2009年02月02日
アイデアよもやま話 No.1111 参考にすべきドイツのワークシェアリング!
1月25日(日)朝、たまたま観ていたテレビのニュース番組(NHK)でドイツのワークシェアリングを取り上げていましたので紹介します。
ドイツでのワークシェアリングの歴史は古く、第一次大戦後、経済が壊滅的な打撃を受けた1920年代に雇用を守る手段として初めて法律に定められました。
その後、改良が繰り返されてきました。
ワークシェアリングによって、企業は不況でも従業員の雇用を保障しますが、一方、雇用者はある程度の賃金引下げを受け入れます。
ここに政府が介入し、労働者から徴収した失業保険の積み立て分から一定額を補填するのです。
この仕組みによって、雇用が確保されると共に、賃金の引き下げを抑えることが出来るのです。
ちなみに、今回の100年に一度とも言われる経済危機下で、ドイツ政権はワークシェアリングを推進して雇用を守ろうと、ワークシェアリング制度の以下の強化にに乗り出しています。
・企業の利用期間を半年から1年半にまで延長
・企業負担の社会保障費を半額にする
・派遣労働者にも同じ制度を適用
番組のなかで、ドイツのメルケル首相は次のようにおっしゃっていました。
「ワークシェアリングなどあらゆる手段を尽くせば、今の危機は必ず克服できる」
こうした政府の対応を受け、ダイムラーやフォルクスワーゲンなど、ヨーロッパを代表する大手自動車メーカーも相次いでこの制度の導入に踏み切っている、とのことです。
番組では、実際にこの制度が適用された従業員が「今は週3日しか働けない」とおっしゃっていました。
労働時間はこれまでの6割になりましたが、賃金は政府の補填で約8割が保障されているのです。
このワークシェアリングという制度は、今日本でも話題に上がっていますが、今のような不況下では、私はこの制度は次の2つの観点からとても意味があると思います。
1.企業が今まで経験やスキルを身に付けてきた従業員を失わずにすむ
 不況はいずれ、景気回復に向かいますが、その時に必要なのはスキルのある従業員だからです。
2.従業員が失業しなくてすむ
 失業は、従業員にとって、収入がなくなるだけでなく、その人から働く生きがいだけでなく、人間としての尊厳さえも奪ってしまうからです。
この制度を非正規社員まで拡張して日本で適用すれば、非正規社員も含めて雇用が確保できるのです。
そして、とても大事なことは、日本政府がその気になってリーダーシップを発揮できれば、この制度は実現出来るはずなのです。
また、企業も前向きに考えれば、今のような不況時こそ売り上げは激減しますが、時間的な余裕は出てくるのです。
このような時にこそ次の飛躍に向けて、新しい柱となる対象の研究・技術開発、そしてコスト削減などに向けての全社的に真剣な取り組みが出来るのです。
そうなのです、考え方次第で大変な逆境もプラスに転換することが出来るのです。

 
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