2024年03月16日
プロジェクト管理と日常生活 No.861 『2050年には気象の制御が可能に、しかし大きな課題も!』
昨年11月21日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でコンピューターによる気象の制御について取り上げていたのでご紹介します。 

気象を制御する技術の研究に日本も国を挙げて取り組んでいます。
スーパーコンピューター、富岳を使って、気象制御の研究をしている理化学研究所の三好建正さんは次のようにおっしゃっています。
「制御となると、求められる予測の精度も高くなりますし、たくさん計算することが増々重要になってくる。」

政府主導の大型研究プロジェクト「ムーンショット目標」の一つを取り仕切りっています。
「2050年に気象を制御して、豪雨や台風の火災を軽減するというのが目標です。」
「例えば災害をもたらすような大雨が降りそうな時に、そもそも雨自身を弱く出来ないかというようなことを考える。」

三好さんが取り組むのは、台風や豪雨といった災害につながる気象を人の力で制御しようとする技術の研究。
現在は富岳などでのコンピューター上でシミュレーションを実施し、気象制御に適した手段を探しています。
三好建正さんは次のようにおっしゃっています。
「大型の扇風機みたいなものをある場所に置くと、空気の流れを少し変えることが出来て、ゲリラ豪雨が発達するプロセスを少し阻害することが出来る。」
「あるいは、大きな凧をいくつか上げて、間にカーテンを張ってしまおうと。」
「それで水蒸気を含んだ風が来た時にブロックさせることが出来ないかとか、いろんなアイデアがある。」

一方、人の力で気象を操ることには課題も。
「もし、そういう技術を人類が手にしたとして、それは使っていい技術なんだろうか。」
例えば、大雨を単に減らそうと思っていたのに別の場所で大雨が降ってしまって、別の場所に被害が出てしまった。」
「それをどうするかということになりますよね。」
「そういう問題をしっかり最初の時点から考えて、社会で本当に使える技術になるように進めていこうとしている。」

人工的に雨を降らしたり、気候変動を制御したりというのは可能なのかもしれませんけど、気候についてはまだ分かっていないことも多そうです。
こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「今VTRにあったように、あるところで豪雨を防げたとして、別の場所が豪雨になっちゃ話にならないわけですから、その辺のところは考える必要があると思いますね。」
「(慎重に研究を重ねた方が良い分野だと思うが、ただダムが干上がってしまったりしたら、恵みの雨が欲しいという気持ちは分かるという指摘に対して、)雨不足の時には人工降雨はまさに恵みの雨だと思うんですけども、ちょっと課題として技術的な問題を考えてみたいんですけど、1つは原理を考えてみたいんですけど。」
「どういうことかというと、クラウドシューティング(雲の種まき)なんですよね。」
「そういうふうに言われているわけなんです。」
「(その雲の種になるのが、さっきVTRに出てきたヨウ化銀といったものですが、)ヨウ化銀というのはヨウ素と銀の化合物なんですよね。」
「ちょっとなら人体に影響はないというわけですけれども、大量にまいた場合に生態系や人間の健康にどういった影響があるかというのは考えてみる必要があると思いますよね。」
「(更に雲が出来るということは、気流も起こすということだという指摘に対して、)地球規模での気流といいますと、西から東に吹く偏西風ということになると思うんですけども、ここで考えなきゃいけないのは、西から東に偏西風は吹いているわけですから、例えば中国が今、大規模な気候改変プログラムを推進中なんですけども、その風下に当たるのは日本や韓国、台湾なんで、非常に大きな影響を被りかねないという問題があると思うんですね。」
「これもVTRにありましたけども、やっぱり関係国どうしの意思疎通をしっかりやらないとまずいと思います。」
「(そうですね、国境を越えて地球規模で考えたいという指摘に対して、)まさにそういう問題だと思います。」

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組を通して、スーパーコンピューター、富岳などを使った、理化学研究所での気象制御の研究、政府主導の大型研究プロジェクト「ムーンショット目標」について以下にまとめてみました。

(目標)
・2050年に気象を制御して、豪雨や台風の火災を軽減することを目標とする
 -例えば災害をもたらすような大雨が降りそうな時に、雨自身を弱く出来ないかというようなことを考える

(内容)
・台風や豪雨といった災害につながる気象を人の力で制御しようとする技術の研究をする
 -現在は富岳などのコンピューター上でシミュレーションを実施し、気象制御に適した手段を探している

