2024年01月24日
アイデアよもやま話 No.5799 派閥の政治資金パーティをめぐる事件の本質!
1月22日(月)付けネット記事(こちらを参照)で派閥の政治資金パーティをめぐる事件おける自民党の対応策について取り上げていたので内容の一部を以下にご紹介します。 

・派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、自民党は22日、党本部で岸田総理大臣も出席して、すべての議員を対象に「政治刷新本部」の会合を開き、今週25日にも行う中間とりまとめに向けた論点を示した
・この中では「『政治は国民のもの』という立党の原点に立ち戻り、わが党みずからが変わらなければならない」としている
・党が運用面で進める改革として
 ▽派閥の収支報告書に外部監査を導入するほか
 ▽会計責任者が逮捕・起訴された場合に議員を処分するなど、コンプライアンスを徹底するとしている
・派閥については、カネと人事から完全に決別し、真の「政策集団」とするとして
 ▽政治資金パーティーを全面禁止し
 ▽閣僚人事などでの働きかけを禁止するとともに
 ▽政治資金規正法違反などが明らかになった場合は、党が審査し、事案に応じて解散や一定期間の活動休止を求められるようにするとしている
・さらに、政治資金の透明化・公開性の向上などを図るため、各党と真摯(しんし)な協議を行い、政治資金規正法の改正などの法整備を進めるとしている
・本部は、この論点をもとに23日も中間とりまとめに向けた議論を行うことにしている
・首相 岸田派の解散意向 “けじめをつけるため判断”
 -岸田総理大臣は自民党の「政治刷新本部」の会合で、先に岸田派を解散する意向を示したことについて「派閥として、どうけじめをつけるのかということで解散を判断した」と説明した
・そして「『政治刷新本部』では並行して、党として、どういった方向性を目指すのか、さらにはどういったルールを決めるのか方針を議論していく。これらはともに大事なことだ」と述べ、派閥ごとの対応と、党としての再発防止策の構築の両方が重要になるという考えを示した

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

今回の事件の一連の経緯について、以下にまとめてみました。
・政治活動には資金がかかる
・そこで、各派閥で政治資金パーティーを開催し、活動資金を得ている
・こうして得た資金の一部の各議員への分配に際し、収支報告書への記載漏れが生じており、これは脱税と見なされる

一方で、そもそも派閥とは何ぞやですが、ウィキペディアでは以下のように記しています。(こちらを参照)

政党における派閥とは、その政党で統一されているもの以外の政策や主張に共通点のある者同士が集まって、意見の集約と統一された政策の形成を図り、政策の実現に向けての活動として、その政党の執行部を担当もしくは目標とし、政党の交流におけるコミュニケーションの場となる組織または団体を指す。

要するに派閥とは本来、政策集団を意味しているのです。
ですから、派閥そのものの否定は政党活動において望ましくないのです。
従って、今回、自民党内で一部の派閥が解散を表明していますが、いずれ別なかたちで新たな派閥が生まれることは明らかです。
ということは、今回の派閥の解散表明は世間の目を気にした一時的な対応と見なされても仕方のないものです。

なお、現在、派閥の政治資金パーティをめぐる事件をきっかけに、以下のように、これまでのいろいろな派閥を巡る弊害が表面化してきました。
・政治活動には多額の資金を要すること
・派閥の収支報告書へのチェック機能が働いていないこと
・一部の企業からの多額の寄付金は党の政策策定において寄付元の企業への配慮がなされる可能性を秘めていること
・派閥からの閣僚人事などでの働きかけ
・派閥の所属議員数の割合の多さを反映した、適材適所を欠いた閣僚の選択
・たび重なる国会議員の不祥事

こうした中で、自民党所属の全ての議員を対象に「政治刷新本部」の会合を開き、今週25日にも行う中間とりまとめに向けた論点を示した内容には、いくつかの問題解決案が含まれています。
しかし、派閥の政治資金パーティをめぐる事件の本質、すなわち政治資金不足に迫る根本的な問題の解決につながる以下の内容が含まれておりません。
・政治活動の洗い出し/見直し
・派閥の政治資金パーティなどに依存しない政治活動に必要な資金の確保
 -DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みによる政治活動の効率向上
 -税金の一部を政治活動資金として投入

そもそも必要な活動資金がなければ、政治家として十分な活動が出来ないような状況は望ましくないのです。
まず、十分な選挙資金が無くても、政治家を目指す優秀な人材が政治家になれるような環境の整備こそ求められるのです。
更に優秀な人材が政治家になった後も政治活動が十分に出来るような環境の整備が求められるのです。

なお、党の理念に則った政策集団としての派閥は是非とも必要なのです。
なぜならば、一人で、あるいは一人一人が個別に同じ政策に取り組むことは非生産的だからです。
政策集団の中で激論を交わすことによって、より良い政策が生まれ、効率的に実施されるのです。

ということで、自民党には、今回の事件をきっかけに、政党支持率の低下を阻止するための一時しのぎではなく、政党の活動のあり方を根本的に見直し、より多くの国民が納得出来るような結論を出し、より良い日本の国づくり、および国際社会への貢献に取り組んでいただきたいと思います。

なお、よく言われるように、“ピンチこそ絶好のチャンス”なのです。
平常時には取り組みたくても出来ないような大改革もピンチに直面した際には大改革をし易い環境が整うのです。
ですので、自民党には、今回の党存続の危機を絶好のチャンスと捉えて大改革に取り組んでいただきたいと思います。

 
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