昨年１２月１日（金）放送の「ワールドビジネスサテライト」（テレビ東京）で気候変動対策を巡り、先進国と途上国の橋渡しを担おうとする日本政府について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
ドバイで開催中（2023年11月30日〜12月12日）のＣＯＰ２８（国連気候変動枠組条約第２８回締約国会議）で日本企業が持つ技術の売り込みを図る政府、総理同行取材をしている利光泰輔記者が岸田総理の狙いを解説します。
「気候変動対策を巡っては、温室効果ガスの排出削減目標達成を強く求める先進国と先進国の支援が優先だとする発展途上国の間で意見の対立があるのが現状です。」
「特にＥＵ、ヨーロッパ連合は２０３０年までに温室効果ガスの排出量を１９９０年と比べ５５％以上削減するといった野心的な目標を掲げています。」
「ただ、これには産油国である中東や経済成長が著しく、削減が難しいアジア諸国などは付いて行けないのが現状です。」
「この橋渡しを担おうとするのが日本政府です。」
「岸田総理は排出削減という共通の目標に向けて多様な道筋があるとしていて、途上国に理解を示しつつ、技術や金融力を総動員してリードするという姿勢を打ち出しています。」
「政府としては、独自の立場からの支援策を打ち出しつつ、途上国に対し、環境技術を売り込むことで経済的な成果にもつなげたい考えです。」
なお、番組の途中で、速報が入ってきました。
岸田総理大臣が演説に臨み、温暖化対策を講じていない石炭火力発電所の新たな建設は行わない方針を表明しました。
また、岸田総理は、世界全体の再生可能エネルギーの設備容量を２０３０年までに３倍にするという議長国、ＵＡＥ（アラブ首長国連邦）が掲げる目標に賛同すると述べました。
さて、今回のＣＯＰ２８の焦点について、解説キャスターで日本経済新聞論説主幹の原田亮介さんは次のようにおっしゃっています。
「脱化石燃料を加速するために、「２０３０年までに再生可能エネルギーを３倍に増やす」と、２つ目は“気候変動災害”を補償するための基金を作ると前回のＣＯＰ２７で決まったんですけど、誰がどう負担するかが決まってないですね。」
「そこを決めなくちゃいけないですね。」
「この基金については、日本が１５億円出すということが決まって、それ以外もこれだけの国や地域が負担をすんですね。（こちらを参照）」
「それで、今後、中国がここにお金を出すのか、ここが１つポイントだと思いますね。」
「（世界的に異常気象が相次ぐ中で、この規模は十分と言えるかという問いに対して、）こちらにありますけど、パキスタンで２０２２年５月に洪水があったんですけど、この被害想定額は６兆円と言われているわけですね。」
「全く足りないということですね。」
「で、一方、再生可能エネルギーを３倍に増やすことについて、アメリカ、ＥＵが賛成しているんですけど、日本は再生可能エネルギーの導入が遅れてますよね。」
ｄ「岸田総理は原子力の活用について演説で触れてて、原発の再稼働が念頭にあると思うんですね。」
「もう一つ、３倍にするっていうのは、自国ではなくて世界の目標って言っている。」
「ここは一つの逃げ道になっているのかなと。」
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
番組の内容を以下にまとめてみました。
・気候変動対策を巡っては、温室効果ガスの排出削減目標達成を強く求める先進国と先進国の支援が優先だとする発展途上国の間で意見の対立がある
-特にＥＵは２０３０年までに温室効果ガスの排出量を１９９０年と比べ５５％以上削減するといった野心的な目標を掲げている
-一方、産油国である中東や経済成長が著しく、削減が難しいアジア諸国などは付いて行けないのが現状である
-この橋渡しを担おうとするのが日本政府であり、岸田総理は排出削減という共通の目標に向けて、途上国に理解を示しつつ、技術や金融力を総動員してリードするという姿勢を打ち出している
・政府としては、独自の立場からの支援策を打ち出しつつ、途上国に対し、環境技術を売り込むことで経済的な成果にもつなげたい考えである
・岸田総理はＣＯＰ２８での演説に臨み、温暖化対策を講じていない石炭火力発電所の新たな建設は行わない方針を表明した
・解説キャスターの原田さんは、ＣＯＰ２８の焦点を以下ように指摘している
�｜Σ柔佛確舛魏誕�するために、２０３０年までに再生可能エネルギーを３倍に増やすことについて、日本は出遅れている
��“気候変動災害”を補償するための基金を作ると前回のＣＯＰ２７で決まり、日本も含め、一部の国はいくら出すか決まっているが中国は決まっていない
��世界的に異常気象が相次ぐ中で、この規模では全く不十分である
-パキスタンで２０２２年５月に洪水があったが、この被害想定額だけで６兆円と言われている
こうしてみると、以下のことが言えます。
・地球温暖化による影響で、思っている以上に世界各地での洪水などの被害想定額は大きく、地球温暖化の進行とともに更に被害額は増えていく
・しかし、こうした“気候変動災害”を補償するための基金では不十分である
・気候変動対策を巡って、先進国と発展途上国の間で意見の対立がある
・こうした中、日本政府は先進国と途上国の橋渡しを担おうとしている
・同時に独自の立場からの開発途上国への支援策を打ち出している
ということで、日本政府には以下の施策に取り組んでいただきたいと思います。
・現実に実現可能な観点から、２０５０年までにＣＯ２排出量のネットゼロを達成する道筋を明らかにすること
・この道筋に沿って、日本としての対応策に取り組むと同時に、開発途上国への支援にも取り組むこと
・開発途上国への支援に必要な基金の確保については、ＣＯＰなどを通じて、先進国に協力を求めること
・同時に、日本の取り組みの成果を他の先進国に水平展開すること
なお、ＣＯＰ２８の成果と合意についてはこちらを参照下さい。
さて、地球温暖化による様々な影響が加速化しており、地球温暖化の阻止に向けた取り組みが喫緊の課題である中、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルとハマスとのガザでの戦闘などで多額の資金を争いに投入している場合ではないのです。
ですから、世界各国の指導者は “今、世界各国は何をすべきか”を自らに問い、大局的な観点から、一致団結して地球温暖化の阻止に向けて、取り組むべきなのです。
今のように、世界各地で起きている戦争や紛争の解決に時間を費やしていては、どちらの国が勝利したとしても、人類全体は地球温暖化阻止に向けての闘いの敗者になってしまうのです。
ということで、今こそ、人類の英知が試されているのです。
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