2023年10月11日
アイデアよもやま話 No.5709 トヨタが全個体電池の開発に目処をつけたが、・・・

6月13日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でトヨタが全個体電池の開発に目処をつけたことについて取り上げていたのでご紹介します。 

日経平均株価(最新情報はこちらを参照)が今日(6月13日)大幅に上昇し、3万3000円台を回復しました。
中でもトヨタ自動車は年初来高値をつける急騰でした。
日本株の潮目が変わり始めています。

日経平均株価がバブル後の高値を更新して33年ぶりに3万3000円を超えました。
このところ値上がりが続いていて、この1ヵ月の上昇幅は3600円を超え、終値でバブル後の高値を更新しています。
今日の大幅上昇の要因の1つがトヨタ自動車です。
トヨタ自動車の株価は今日5%値上がりし、年初来高値を更新しました。
この株価急騰のきっかけが、トヨタが明かした次世代型EVの新たな戦略です。
トヨタはEVの肝である次世代電池の本命、全個体電池を搭載したEVを2027年にも投入することを明らかにしました。
課題であった電池の耐久性を克服する技術的ブレイクスルーを発見しました。
現在のEVで主流のリチウムイオン電池は電解液と呼ばれる液体を使っていますが、全個体電池で使うのは、その名の通り個体です。
リチウムイオン電池より充電速度が速いうえ、航続距離も長く出来ます。
また小型化し易いのも特徴です。
一方で、量産が難しく、製造コストは4倍以上の6万〜35万円(1kwh当たり)という試算もあります。
ただ実用化に向けて一定の目処がついたといいます。
トヨタの計画が実現すれば、航続距離は約1200kmと現在の2倍以上に。
更に急速充電は10分以下を目指すとしています。
全個体電池については、日産が2028年度までの実用化を掲げる他、ホンダも2020年代後半の実用化を目指す、競争が激化。

トヨタはEVの世界販売台数を2022年の約2万台から2030年までに350万台へ増やすと、大きな目標を掲げているため、全個体電池の実用化をテコにそれを実現する狙いです。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

番組の内容を以下にまとめてみました。
・トヨタはEVの肝である次世代電池の本命、全個体電池を搭載したEVを2027年にも投入することを明らかにした
(全個体電池のメリット)
・充電速度が速い
 -急速充電は10分以下を目指す
・航続距離も長くなる
 -約1200kmと現在の2倍以上を目指す
・小型化し易い

(全個体電池のディメリット)
 -量産が難しい
 -製造コストは4倍以上の6万〜35万円(1kwh当たり)という試算もある

(他のEVメーカーの動き)
・日産は2028年度までの実用化を掲げる
・ホンダも2020年代後半の実用化を目指す

・トヨタはEVの世界販売台数を2022年の約2万台から2030年までに350万台へ増やす大きな目標を掲げている

なお、2022年の国内の自動車の販売台数は以下の通りです。(1月11日付けネット記事(こちらを参照)、および4月3日付けネット記事(こちらを参照)より)
EV販売台数  :5万8813台(1.3%)
乗用車総販売台数:438万5650台(98.7%)

一方、2022年の世界の自動車の販売台数は以下の通りです。(こちらを参照)
EV販売台数  :1050万台(14.2%)
自動車総販売台数:7,380万台(85.8%)

こうしてまとめてみて感じるのは、やはり世界的に見て、日本の自動車メーカーのガソリン車からEVへのシフトの遅れです。
今や、世界はEVシフトが主流で、各国のモーターショーでも展示車の主流はEVです。
なので、日本のEVの展示車は陰がとても薄い状況です。
そこには、日本の自動車メーカーなりの以下の戦略があるといいます。
・急速なEVシフトは雇用に大きな影響を与えるので、当面ハイブリッド車で対応し、EVへのソフトランディングを図る
・世界的に急速なEVシフトに取り組んでも、その動力源はバッテリーであり、充電する電力が化石燃料で作られるのではライフサイクルを通じての“脱炭素”にはならない

しかし、世界的な流れはEVシフトで、国によっては今後数年のうちにEV以外のクルマの国内生産、あるいは輸入は認めないといった方針を打ち出しています。
ですから、日本の自動車メーカーも世界の自動車マーケットでのシェアをこれまで通り確保するためには否応でも早急なEVシフトを図ることが求められるのです。

なお、全個体電池の実用化は以前、2025年を目指していましたが、それが2027年と2年ずれ込んでいます。
ですから、何とか少しでも前倒しで全個体電池を搭載したEVを販売して世界を席巻して欲しいと思います。

さて、こうしたクルマを巡る世界情勢において、思うのは以前にもお伝えした日本独自のEV戦略です。
それは途上国に狙いを定めた、エネルギーにおける持続可能な社会の実現に真っ向から取り組むというものです。
具体的には、途上国向けの以下の商品のセット販売です。
・割安のEV
・太陽光など自然エネルギー発電装置
・EVのバッテリーを家庭用電源として使え、太陽光などで発電した電力をEVに給電出来る装置
・オール電化商品(エコキュート、およびIHクッキングヒーター)
・省エネハウス
・スマートグリッド

この戦略の世界展開はエネルギー価格が高騰している現在、途上国の人たちにとっては持続可能なかたちで電力とクルマ、家と電化製品を一挙に手に入るということで、とても歓迎されるはずです。
また、こうした日本独自の世界貢献は日本の経済発展、およびイメージアップにもつながると期待出来ます。

 
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