2009年07月30日
アイデアよもやま話 No.1264 味覚センサーの仕組み!
味覚センサーについては、アイデアよもやま話 No.1250 いろいろな味が簡単に作れてしまう!でご紹介しました。
7月13日放送の爆笑問題のニッポンの教養(NHK)のテーマは「味のある話」でしたが、味覚センサーの仕組みや味について掘り下げていたのでご紹介します。

九州大学大学院の都甲潔先生は、味覚の研究に20年以上挑み続けてきました。
そして、試行錯誤の末、世界初の人工の舌、すなわち味覚センサーを開発したのです。
ちなみに、この発見は、味覚研究に革命をもたらしたのではないか、とさえ思えてきます。
味覚センサーの先端部には、人間の舌を再現した厚さ0.2ミリの人工膜があります。
舌には、甘みや苦味を感じる舌細胞があり、その刺激が神経に伝わっていきます。
都甲先生は、味細胞の表面、生体膜の構造を再現したのです。
実際には、8枚舌、8つのセンサーで味を測るのです。
これによって、人と同じように味わえることが可能になったのです。

また、都甲先生は味覚について次のようにおっしゃっていました。
苦味は毒、甘みは栄養源です。
従って、単細胞生物は本能のまま、苦いものを避けて甘いものを取るのです。
これは、進化と関係しています。
苦いものは毒だから、これを避けることができた生物が絶滅せずに今に至っています。
味覚というのは、進化を支える原動力だったのです。
楽しい雰囲気のなかでコーヒーを飲んだことが多かったので、そういった情報がインプットされて脳内快感物質が出てきて快感を追い求めて苦いものまでも好きになってしまったのです。
ですから、苦味は進化の味、というわけです。
辛味は味ではありません。
辛味は痛いという意味です。
痛みとか辛味とか脳内からそれを抑えるために快感物質が出るのです。
ということで、人間の感性、嗜好性というのは、単純な古い脳で操られる世界に新しい脳の世界がミックスしています。
ちなみに、視覚は新しい脳しか使いません。
また、人間は今や味覚を生存と関係ない趣味の領域に引き込んでいます。
そして、どこどこ産のコシヒカリのお米がおいしい、とかいう情報に拘っています。
今の人間は新しい脳しか使っていません。
もっと自分の舌を信用して欲しい、もっと古い脳を活かして欲しいのです。

都甲先生は、
味覚センサーによって地球上に味の尺度、味のものさしをを作りたい、とのことです。
そして、主観しかなかった味の世界に客観的な物差しを持ち込むと文化がどう変わるか、文明がどう変わるかを見届けたい、とおっしゃっていました。
味覚センサーにより、食品の楽譜、すなわち食譜を作ることができるのです。
そして、食譜があれば、将来何年後でも、現在の食品を再現できるので、違う時代の食品を同じテーブルに並べて食べることが出来るのです。

この食譜、という考え方は食べ物の味覚を全てデータ化してしまうのですからとても面白いと思います。
楽譜があれば、いつの時代になってもだれでもそれを見て演奏ができる様に、同じ味覚を再現出来るのですから。
また、現代から未来に向けて、各年代の好みの食べ物の食譜を記録しておき、年代と供にどう食譜が変化してきているか、を分析することによりきっと何かが見えてくると思います。

 
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