会社が用意したマンションの1室は1泊あたり1万2000円、最大3人まで泊まることが出来ます。

ルールでは滞在期間は最低でも7日、そこで洗濯機や旅の疲れを癒す美容家電を充実しています。

ルールブックにはご近所とのトラブルを起こさないよう、ゴミの出し方や騒音に関する注意事項などが英語で書かれています。

 

一方、持ち主の住まなくなった築65年の空き家では、部屋をフルリノベーションしてほとんど新築と変わらないものにしました。

5人まで泊まれる1LDKで、1泊あたり2万円(週末 +2000円)です。

畳を敷いた和室のように、和風の小物で日本らしさを演出しています。

こうした空き家対策にもなる“民泊”、この運営会社では個人オーナーの開業もサポートして物件数を増やしていきたいとしています。

 

こうした“民泊”への取り組みには地元のお店も期待を膨らませています。

蒲田の商店街では、買い物をした時に特権が得られる3ヵ国語のクーポン券を発行しています。

 

一方、京都府最北端の京丹後市でもシェアリングエコノミーの仕組みを使って課題解決に乗り出しました。

この地域の悩みは急速に進む過疎高齢化、地元に3つあったタクシー会社は相次いで撤退、市の半分以上が交通空白地域になってしまいました。

無論、地元でも生活の足が無くなることに対し、手をこまねいていたわけではありません。

住民が依頼すると迎えに来てくれるデマンドバスが地元のNPOにより運営されています。

2年前からサービスを始めたデマンドバスは地元の有志、21人が協力して住民の貴重な足となっています。

365日、朝8時半から夕方5時までは常に携帯電話で予約を受け付けています。

ちなみに、料金は100円(遠距離は200円)です。

しかし、悩みはこのサービスが十分に住民の悩みに応えられないことです。

現在は2つのエリアで運行していますが、バスは1台しかないため利用出来るのは2日に1回、しかも隣のエリアの墓参りや親戚の家に自由に行くことが出来ず、使い勝手は今一つです。

そこで目を付けたのが以前アイデアよもやま話 No.3399 ”仕事がない世界”がやってくる その1 技術革新による格差拡大!でもご紹介した、アメリカのウーバー・テクノロジーズが提供している、スマホを使った新たな配車サービス、ウーバー(Uber)です。

自家用車を使ってタクシーのように有償で人を運ぶのは日本では違法行為になりますが、交通空白地域では特例が認められるのです。

自家用車と住民の空き時間をシェアして有効に使おうというわけです。

住民同士で助け合い、課題を乗り越えようという思いを込めて、このサービスを「ささえ合い交通」と名付けました。

 

以上、番組の内容をご紹介してきましたが、今回ご紹介“民泊”や「ささえ合い交通」の事例も前回ご紹介した個人間のマッチングサービスの一つと言えます。

マッチングサービスの対象がモノであったりサービスであったりという違いがあるだけなのです。

また、従来はこうしたサービスを提供する側の窓口はほとんどが企業であることから、サービスの受け皿が限られており、しかも値段も高かったのです。

ところが、サービスを提供する側が個人になることによって、サービスの受け皿がとても広がり、しかも競争原理により値段もこれまでより安くなることが期待出来るようになりました。

 

こうしたサービスを可能にしているインフラがインターネットなのです。

ですから、インターネットは社会変革をもたらす素晴らしいツールだとあらためて思います。


 
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