1月9日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で炭素繊維での耐震強化について取り上げていたので内容の一部をご紹介します。
最大震度7を観測した能登半島地震で亡くなった方は200人を超えました。
文化財にも大きな被害が出る中、炭素繊維を用いた独自の耐震技術で倒壊を防いだという現場を取材しました。
1月9日午後、大勢の警察官が規制線を超えて向かったのは1月1日に震度6を記録し、大規模な火災が起きた石川県輪島市の観光地、輪島朝市です、
東京ドームほどの広さが焼失したとされる現場で石川県警が1月9日、100人体制での大規模な捜索を始めました。
石川県によりますと、今回の地震で亡くなった人の数は202人、最も多い珠洲市が91人で、1月8日から21人増え、次に多い輪島市でも81人、11人増えました。
安否が分からない人は102人です。
こちらは1月8日の323人から大幅に減りました。
ただ依然として道路の寸断や積雪の影響で輪島市や珠洲市などで3100人以上が孤立状態に置かれています。
一方、金沢市の北にある震度5弱を記録した内灘町でも液状化で電柱がかなり沈んでおります。
地震の被害は北陸の文化財にも広がっています。
金沢城公園では石垣が複数の箇所で崩壊しているのが確認されました。
金沢城は、この影響で現在も臨時閉園したまま。
石川県では、これまでに国の重要文化財など19件の被害が確認されております。
こちらは金沢県内にある県の指定文化財。
1932年に建てられた木造の教会です。
被害はなかったのでしょうか。
点検して回る男性の姿が。
「壁にクラックとかひびが入ってないか、確認しているんですが、大丈夫そうですね。」
ほっとした表情を浮かべるのは3年前にこの教会の耐震補強工事を担当した小松マテーレ株式会社の奥谷晃宏さん。
幸い、地震による被害は見られず、壁や天井は勿論、ステンドグラスなども無傷でした、
震度5強の揺れでも被害が出なかったのはなぜでしょうか。」
奥谷さんは次のようにおっしゃっています。
「これが炭素繊維。」
「奥の方に走っているのが見える。」
「見えませんが、この裏にも(炭素繊維が)入っている」。
古い木材の間に見えるのは炭素繊維で出来ているという、この白いワイヤが耐震性を高めているといいます。
いったいどういう技術なのでしょうか。
奥谷さんは次のようにおっしゃっています。
「真ん中に炭素繊維の束が入っていて、それを外側のガラスで被覆しているっていう。」
太さ9ミリのワイヤですが、約20トンの衝撃に耐えられます。
炭素繊維の特徴である、軽くて強いことと柔軟性があり、施工がし易いことから木造建築の耐震補強材として注目され、文化財の補修などで引き合いが多いといいます。
小松マテーレでは、自社の工場の耐震補強にも活用しています。
奥谷さんは次のようにおっしゃっています。
「柱と梁の間をつなぐことによって、屋根面の揺れを防いでくれる。」
ワイヤを柱や梁などに対し、対角線上に組むことで地震が起きた時に建物の変形を防ぐといいます。
奥谷さんは次のようにおっしゃっています。
「他の工場なんかでは、一部、壁の剥落であったりとか、配管の不具合が出たりとかしたんですけど、この工場は今のところ、聞いている限りではほぼ無傷だと。」
「しかも今回、ここの工場は稼働を止めずに(耐震)補強しましたので。」
通常の耐震補強工事の場合、金属製の重いワイヤを吊り上げるための大型の重機を使う必要があるため、工場の稼働停止を余儀なくされます。
しかし、炭素繊維のワイヤ(カボコーマ)は重さが金属製のワイヤの4分の1と軽いため、人の力でも簡単に端から端まで張ることが出来ます。
工場の操業を続けながら、耐震化が出来、コストも10分の1程度で済みました。
奥谷さんは次のようにおっしゃっています。
「特に能登半島では本当に古い建物が多いです。」
「今回、かなり被害を受けたと思うんですけど、残った建物も(炭素繊維ワイヤで)補強してあげられればいいなと思っています。」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
番組を通して、炭素繊維を用いた耐震強化について以下にまとめてみました。
・金沢県内にある県の指定文化財、1932年に建てられた木造の教会は、今回の震度5強の揺れでも被害が出なかった
・3年前にこの教会の耐震補強工事で炭素繊維のワイヤが使用されていた
-真ん中に炭素繊維の束が入っていて、それを外側のガラスで被覆している、太さ9ミリのワイヤだが、約20トンの衝撃に耐えられる
-炭素繊維の特徴である、軽くて強いことと柔軟性があり、施工がし易い
-木造建築の耐震補強材として注目され、文化財の補修などで引き合いが多い
・小松マテーレでは、自社の工場の耐震補強にも活用している
-柱と梁の間をつなぐことによって、屋根面の揺れを防いでくれる
-ワイヤ柱や梁などに対し、対角線上に組むことで地震が起きた時に建物の変形を防ぐことが出来る
-この工場は今のところ、ほぼ無傷で、稼働している
-炭素繊維のワイヤは重さが金属製のワイヤの4分の1と軽いため、人の力でも簡単に端から端まで張ることが出来る
-工場の操業を続けながら、耐震補強が出来る
-コストも10分の1程度で済む
まず、炭素繊維の束が入っており、外側をガラスで被覆している、太さ9ミリのワイヤが約20トンの衝撃に耐えられるというのは素晴らしい技術だと思います。
しかも、工場の操業を続けながら耐震補強が出来、軽くて強く、柔軟性があり、施工もし易く、コストも10分の1程度ということですので、今後、歴史的な建造物など、いろいろな建造物の耐震補強に使用されていくと見込まれます。
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