2024年04月17日
アイデアよもやま話 No.5871 捨てられる電気をなくせ!
昨年12月25日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で捨てられる電気をなくす系統用蓄電池(バッテリー)について取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

今、発電しても使われず、捨てられてしまっていることが問題になっています。
対策に取り組む企業を取材しました。

群馬県桐生市、街中の空き地である計画が。
株式会社アフターフィット(2024年3月1日、しろくま電力株式会社へ社名変更)の渡辺直哉さんは次のようにおっしゃっています。
「こちらは系統電力用蓄電池を設置する場所になります。」
「来年の夏ぐらいに着工して3〜4ヵ月の工事期間になるかと思います。」

通常、発電所で作られた電気は系統と呼ばれる大手電力会社のシステムを通じ、消費地に送られています。
系統用蓄電池は、この電力システムにつなぐことで電気代の安い昼間に電気を買って蓄電し、需要が高く、電気代が高い夜間に売るための設備です。
スタートアップ企業のアフターフィットは、今月、熊本県荒尾市で、最初の系統用蓄電池の本格運用を始めました。(約600世帯分)
実はこれ、捨てられてしまっている電気を無駄にしないことに役立っています。
実際に足元で、大手電力会社が太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気の買い取りを止める出力制御(添付参照)の回数が昨年の3倍増加し、問題視されているのです。
系統用蓄電池を巡っては、伊藤忠商事が今月、東京都と連携して系統用蓄電池の専用ファンドを設立しました。
渡辺さんは次のようにおっしゃっています。
「太陽光発電所を造っても有効に使われないっていうのが非常に無駄になっています。」
「で、その無駄を何とか無くそうというのが系統用蓄電池の役割でもあります。」

アフターフィットの東京本社(東京・港区)を訪ねると、谷本貫造社長は次のようにおっしゃっています。
「うちの心臓部分になるんですけど、グリーンマップといいまして、日本中の発電所(蓄電所)に適したところを解析してくれるソフトになります。」

大手電力の送電網が空いているところが緑、逆に空いていないところが赤など、AIが蓄電所に適した場所を示してくれる仕組みです。(こちらを参照)
谷本社長は次のようにおっしゃっています。
「(先ほどの群馬県桐生市を見てみると、)送電線と変電所があって、ここだと近い距離なので(適している)。」
「ここのところの土地の形状が分かり、地権者さんも調べることが出来るので、土地を使わしていただくことが出来るか、あるいは購入させていただくことが出来るかというようなことまで分かるので。」

今後は世界に何千とある蓄電池メーカーから性能の良い蓄電池を選ぶのがコスト削減のカギになると話します。
「世界中の蓄電池の状況をしっかりと把握し、その時々で一番最適な選択をしていくってことが重要になる。」
「今後5年間で約100ヵ所、家庭でいうと約60万軒分ぐらいが賄われる発電所(蓄電所)を造っていくと。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通して、アフターフィット(現、しろくま電力の取り組みを以下にまとめてみました。

(系統電力を巡る現状の問題)
・大手電力会社が太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気の買い取りを止める出力制御の回数が昨年の3倍増加し、問題視されている(熊本県荒尾市)
 -太陽光発電所を造っても有効に使われないケースがあり、無駄が生じている

(アフターフィットの取り組み)
・通常、発電所で作られた電気は系統と呼ばれる大手電力会社のシステムを通じ、消費地に送られている
・太陽光発電所を造っても有効に使われないケースがあり、その無駄を何とか無くそうというのが系統用蓄電池の役割である
 -系統用蓄電池により、この電力システムにつなぐことで電気代の安い昼間に電気を買って蓄電し、需要が高く、電気代が高い夜間に売ることが出来る
・グリーンマップというソフトにより、日本中の発電所(蓄電所)に適したところを解析している

(メリット)
・捨てられてしまっている電気を無駄にしない
・安い電力を消費者に提供出来る

(今後のビジネス展開)
・世界中の蓄電池の状況をしっかりと把握し、その時々で一番最適な選択をしてコスト削減を図る
・今後5年間で約100ヵ所、家庭でいうと約60万軒分ぐらいが賄われる発電所(蓄電所)を造っていく

要するに、グリーンマップ(現、しろくま電力)は、太陽光のような再生可能エネルギーにより発電された電気のうち、系統電力の受給バランスを保つために東京電力のような大手電力会社が買わずに捨てられてしまっている分を系統用蓄電池に蓄電し、需要が高く、電気代が高い夜間に売るというビジネスモデルを展開しているのです。

ですから、今後、太陽光のような再生可能エネルギーによる発電が普及していき、一方で蓄電池の低価格化が進むことにより、グリーンマップの取り組むビジネスは成長が期待出来ます。
また、社会的な観点からも、電力の無駄が無くなり、言わば“電気ロス”の削減で、“脱炭素”に貢献出来るというわけです。


添付)

電力会社による出力制御とは?
ChatGPT
電力会社による出力制御は、電力供給の安定性や電力網のバランスを維持するために行われる制御手法の一つです。これは、電力需要と供給のバランスを保つために、電力会社が発電設備の出力を調整することを指します。
一般的に、電力需要は時間や季節によって変動します。ピーク時には需要が高くなり、需要が急激に変化することもあります。電力会社は、需要と供給のバランスを保つために、需要予測や供給予測を行い、それに基づいて発電設備の出力を調整します。
出力制御にはいくつかの方法があります。例えば、発電設備の起動や停止、発電量の調整、負荷制御などがあります。また、再生可能エネルギーの普及に伴い、太陽光や風力などの発電設備の出力は天候や風量に依存するため、これらの発電設備の出力制御も重要です。

出力制御は、電力網の安定性や信頼性を高めるために欠かせない要素です。電力供給の安定性を維持することで、停電や電圧の低下などの問題を防ぎ、安全で信頼性の高い電力供給を確保することが目指されます。

 
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