１月９日（火）放送の「ニュース７」（ＮＨＫ総合テレビ）で人口減少への新たな提言について取り上げていたのでご紹介します。
民間の有識者会議らでつくる人口戦略会議は今日、日本が２１００年に総人口８０００万人の国家を目指すべきだとする提言を公表しました。
声明は、人口減少のペースを緩めるとともに、人口が減少しても成長力を維持出来る社会をつくる戦略が必要だと指摘しています。
会議のメンバーは今日、岸田総理大臣と面会し、内閣に人口戦略を扱う司令塔組織を設置すべきなどとする提言内容を説明しました。
岸田総理は、「官民で連携し、社会の意識改革に取り組みたい」と応じたといいます。
今日、人口戦略会議が岸田総理に手渡した提言は「人口ビジョン２１００」というものですが、２１００年に日本の人口は８０００万人を目指すべきとしていますが、その根拠について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「要するに、これ以上人口が減ると、国や社会が回らなくなっちゃうと、そういうことなんですよね。」
「その危機感を国民みんなで共有しましょうって、そういう提言だと思うんですね。」
「これをご覧いただきたいんですけども、合計特殊出生率なんですけども、１．３６の状態だと、２１００年の日本の人口は６３００万人になっちゃうわけですよね。」
「更に１．１３の合計特殊出生率だと５１００万人ということになるんですよね。」
「今の人口は１億２４２４万人ですから。」
「（もし、一番低い、この推定通りになってしまうと、２１００年には人口が今から約６割減ることになるという指摘に対して、）まさにこういうデータと認識を共有して、政府は予算を重点的に配分する必要があると思うんですよね。」
「要するに、女性には出産可能年齢っていうのがありますから、２０３０年までが１つの勝負と言っていいと思うんです。」
「（問題意識を共有することが大事だという指摘に対して、）はい。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して、民間の有識者会議らでつくる人口戦略会議の取り組みについて、以下にまとめてみました。
・１月９日、日本が２１００年に総人口８０００万人の国家を目指すべきだとする提言「人口ビジョン２１００」を公表した
・声明は、人口減少のペースを緩めるとともに、人口が減少しても成長力を維持出来る社会をつくる戦略が必要だと指摘している
-岸田総理大臣に、内閣に人口戦略を扱う司令塔組織を設置すべきなどとする提言内容を説明した
また、滝田さんは、この提言に関連して以下のように指摘しております。
・２１００年に日本の人口は８０００万人を目指すべきという根拠は、これ以上人口が減ると、国や社会が回らなくなるということである
-合計特殊出生率が１．３６だと、２１００年の日本の人口は６３００万人になる
-更に１．１３だと５１００万人になり、２１００年には人口が今から約６割減ることになる
-こういうデータと認識を共有して、政府は予算を重点的に配分する必要がある
-女性には出産可能年齢があるので、２０３０年までが１つの勝負と言っていい
なお、国の人口戦略の方針の１つとして、人口の緩やかな増加、あるいは減少が挙げられると思います。
なぜならば、急激な人口の増加、あるいは減少は世代間をまたがった暮らしに必要な資金、あるいは人材などにひずみをもたらすからです。
こうしたひずみを避けるために、特に急激な人口減少が見込まれる場合には、出産・育児・教育などに手厚い、いろいろな支援が求められます。
戦後のベビーブームに生まれていた世代が７５歳以上の後期高齢者となりつつある今もその時を迎えているのです。
そういう意味で、「人口ビジョン２１００」（こちらを参照）は以下の内容で、単に人口の量的な観点だけでなく、質的な観点からの戦略も含んでおり、とても理に適っていると思います。
（目指すべき社会の将来像）
・「未来選択社会（未来として選択し得る望ましい社会）」の実現
-一人ひとりが豊かで、幸福度が最高水準の社会
-個人と社会の選択が両立する社会
-多様なライフスタイルの選択が可能な社会
-世代間の『継承』と『連帯』を基礎とする社会
-国際社会において存在感と魅力のある国際国家
（目標）
・２１００年に８０００万人で人口が定常化することを目標
（３つの基本的課題）
�� 国民の意識の共有
�� 若者、特に女性の最重視
�� 世代間の継承・連帯と『共同養育社会』づくり
（２つの戦略）
�� 人口減少の流れを変える「定常化戦略（人口減少のスピードを緩和させ、最終的に人口を安定させることを目標とする戦略）」
・若年世代の『所得向上』
・若年世代の『雇用改善』
・『共働き・共育て』
・多様な『ライフサイクル』が選択できる社会づくり
・若い男女の健康管理を促す『プレコンセプションケア』
・子育て支援の『総合的な制度』の構築と財源確保
・住まい、通勤、教育費など（特に「東京圏」の問題）」
�� 強靭化戦略（質的な強靭化を図り、現在より小さい人口規模であっても、多様性に富んだ成長力のある社会を構築する戦略）
・人への投資の強化
・一人ひとりが活躍する場の拡大
・人口減少地域で医療・介護、交通・物流、エネルギー、教育などのサービスの質的強靭化と持続性向上
・日本での活躍が世界での活躍に直結するような『イノベーション環境』の整備など
・「永住外国人」「定住外国人」の政策について、「人口減少を補充するための『（補充）移民政策』はとるべきではない」とした上で、労働目的を中心とする外国人に対する総合戦略の策定
・その政策を遂行する体制の整備、政策の「司令塔」の設置
政府には、是非「人口ビジョン２１００」を実際に実行に移し、２１００年に８０００万人で人口が定常化することを実現するとともに、３つの基本的課題を解決していただきたいと思います。
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