これまでIoT(Internet of
Things)、AI(人工知能)、ロボットについて何度かお伝えしてきました。
そうした中、ソフトバンクワールド2015(7月30日〜31日開催)の基調講演でソフトバンクの孫社長は、今後3つの成長分野IoT、AI、スマートロボットに注力するとおっしゃっていました。
勿論、「情報革命で人々を幸せに」という企業理念を掲げているソフトバンクの考える成長分野ですから、ここでいうところの成長分野は情報関連産業の枠内でのことです。
私は、この3つが成長分野であることについて全く同感です。
そして、この分野の成長によって、私たちの暮らしは劇的に変化すると思われます。
私なりの解釈ですが、そもそもIoTとはあらゆる家電製品や自動車などのモノの情報がインターネットを介してつながる状態を意味しています。
ですから、人体でいえば手足など全ての部位が神経でつながっている状態です。
AIは勿論人体でいれば頭脳です。
そして、スマートロボットは物理的に人体を模したロボットにAIという頭脳を搭載し、IoTという神経を介して外部の全てのモノと情報でつながっているということだと思います。
しかもこうしたスマートロボットの優れた点は、人のように疲れを知らないこと、そしてネットを介して入手した全ての情報をもとに判断すること、そして正確な行動にあります。
ですから、24時間、365日、人に代わって働き続けることが出来るのです。
そして、頭脳労働はAIに、更に何か行動を伴う仕事はスマートロボットにという具合に人に代わって働く分野はどんどん広がっていきます。
更には、アイデアよもやま話 No.3050 2045年には全人類の能力を超える処理能力のパソコンが1000ドルで買える!?でもお伝えしたように、近い将来AIはとてつもない能力を持つようになると予測されています。
しかも、IoT、AI、スマートロボットの分野の製品、あるいはサービスはその普及と共にコストダウンが図られます。
今、技術的特異点(Technological
Singularity)という言葉に世界的に注目が集まっていますが、全人類の能力を超える処理能力のパソコン(AI)の出現する2045年こそが技術的特異点なのです。
そして、実際に私たち人間にとって大きな影響を持つのは、こうしたAI、あるいはAIを搭載したスマートロボットが人件費よりも安くなることです。
アメリカの未来学者、レイ・カーツワイルさんの予測しているように、1台1000ドル(約12万円)程度でパソコン(AI)が購入することが出来るようになれば、企業は迷うことなく人を雇うよりもAIを購入するようになります。
一方、スマートロボットについても、既にソフトバンクで発売中の人の心を持つヒト型ロボット「ペッパー」の本体価格は21万3840円(税込み)、そして保険やアプリの利用料など月額使用料として別途2万6568円(税込み)がかかります。
更に、ソフトバンクと日本IBMとは今年年2月10日、質問応答システムの「ワトソン(Watson)」の日本語対応に向けて「戦略的提携」を発表しました。
この分野でトップを走る両者による提携はスマートロボットの進化を間違いなく加速させます。
ですから、技術的特異点を迎える2045年にはAIを搭載した「ペッパー」の進化版ロボットも20万円程度で購入出来ると容易に想像出来ます。
なので、2050年頃にはどの程度人の仕事がAIやスマートロボットに置き換わっているかとても気になってきます。
同時に、人とAIやスマートロボットとの住み分けがどうなるのかも大いに気になるところです。
これまでの技術進歩の歴史の中でも人の働く場が無くなるのではと危惧される場面がありましたが、いよいよその最終局面を迎えつつあるように思います。
人の働く場を確保するために、AIやスマートロボットの使用制限が必要になるかもしれません。
また、AIやスマートロボットの活用を前提とした教育内容の根本的な見直しも必要になるはずです。
例えば、今は学校で英語などの語学をかなりの時間をかけて学んでいますが、リアルタイムでかなりの精度で翻訳してくれるサービスが当たり前になれば、わざわざ語学を学ぶ必要はなくなります。
いずれにしても、人類の精神的、かつ物理的豊かさを目指して、AIやスマートロボットとの共存が図られるような方向に向けて検討が進められるようになって欲しいと思います。
なお、ソフトバンクは7月30日、「ペッパー」の法人向けモデルを月額5万5千円でレンタルすると発表しました。
訪問客の受付や声かけなど、ビジネスに活用出来るアプリケーション(応用ソフト)を標準搭載し、電話や専用サイトでサポート対応するといいます。
36カ月契約のレンタル方式で、10月1日から申し込みを受け付ける予定です。
ですから、現実は既に技術的特異点に向けて確実に進みつつあるのです。