2009年02月17日
アイデアよもやま話 No.1124 参考にすべきスウェーデンの社会保障政策!
2月6日(金)朝、たまたま観ていたテレビ番組(テレビ朝日)で開局50周年企画として、スウェーデン政府の社会保障政策を取り上げていました。
アイデアよもやま話 No.1111 参考にすべきドイツのワークシェアリング!で以前、ドイツのワークシェアリングについてご紹介しました。
今回は、スウェーデンの社会保障についてです。
まず、大前提として、人が生活していくうえで、病気、失業は誰にも突然襲いかかってくる可能性があります。
また、老いは誰もが避けて通ることは出来ません。
これらに関する一つの答えを出した国がスウェーデンなのです。
以下が具体的な政策の内容です。
・完全雇用
 税金を納める人間の頭数として労働できる人間を増やす、というのが基本政策です。
 スウェーデンは人口900万人という小さな国です。
 ですから、国民全員に働いてもらうために雇用を守ることが強い経済の源だ、というのが政府の方針です。
 より多くの人が仕事を持てば経済的に安定します。
 また、産業を成功させるには男性も女性も全国民の力が必要だ、というのがその背景にあります。
 ですから、女性の労働力にとても期待しており、子育て優遇は経済政策として実施しているのです。
・失業対策
 病気でやむを得ず失業した場合、1年までは失業になる前の給料のの80%が支給されます。
 更に1年間を超えても550日までは75%が疾病手当てとして国から支給されるのです。
 また、失業者が企業での職業訓練期間中の給与は国が負担しているのです。
 ですから、企業にとってその間の人件費はかからず、協力に前向きになることが出来るのです。
・育児支援
 出産・子育てなど女性のハンディを取り除くために、次のような対策が打たれています。 
 ・両親合わせて最長16ヶ月の育児休暇を取ることができる
 ・13ヶ月は給料の最高8割が給付される
 また、所得保障費を支出しているのは個人ではなく企業なのです。
 企業は、社員に支払う給与の33%と同額を給与とは別に社会保障税として国に支払っているのです。
 これが育児休業中の所得のための財源になるのです。
 また、育児休業保障制度として、最低60日間は男性のみが休業取得出来るのです。
 保障で足りない分は、男性が子育てに参加する、ということです。
 育児支援は少子化対策にもなります。
 更に、育児だけでなく、保育・介護・教育などは雇用創出につながるのです。
次に、日本とスウェーデンとの主な経済指標の比較は以下のとおりです。
債務残高の対GDP比(OECD 2006)
日本 171.9%
スウェーデン 52.5%
国民一人当たりのGDP(OECD 2007)
日本 19位
スウェーデン 7位
国民一人当たりのGDP(OECD 2007)
日本 19位
スウェーデン 7位
また、日本とスウェーデンの国民の税金に対する意識との違いは以下のとおりです。
日本 税金は取られている
スウェーデン 政府に預けている (安心を買うための二つ目の財布)
        もちろん、このような国民意識の背景には、子供の頃からの教育があります。
さて、私はヨーロッパ諸国の福祉政策の内容を全て確認したわけではないです。
でも、スウェーデンやドイツの社会保障政策をみる限り、日本よりはつっこんだ検討のうえで組み立てられている、という気がします。
これらを参考にして、日本は日本の国民性に基づいた日本流の福祉政策を検討すべきだと思います。
そして、この大前提は、国民が政府に対する信頼を持てることです。
どんなに素晴らしい政策を打ち出しても、国民に信頼されなければうまくいくはずはないからです。

 
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