2012年10月10日
アイデアよもやま話 No.2265 私のイメージする究極のHEMSとは・・・
先日、環境・エネルギー関連製品の最新情報入手のため、イノベーション・ジャパン2012(東京国際フォーラム)、シーテック ジャパン2012(幕張メッセ)と展示会に立て続けに行って来ました。
そこで、特に私の目を惹いた展示物の中で3回に分けてご紹介してきました。

3回目は、HEMS関連についてです。
いろいろな展示ブースを回ってみて、あらためて今が家電、発電機器(太陽光、風力)、バッテリー、電気自動車(EV)、IT、スマホなどの組み合わせによる新たな世界の実現の模索過程にあることを実感しました。
これらを組み合わせたものをHEMS(Home Energy Management System)と呼んでおり、またHEMSを実装した家をスマートハウスと呼んでいるわけです。
更に、HEMSを地域へとつなげ広げていくと、スマートタウン、スマートシティ、スマートコミュニティ、スマートワールドという具合に発展していくのです。

さて、私は以前から孫やその後の世代のために、少なくともエネルギーの持続可能な社会を残したい、という思いからまず自宅をエネルギーフリーにするためにいろいろな活動に取り組んできました。
というのは、いろいろなところに持続可能な社会実現の必要性を働き掛けても説明だけではなかなか理解してもらえなかったので、自宅をエネルギーフリーのモデルハウスにして実際に見てもらえば納得してもらえると考えたからです。
そして、一軒の家がエネルギーフリーに出来れば、後はそれと同じように全ての家に展開していけば良い、という単純な発想です。

今回も含め、いろいろな展示会に行ってみて思うのは、私のイメージするHEMSと今各社で取り組んでいるHEMSのギャップです。
勿論、メーカーでは今の技術で出来る範囲のものを提案しているのですが、私の目からみると、ユーザーの観点がとても不足しているように思えるのです。
その主な理由は、基本的に各メーカーが技術志向でそれぞれ自社の持つ得意技術をベースにしていること、あるいは自社の取り扱い商品に関連した範囲でシステムを検討していることです。
ですから、ユーザーの観点からみると、それぞれの製品には私の欲しい機能のどこかが足りないのです。

そこで、以前アイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極的な発電装置とは・・・
で究極的な発電装置についてお伝えしましたが、今回は私のイメージする究極のHEMSが満たす要件を以下にまとめてみました。
・低価格で補助金なしでもほとんど持ち出しゼロで設置出来、ケースによっては多少なりとも収入さえ得られること
・HEMSが故障しても瞬時に系統電力からの電力供給を受けられ、普段どおりの生活が送れること
・停電時であっても瞬時にHEMSの自立運転に切り替わり、普段どおりの生活が送れること
 まだまだバッテリーが高価であることから、家電メーカーの提案するHEMSは非常時の停電を想定して消費電力の出力を多くの場合せいぜい3kwに抑えており、あるいは使用出来るコンセントを制限している
 エネルギーフリーにするためには、停電時だけでなく、いつでも電力の自給自足が出来なければならない
 そのためには、消費電力の出力を6kw程度にし、その範囲内で継続的に消費出来るようなコントロールが必要である
・国内全体でHEMS、およびスマートグリッドが整備されれば、再生可能エネルギーとバッテリーだけで全ての国内エネルギー需要を賄えること
・太陽光発電や風力発電など複数の発電装置をHEMSに取り込めること
 太陽光発電と家庭用バッテリーを系統電力とつなぐシステムはあるが、複数(少なくとも2つ)の発電装置をつなげられる
・EV(電気自動車)のバッテリーだけでなく家庭用バッテリーもHEMSに取り込めること
 EVのバッテリーから一般家庭に給電出来るシステムはあるが、これではEVで外出中には給電出来ない
・太陽光発電や家庭用バッテリー、EVのバッテリーなど全ての要素を取り込んだかたちのHEMSで系統電力との間で売電・買電が出来ること
 現在、国のガイドラインがまだ整備されておらず、技術的には可能でも実際には使えない状態である
 どんな発電装置による発電の余剰電力も電力会社に売電出来る
 家庭用バッテリーからも妥当な価格で電力会社に売電出来る
・電力を消費する際、電力源である系統電力、太陽光などの発電装置、一般家庭用バッテリー、あるいはEV用バッテリーなどの順番をコントロール出来ること
・家庭用バッテリーやEV用バッテリーへの充電に出来るだけ時間がかからないこと
・バッテリーへの充電やバッテリーからの給電に際し、バッテリーの寿命を出来るだけ短くしないこと
・EV用バッテリーへの充電やEV用バッテリーからの給電に際し、EV側でケーブルを用意する必要が無いこと
・設置容積が少なくて済むこと (マンションなど集合住宅のベランダにも設置出来る)
・1つのパワコンで全ての機器をカバー出来ること
 パワコンが個々の機器ごとに対応していてはコストがかかり、場所も取られる
・各家電製品にはコードレスで給電出来ること
・寒冷地や白夜地域など、世界中どこにでも設置出来ること
・保守作業がほとんど必要ないこと
・機器が長寿命であること (最低でも10年以上)
・機器の保証期間内に投資の回収が出来ること
・機器のパーツの原料がレアメタルなどのように生産地や生産量に制約されないこと
・機器のパーツの全てが再利用、あるいはリサイクル出来ること
・機能の拡張が柔軟であること
・コントロール用などのソフトウェアが通信回線経由で変更出来ること
・発電量や消費電力量、バッテリーの充電量などを各機器ごとに把握でき、専用モニターでなくともスマホやテレビにも表示出来ること
・機器の不具合を通信回線経由でリアルタイムに把握出来ること
・人体や環境に影響がないこと
・反射光、騒音など周辺地域への影響がないこと

・世界中、どこでも単独で設置出来ること
・個々の機器の仕様、あるいは機器間のインターフェイスが国際標準規格に則っているか、国際的なDefact Stanndardであること
  世界中、どの系統電力ともつなげることが出来ること

こうしてみると、家電メーカーには是非自社の得意な技術、あるいは取り扱い商品の枠に囚われず、ユーザーの視点に立ったモノ作りに取り組んでいただきたいと思います。
その際、全てを自社で賄う必要はないのです。
他社、あるいは大学などの研究機関を巻き込んで、それぞれ得意な技術を持ち寄ってのモノ作りを進めればいいのです。
また、監督官庁には、待ちの姿勢ではなく、これからの技術社会を見込んでの規格統一などのガイドラインづくりを目指して欲しいと思います。
今の状態は、法律による様々な規制がメーカーの先進的な技術を組み込んだ商品ビジネスの足かせになっているように見えます。

日本企業には、個々にみればまだまだ優れた技術が沢山あると思います。
ですから、企業によるユーザー目線、他社や大学などの研究機関との協業によるモノづくり、そして監督官庁による環境の変化を見越した素早いガイドラインづくりや指導がうまく組み合わされば、HEMSやEMS(Energy Management System)を通じて日本の経済再生のみならず、世界に大いに貢献出来るはずです。

 
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