2024年05月07日
アイデアよもやま話 No.5888 オープンAIがアプリストアを開設!
1月11日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でオープンAIによるアプリストアの開設について取り上げていたのでご紹介します。 

アメリカの新興企業、オープンAIは、1月11日、利用者がカスタマイズした会話型AI、チャットGPTをアプリストアで共有出来るサービスを始めました。
子どもの学習に特化したものなど、独自のAIアプリをつくり、配信することが出来ます。
利用に応じて、収益分配も行う方針で、人気アプリを手掛けた人に対価を支払うことで開発を促します。
オープンAIは昨年11月からチャットGPTをカスタマイズ出来る機能を提供し、既に300万件以上が作られたということです。

チャットGPTを手掛けるオープンAIは、利用者がチャットGPTを改良して、それを共有出来るチャットGPTをオープンしたということですが、この狙いについて、立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は次のようにおっしゃっています。
「ずばり、生成AIにおけるプラットフォーム戦略の構築というところだと思いますね。」
「プラットフォーム戦略というと、最も有名なのはアップルのiOSというプラットフォーム基盤、開発者用のアップル・デベロッパー・プログラムム、そして我々が使っている利用者用のアップルストアですよね。」
「実は、これと全く同じ構図が、今回、GPTストアで展開されるということで、プラットフォーム基盤としてはチャットGPTですね。」
「そして、その上に開発用のプラットフォームとしてGPTsが展開されて、そして本日(1月11日)公開されたのが、それを利用した利用者用のGPTストアということで、利用者用のプラットフォームが展開されるということで、ずばりプラットフォーム戦略の構築というところが最大の狙いではないかと思います。」(こちらを参照)
「(結局アップルストアのように利用者を囲い込もうというのが最終的な狙いなのかという問いに対して、)そうですね。」
「やはり利用者を囲い込みたいという狙いでしょうね。」
「(まだまだ、アップルストアのような規模ではないが、この取り組みは成功するするのかという問いに対して、)現状は、まだ利用者が限られていますけども、私の予想では2年以内ぐらいに生成AI用のハード、ソフトのサービスを三位一体にしたようなデバイスが恐らく開発されるんじゃないかと思いますので、そういった時には、こういったプラットフォーム戦略はかなり強力な打ち手になりますね。」
「(今、このジャンルは非常にスピードが速いので、2年先には世界が一変しているかも知れないが、そこに日本企業も参画してて欲しいが、)そうですね。」
「昨年、フィナンシャルタイムズの憶測記事ではありますけども、生成AI用のハード、ソフト、三位一体のサービスを(ソフトバンクグループの)孫さんがオープンAIと開発中だというような記事も出てますのでソフトバンクにも期待したいところですかね。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。
・アメリカの新興企業、チャットGPTを手掛けるオープンAIは、1月11日、利用者がカスタマイズした会話型AI、チャットGPTをアプリストアで共有出来るサービスを始めた
 -独自のAIアプリをつくり、配信することが出来る
 -利用に応じて、収益分配も行う方針で、人気アプリを手掛けた人に対価を支払うことで開発を促す
 -オープンAIは昨年11月からチャットGPTをカスタマイズ出来る機能を提供し、既に300万件以上が作られたという
・この狙いについて、立教大学ビジネススクールの田中教授は、生成AIにおけるプラットフォーム戦略の構築だと指摘している
 -プラットフォーム戦略で最も有名なのはアップルのiOSというプラットフォーム基盤だが、これと全く同じ構図が、今回、GPTストアで展開される
 -チャットGPTの上に開発用のプラットフォームとしてGPTsが展開されて、1月11日に公開されたのが、それを利用した利用者用のGPTストアであるということで、アップルストアのように利用者を囲い込もうというのが最終的な狙いである
・2年以内ぐらいに生成AI用のハード、ソフトのサービスを三位一体にしたようなデバイスが開発されると田中教授は予想する
 -その時には、こういったプラットフォーム戦略はかなり強力な打ち手になる
 -昨年、フィナンシャルタイムズの憶測記事では、生成AI用のハード、ソフト、三位一体のサービスをソフトバンクグループ(SBG)の孫さんがオープンAIと開発中という記事も出ているので、ソフトバンクにも期待したい

このように、アップル、そしてオープンAIが展開するプラットフォーム戦略は、以下の構図なのです。
・革新的なアプリを開発した企業が、その基盤を開発用のプラットフォームとして一般の開発者、および企業に開放する
・それを一般ユーザーが自由に利用出来る
・利用に応じて、人気アプリを手掛けた人に対価を支払うことで開発を促す

ということで、便利で有益なアプリを基盤にして、更に様々な無数のアプリを一般ユーザーが利用出来るという枠組みで、とても理に適ったビジネスモデルだと思います。

このビジネスモデルには利用者の囲い込みという隠れた狙いの側面もありますが、これについては、類似の目的を持ったアプリを提供するプロバイダー間の競争により、うまく機能し、より優れたアプリが生き残っていくと見込まれます。
現実に、GAFAM(添付参照)を始め、テスラなど、世界中の主だったIT企業が生成AI用の開発に向けて多額の開発資金を投入し、既に熾烈な戦いを繰り広げています。

ということで、生成AIの開発はまだまだ発展途上、百花繚乱で、どのようなかたち、あるいは方向で成長していくのか、とても楽しみでもあります。

なお、生成AI用のハード、ソフト、三位一体のサービスをSBGがオープンAIと開発中ということですが、是非、SBGにはこの戦いに勝ち残って、より有益なサービスを展開し、私たちの暮らし、あるいは企業活動に有益なサービスを提供していただきたいと思います。
更に、日本の経済や軍事の面での安全保障に貢献していただきたいと願います。


添付)

GAFAMとは?
ChatGPT
GAFAMは、テクノロジー業界における主要な大手企業のアクロニムです。それぞれ、Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftを指します。これらの企業は、世界中で広範囲なサービスや製品を提供し、インターネットやテクノロジーの分野で大きな影響力を持っています。

 
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