９月２１日（木）付けネット記事（こちらを参照）で防衛政策の転換点 反撃能力の保有について取り上げていたのでその一部をご紹介します。
（反撃能力とは）
・反撃能力とは、敵国のミサイル発射基地などを攻撃できる能力のこと。特に日本を攻撃対象とした弾道ミサイルに対処するためのもので、政府は反撃能力を示すことにより、日本への攻撃を防ぐことを目指している。
・これまで日本のミサイル防衛は、海上のイージス艦から迎撃するミサイル「SM3」と地対空誘導弾パトリオットミサイル（PAC3）による防空網に頼ってきた。しかし政府はこれらのシステムでは不十分として、2022年12月に新たな安全保障関連3文書を閣議決定。その中で、反撃能力の保有とそのための防衛費倍増を明言している。
・相手の領土内で基地を攻撃する武力の保有については、国内外を問わず様々な議論の対象となっている。財源についても問題視されており、特に増税を懸念する声が大きい。
（日本のミサイル防衛はキーパーだけでサッカーするようなもの）
・20年6月15日、河野太郎防衛大臣（当時）が「イージス・アショア」の配備計画停止を明らかにした。この決定について、元自衛官でもある自由民主党の中谷元議員は「迎撃だけを行っていては、防御しきれない恐れがある」と理解を示し、「反撃による抑止力が必要」と訴える。
・「日本のミサイル防衛はキーパーだけでサッカーするようなもの」河野防衛相が6月15日、イージス・アショア配備計画の停止を明らかにし、日本のミサイル防衛に激震が走った。
・イージス・アショアの計画停止と連動して「相手の領域内でも攻撃を阻止する能力」を提言した自民党。中心となった小野寺五典議員は、日本が盾（防衛）の役割を担う点は変わらないとした上で、「盾の位置」を相手の領空・領域に移動して守る、反撃能力の正当性を語る。
・自民党が、イージス・アショアの代替案と、「相手の領域内でも攻撃を阻止する能力」の検討を政府に求める提言を行った。
（「自分の国は自分で守る」、戦後最大の転換を米国に示す）
・23年1月、米国のジョー・バイデン大統領とホワイトハウスで会談した岸田文雄首相。会談の内容で注目されるのが「安全保障政策の転換」に関するものだ。これまで日本の安全保障は「日本が盾（防衛）」「米国が矛（攻撃）」という関係が前提だった。これを「自分の国は自分で守る」と明確に示したのが今回の会談だという。
・「自分の国は自分で守る」、戦後最大の転換を米国に示した岸田首相岸田首相とバイデン米大統領が1月13日、首脳会談に臨んだ。早稲田大学の中林美恵子教授は「日本が示した安全保障政策の転換は戦後最大」と評価する。そのポイントは「自分の国は自分で守る」こと。
・反撃能力の保有に向けた防衛政策の転換は、防衛費の増額を意味する。故安倍晋三元首相は「国債」を財源として想定していたが、岸田首相は「国債は子孫にツケを回すことになる」として、「増税」によって防衛費を賄う考えだ。
（財政力は抑止力、台湾有事が迫る増税・国債増発・年金削減）
・反撃能力の整備だけでなく、実際に戦闘状態が発生すればさらなる資金が必要だ。十分な資金があると事前に示すことも、他国に対する抑止力になり得る。しかしその資金をどうやって調達するか、誰から調達するかは難しい問題だ。台湾有事を想定すると年間の防衛費は4兆円以上の増額になると見られ、国会での審議の行方に注目が集まる。
・抑止が効かず、米国と中国が戦争に及べば、日本も関与の度合いが高まる。そのときに重要になるのは資金の調達能力だ。果たして、国債の増発で賄うのか、それとも増税をするのか。
（外交で「戦わずして勝つ」をどう実現）
・22年12月に閣議決定された安保関連3文書では、相手国のミサイル発射拠点を攻撃する「反撃能力」を保有し、防衛費をGDP（国内総生産）比で2%に倍増する方針について明記された。
・これに対し外務省総合外交政策局の高羽陽氏は「日本が最後まで単独で危機に対処することを目指すものではない」と語る。日本の新たな防衛政策は米国と事前に十分すり合わせた上のもので、今後も同盟総体としての抑止力と対処力を一層強化するという従来方針に変化はないという。
以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。
ここで、一般的に考えらえる日本国の防衛政策をリスク管理の観点からまとめてみました。
（リスク管理）
・日本を攻撃しようとする国が攻撃の実行を諦めざるを得ない状況を継続するための対策を講じること
-経済など、軍事面以外の観点で、仮想敵国が日本とは平和的な関係を継続させた方が自国にとってメリットがあると常に意識させ続けること
-仮想敵国が日本侵攻を思い止まらせる程度の同盟国と一体化した軍事力の強化（反撃能力を含む）
-中国のような軍事大国である仮想敵国に対峙するために、中国の脅威を感じているより多くの国々と軍事的な協力関係を結んでいくこと
-台湾有事の次は日本有事になる可能性が高いことから、台湾有事の阻止に向けて、関係各国と共同で取り組むこと
（コンティンジェンシープラン）
・万一、仮想敵国が実際に日本に戦争を仕掛けてきた場合には、以下の４段構えの対応策を実施すること
�｜篤札潺汽ぅ詒�射に対して反撃能力で対応
��反撃能力をかいくぐってきたミサイルへの迎撃
�Ｅ┠海砲茲詁�本本土への上陸の阻止
�こ宛鯲呂能侏茲襪世瑛�利な条件で講和に持ち込むこと
こうした一般的な日本国の防衛政策をリスク管理の観点からすると、現在の日本のミサイル防衛は「キーパーだけでサッカーするようなもの」と言われるように、これまでの日本の防衛政策には、「反撃能力」という観点が抜けていました。
ですから、２０２２年１２月に新たな安全保障関連３文書を閣議決定し、その中で「反撃能力」の保有とそのための防衛費倍増を明言していることは極めて妥当だと考えます。
この適切な「反撃能力」の保有こそ、最大の仮想敵国からの軍事攻撃の抑止力になるからです。
しかし、こうした対応策を実現させるためには、それなりの資金が必要になります。
ですから、現政権には、国民にこうした状況をしっかりと説明し、国民からの理解を得ながら、国民に増税などの協力を求めることがとても重要なのです。
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