2024年03月24日
No.5850 ちょっと一休み その921 『旺盛なインバウンド!』
昨年11月16日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で旺盛なインバウンドについて取り上げていたのでご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

最近のインバウンド(訪日外国人旅行者)の状況について、番組コメンテーターでニッセイ基礎研究所の上席研究員、久我 尚子さんは次のようにおっしゃっています。
「中国というとインバウンドですけども、中国の消費の割合、2019年は約4割を占めて、目立っていたのが、今、2割まで減っているんですね。(こちらを参照)」
「ただ、消費の総額でみると、実はコロナ禍前を既に超えてきているんですね。」
「(つまり、中国の消費が減っていても、他の国で賄っている状態だという指摘に対して、)確かに中国は減っているんですけど、いろんな国の増加分が既に上回っているということで、今、一国に依存するというかたちではなくて、様々な国からの消費が期待出来る状況なんですね。(こちらを参照)」
「こちら、一部なんですけども、欧州の諸国であるとか、いろんな国で消費が盛り上がっているので、多くの製品について海外販路の拡大が期待出来ると思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

要するに、コロナ禍前はインバウンドの多くは中国でしたが、今や福島第一原発の処理水を巡る中国の反発もあって、中国の消費は減っていても、その一方で他の国の消費が増えており、消費の総額はコロナ禍前を既に超えてきているのです。

なお、インバウンドの数のトレンドですが、2020年は世界で18位、アジアで6位でしたが、2022年には、これまでになく大きく数値を落とし、ベスト40のランキング圏外となりました。(こちらを参照)
しかし、昨年(2023年)5月29日付けネット記事(こちらを参照)によれば、その後、日本を訪れる外国人旅行者数も急速に回復しており、直近の調査では訪日外国人観光客の数はインバウンドのピークを迎えた2019年の約6割の水準まで戻っています。

ちなみに、2022年にインバウンドの数がこれまでになく大きく数値を落とし、ベスト40のランキング圏外となった理由については添付を参照下さい。

この記事の内容を以下にまとめてみました。

(日本が次に訪れたい国の首位に!)
・株式会社日本政策投資銀行(DBJ)と公益財団法人日本交通公社(JTBF)が共同で行った「DBJ・JTBFアジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2022年度版)」(アジア、欧州、アメリカ、オーストラリアの人を対象に、海外旅行についての意向をリサーチ)によれば「次に海外旅行したい国・地域」の1位は日本である
 -回答者のおよそ2に1人が日本に旅行したいと答えている

(評価の高い日本の観光コンテンツ)
・日本の観光資源のなかでも特に「食事のおいしさ」「治安の良さ」「買い物」「宿泊施設」などが世界的高い評価を受けている
・自然や農山漁村など地域資源を活用した体験型のコンテンツも高いニーズを誇る

(訪日外国人数の推移)
・2023年も中盤に差しかかり、訪日外国人の数もコロナ禍前の水準に戻りつつある
・JNTO(日本政府観光局)発表の2023年4月訪日外客数推計値は約195万人である
・2019年同月比では66.6%にまで回復し、個人旅行再開以降では最高を更新した
・2022年のデータでは、「韓国」「中国」「台湾」「香港」の4つでインバウンド客のおよそ半数を占めており、アジア全体では約8割にのぼる

(早急なインバウンド対策が求められる理由・背景)
・訪日外国人観光客の取りこみは売上・利益アップに直接つながる
 -観光庁の2023年1〜3月期の「訪日外国人消費動向調査」によると全体の消費額は1兆146億円である
 -1人当たりの消費額は21.2万円でこれは、インバウンド需要が最も盛り上がった2019年の15.9万円を大きく上回っている
・訪日外国人観光客は増えているが、受け入れ態勢は不十分な面もある
 -2018年に観光庁が行った調査では、訪日外国人観光客が「日本滞在中に困ったこと」として、「コミュニケーションができない」「多言語表示の少なさ」「無料のWi-Fi環境」などの点が挙げられている
・インバウンド対応にはキャッシュレス対応が不可欠である
 -海外ではキャッシュレス利用率が日本よりもはるかに高く、特に同じアジア圏でもある中国や韓国は8割以上の人がキャッシュレス決済を利用している
 -一番大きいボリュームのアジア人観光客を取りこむのであれば、キャッシュレス化は有効な手立てである
 -キャッシュレス決済にはQRコード決済もあり、クレジットカードや電子マネーなどとは違い導入費用がかからない

(日本全体の成長にも大きく影響するインバウンド)
・今後さらに進む人口減少や少子高齢化は日本国内のマーケット縮小を意味する
・内需拡大がなかなか見込めない以上、インバウンドへの積極的な取り組みは日本経済全体の課題になっていく
 -この機会を逃すことなく飲食業や宿泊業を中心に景気が上がれば、賃金相場の底上げが期待でき、景気の好循環が生まれるかもしれない
・現地の事業者にとっては新たなビジネスチャンスが生まれ、雇用の創出や地域経済の活性化に寄与することになる

こうしてまとめてきて、特筆すべきは、回答者のおよそ2人に1人が日本に旅行したいと答えており、日本が次に訪れたい国の首位になるという調査結果です。
ちなみに、インバウンドを扱ったテレビ番組を見ていると、インバウンドのリピーターが目につくことがよくあります。
それだけ、日本は質、量的にインバウンドにとって魅力的なのです。
これは日本にとって、とても有難いことです。

なお、今後ともインバウンドのリピーターが増えることは、インバウンドにとっても、日本経済にとっても良いことです。
ですので、国がリーダーシップを発揮し、地方自治体や旅行会社と組んで、インバウンドが満足しそうな対象を洗い出して、それらを体系化し、お勧めのいろいろなルートなどを作成してネット上で公開し、新たな需要を開拓することが必要なのです。


添付)

なぜ日本へのインバウンドの数は2022年に世界ランキングを落としたのか?
ChatGPT
2022年に日本へのインバウンド観光客数が世界ランキングで低下した理由は、いくつかの要因が絡んでいます。
1.新型コロナウイルスの影響: 2020年から2021年にかけて、世界的なパンデミックが観光業に大きな影響を与えました。日本も例外ではなく、国境の制限や入国規制、観光施設の一時閉鎖などが行われました。これにより、多くの外国人観光客が日本を訪れることが困難になり、インバウンド観光客数が大幅に減少しました。
2.オリンピックの影響: 2020年に予定されていた東京オリンピックが、新型コロナウイルスの影響で2021年に延期されました。この延期により、多くの外国人観光客がオリンピックの開催を待って日本を訪れることが予想されましたが、実際には2021年にもオリンピックは制限付きで開催され、多くの人々が観客としての参加を控える中、期待された観光客数が実現しませんでした。
3.国内状況の変化: 日本国内での政治的、経済的な状況の変化もインバウンド観光客数に影響を与えました。例えば、為替レートの変動や消費税率の引き上げなどが、外国人旅行者の日本訪問に影響を与える要因となりました。

これらの要因が組み合わさり、2022年に日本へのインバウンド観光客数が世界ランキングで低下したと考えられます。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています