2007年12月26日
No.764 老舗のすごいアイデア企業 − 林原生物化学研究所!
12月10日(月)放送のワールドビジネスサテライト (テレビ東京)林原生物化学研究所(岡山市)を取り上げていました。
林原は明治16年(1883年)、水あめメーカーとして創業されましたが、老舗のすごいアイデア企業だと思いましたので、ご紹介します。
林原生物化学研究所では、でん粉に酵素を作用させ、1994年、世界で初めてトレハロースの大量生産に成功しました。
ちなみに、トレハロースとは砂糖と同じ天然の糖質で、昆虫などの血糖に含まれる生命に関わる重要な役割を持っているそうです。
すごいのは、このトレハロースの製造コストを従来1キロ3万円だったのを300円にまで引き下げたのです。
林原の林原健社長は、番組のなかで「微生物、酵素などの扱いは、日本は非常に得意な分野」とおっしゃっていました。
そして、とても興味深かったのは、次のような言葉です。
・消費者が何を望んでいるかは一切無視している。
・何に使えるか分かれば、競争相手がいないので売れる
・世界特許は5,000件で、基礎研究に力を注ぐ
・マーケティングしない
・10年、20年構想を暖めていて、研究開発を続けていて必要な時に小出しに出す
それで、現在は人工冬眠するハムスターを研究しているそうです。
資金力がないと、このような戦略は取りにくいとは思います。
でも、林原生物化学研究所の知的財産の創造に比重を置く戦略は、資源小国、日本の企業のあるべき姿の代表例だと思いました。
そして、何よりもすごいと思うのは、老舗企業がいまだにこのような創造性を維持している企業体質を持ち続けるている、ということです。
一時的な成功を達成するよりも、長期間に渡ってその企業体質を持ち続けるこのの方がはるかに大変だからです。

 
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