2024年05月04日
プロジェクト管理と日常生活 No.868 『アメリア議会がウクライナ支援の予算案を可決したことの意味するもの』
4月26日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でアメリア議会がウクライナ支援の予算案を可決したことについて取り上げていたのでご紹介します。 

4月21日、アメリア議会下院で、608億ドル(約9兆4000億円)のがウクライナ支援の予算案を可決しました。
その後、上院を通過し、バイデン大統領が署名し、成立。
滞っていたアメリカの支援が再開しました。
バイデン大統領は次のように演説しています。
「アメリカは友人とともに独裁者に立ち向かう。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

さて、仮にアメリカがウクライナへの支援を止めてしまったら、遠からずウクライナはロシアに敗戦し、多数の犠牲者も出てしまいます。
その結果、これまでのウクライナの決死の抵抗は無に帰すことになるのです。
一方、プーチン大統領は勢いに乗り、他の周辺国へも侵攻する可能性が高まります。
また、こうした状況は、中国の習近平国家主席による台湾への軍事侵攻のハードルも下げてしまうことになります。
そして、中国が台湾を今の香港のような状態にするようなことになれば、次の標的は尖閣諸島、そして沖縄というように拡大していくリスクが高まるのです。
そうなれば、米中の軍事衝突のリスクも高まり、第三次世界大戦にも発展しかねません。

ですから、こうならないようにするためには、アメリカを中心とした、日本も含めた自由主義陣営の国々は、絶対にウクライナ侵攻はロシアにとって失敗だったという結末にすることが必須なのです。

そういう意味で、とりあえずアメリア議会で608億ドル(約9兆4000億円)のウクライナ支援の予算案を可決し、バイデン大統領が署名して成立させたことはとても良かったのです。

ところが、3月12日付けネット記事(こちらを参照)では次のように報じています。

ハンガリーのオルバン首相は10日、米国で8日に会談したトランプ前大統領について、「ロシアとウクライナの戦争に一銭も出すつもりはない。そうすれば戦争が終わる」との明確な考えを持っていると述べた。オルバン氏はこの考えに賛同し、11月の米大統領選でのトランプ氏勝利に強い期待を示した。

要するに、トランプ前大統領が今年11月5日実施予定の大統領選挙で当選すれば、アメリカのウクライナ支援はゼロになり、その結果、それまでのウクライナやアメリカなどNATO諸国、および日本による支援は水の泡となってしまうのです。

ということで、特にアメリカやロシア、中国といった世界の軍事大国のリーダーには、世界平和の維持の重要性を第一義に、本来、色々な観点から紛争や戦争の勃発リスクを把握し、顕在化させないためにあらゆる努力をすることが求められるのです。
そういう観点からすると、トランプ前大統領も、プーチン大統領も、習近平国家主席も大国のリーダーとしては失格と言わざるを得ません。

一方、アメリカ、ロシア、および中国の多くの国民も本来、戦争に巻き込まれることは望んでいないはずです。
また、以前、お伝えしたように、独裁者と言えども、多くの国民の声を無視は出来ないのです。
ですから、特にアメリカ、ロシア、および中国の国民は、こうした自分たちの持つパワーを発揮して、一致団結して戦争抑止の最後の砦になっていただきたいと思います。
勿論、日本も含めて、他の国々の国民もいろいろな方法で、アメリカ、ロシア、および中国の国民に、戦争抑止の最後の砦になるべき、働きかけることが求められるのです。

そこで、重要なのはリスク対応策のキーポイントです。
リスク対応策は、リスクが小さいうちに実施するほど、影響を抑えることが出来、一方、対応策の実施が遅くなるほど、影響が大きくなり、対応策にかかるコストが大きくなるということです。

ですから、ロシアによるウクライナ侵攻も、ロシアによるクリミア併合(こちらを参照)の動きをアメリカなどが察知した時点で阻止する対応策に適切に取り組んでいれば、ロシアによるクリミアが併合されることもなく、従ってウクライナ侵攻も起きなかったのです。

ということで、世界各国のより多くの国民は、こうしたリスク管理のキーポイントをしっかりと認識し、自国の指導者が軍事力を使って外交問題を解決しないように声を大にして訴え続けることがとても重要な局面に世界情勢は動いているのです。
繰り返しになりますが、いかなる権力者も多くの国民の声を無視し続けることは出来ないのです。
いかなる国の国民にも、こうした潜在的なパワーがあることについて、各国の国民は自信を持つべきなのです。

 
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