(課題)
・例えば、大雨を単に減らそうとした場合に別の場所で大雨が降って被害が出てしまう
 -例えば中国では今、大規模な気候改変プログラムを推進中だが、その風下に当たるのは日本や韓国、台湾なので、非常に大きな影響を被りかねないという問題がある

(課題対応策)
・クラウドシューティング(雲の種まき)の実施(添付1、および添付2を参照)

こうしてみてくると、地球温暖化の進行に伴い世界的に頻発している集中豪雨による大災害を防止するうえで、気象制御は有効な手段として期待出来ます。

一方で、やはり、人工的に気象を制御する際の他の地域への影響がとても気になります。
しかも、こうした人工的な気象の制御が世界中の多くの地域で頻繁に行われるようになった場合の影響の大きさまで的確に把握出来るかという課題です。
ということで、こうした課題をクリアした状態での気象制御が求められます。


添付1)

雲の種まきの詳細な説明は?
ChatGPT
「雲の種まき」(Cloud Seeding)は、気象学や気象操作の一環として行われる技術で、雲の中に凝結核(微小な粒子)を導入することで、雲の発達や降水を促進しようとする手法です。以下に、雲の種まきに関する詳細な説明を示します:
1.目的:
•雲の種まきの主な目的は、特定の地域で雨や雪の降水を増やすことです。これにより、水不足の緩和や農業における水資源の増加などが期待されます。
2.凝結核の導入:
•雲の中には、水蒸気が凝結して雲滴を形成する際に必要な微小な核(凝結核)が不足していることがあります。雲の種まきでは、これらの凝結核を供給するために、航空機やロケットから微小な粒子を散布または放出します。
3.凝結核の種類:
•凝結核として使用される物質には、硫酸塩、塩、アルコール、または乾燥したアイソプロピルアルコールなどがあります。これらの物質は、雲の中で水蒸気が凝結して水滴になりやすい性質を持っています。
4.散布方法:
•航空機からの散布: 専用の航空機が目標地域の雲上空に凝結核を散布します。これにより、雲内の水蒸気が凝結して雲滴や氷晶が形成されます。
•ロケットからの放出: 地上から発射されたロケットが大気中に微粒子を放出し、同様の効果を得ることがあります。
5.効果と効果の検証:
•雲の種まきの効果は環境や気象条件に依存するため、検証が難しく、科学的な評価が必要です。効果の評価には、気象データの分析や実地実験が含まれます。
6.環境への影響と倫理的な懸念:
•雲の種まきが環境や気象に与える影響には懸念があり、科学的な研究が進行中です。また、倫理的な問題も関与し、慎重な検討が求められます。

雲の種まきは、水資源管理や気象変動への対応などの目的で研究や実施が行われていますが、その効果や安全性については慎重に検証される必要があります。

添付2)

雲の種まきにはヨウ化銀も使われるのでは?
ChatGPT
はい、正しいです。ヨウ化銀(silver iodide)は、雲の種まきに広く使用される物質の一つです。ヨウ化銀は、その結晶構造が氷晶と類似しており、雲中の水蒸気が凝結して雲滴や氷晶が形成されるのを助ける凝結核として機能します。
ヨウ化銀の特性には、以下の点が挙げられます:
1.凝結核としての性質: ヨウ化銀の結晶構造が氷晶に似ているため、雲の中で水蒸気が凝結しやすくなります。これにより、雲滴や氷晶の形成が促進され、降水が期待されます。
2.散布方法: ヨウ化銀は、航空機から散布されることがあります。専用の飛行機がヨウ化銀の粒子を雲に散布することで、雲中の水蒸気が結合して雲滴や氷晶が形成されます。
3.安定性と効果の検証: ヨウ化銀は安定した物質であり、効果の検証が比較的容易です。気象条件や目標地域によって効果が異なるため、科学的な実験とデータ収集が行われています。

ヨウ化銀以外にも、硫酸塩や塩、アルコールなどが雲の種まきに使用されることがあります。これらの物質は、雲中の水蒸気が凝結して雲滴や氷晶に成長する際に必要な核としての役割を果たします。雲の種まきは、科学的な検証や環境への潜在的な影響を考慮しながら行われるべきであり、国や地域によっては法的な規制が存在する場合もあります。

 
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