2023年06月04日
No.5598 ちょっと一休み その879 『アメリカ人に聞いた「重要な国」ランキング!』
昨年11月14日(月)付けネット記事(こちらを参照)でアメリカ人に聞いた「重要な国」ランキングについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。

・世界に名だたる大国の一つであるアメリカは、経済でも安全保障でも多くの国に影響を与えている。そのアメリカから見た場合、関係を最も重視している国はどこだろうか。
・外務省が毎年実施している「米国における対日世論調査」の最新版(2021年度)によると、ランキングは以下のようになった。無作為に抽出されたアメリカの成人1005名に対し、「米国にとって、現在重要なパートナーは次の国・機関のうちどの国・機関ですか」との問いに複数回答してもらい、その結果を集計したものだ。
・2019年まで3年度連続でトップを飾った日本は、最新版で順位を急落させる結果となった。

◆15位:南アフリカ 9%
 2016年に40%を記録した南アフリカは、翌2017年に5%に急落した。以降、1桁台が続いている。アフリカ諸国は近年、対米重視の路線を離れ、アフリカ域内の各国など多国間の協調を重視する路線に転換しつつある。

◆14位:ブラジル 9%
 ラテンアメリカの大国であるブラジルは、同じアメリカ大陸の大国であるアメリカとの戦略関係を重視している。ブラジルのボルソナロ大統領はトランプ大統領の支持を公言していたが、バイデン政権となった今、距離の取り方が注視される。
◆13位:インド 12%
 米中関係が緊迫するなか、インドは人口でも経済でも台頭し、政治経済分野での存在感を高めている。アメリカとインドは貿易や安全保障などの分野で良きパートナーであったが、双方の貿易保護策により、通商対立が表面化し始めた点が気がかりだ。
◆12位:サウジアラビア 15%
 石油の調達先としてサウジアラビアとの関係を重視していたアメリカは近年、サウジの人権問題をめぐり関係を冷え込ませている。一方でサウジは、石油を求める中国と利害が一致することから、同国との密接な関係作りを重視し始めた。
◆11位:中国 15%
 台湾有事の緊張が高まるなか、米中関係は「新冷戦」と言われるまでに悪化した。東シナ海や南シナ海で軍事行動を続ける中国に対し、バイデン政権は強硬色を強めている。半導体で中国が利権を握るなか、脱中国依存の動きも活発化し始めた。
◆10位:EU 24%
 27のヨーロッパ諸国が加盟する欧州連合(EU)は、アメリカの重要なパートナーであり続けている。防衛面で北大西洋条約機構(NATO)と協調するEUは、ウクライナ情勢でもアメリカと立場が一致している。その順位は10位となっているが、2016年のイギリス離脱がなければ、より上位に位置していただろう。
◆9位:イタリア 24%
 イタリアはEU加盟国だが、独自の国としても集計されている。2016年の52%から翌17年には16%まで急落したが、現在は20%台にまで持ち直した。第二次世界大戦では連合国側のアメリカと対立した枢軸国のイタリアだが、現在では重要なパートナーの一つだ。
◆8位:メキシコ 25%
 アメリカが国境南部を接するメキシコは、輸出でも輸入でもアメリカの主要貿易相手国となっている。移民問題では対立もある両国だが、アメリカのハリス副大統領は「アメリカの18州において、メキシコが第1位または第2位の輸出先」になっていると指摘し、経済関係を重視する姿勢を強調している。
◆7位:韓国 28%
 貿易で中国に依存する韓国は、対米関係が緊張するなか、その立ち位置を見定めかねてきた。近年では中国との関係改善が停滞するなか、バイデン政権と文在寅政権の体制に移行したことを契機に、米韓関係の強化を打ち出している。
◆6位:オーストラリア 30%
 広い国土を誇るオーストラリアは、その防衛でアメリカに依存する反面、難民問題ではトランプ政権と対立するなど複雑な歴史を描いている。その後関係改善が試みられ、2021年には対中国でのけん制を意識し、米英豪の新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」を発足させた。
◆5位:日本 33%
 日本は2017、18、19年にトップだったが、2020年には3位(31%)に転落し、カナダ(50%)に首位を譲った。最新の2021年ではカナダとの差を3ポイント縮めたものの、順位はさらに2つ落とした5位となっている。
 2020年から2位を保つイギリスに加え、じわりと追い上げるフランスとドイツに割り込まれた。とはいえ経済面でも安全保障面でも、日米は基本的に良好な関係を維持している。
◆4位:ドイツ 33%
 ドイツはEU加盟国だが、独自の国としても集計されている。政界をけん引したメルケル前首相の引退を経て、アメリカとの今後の関係作りが注目される。ロシア情勢をめぐり、ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」は、安全保障上の脅威だとして議論の火種をまいた。
◆3位:フランス 36%
 こちらもEU加盟国だが、独自の国としても集計されている。核戦力を保有するフランスは、EU域内の安全保障の担い手を自負してきた。ただし独自政策に走る傾向が災いし、近年では米英豪のAUKUSに出し抜かれるなど、存在感の低下に悩まされている。
◆2位:イギリス 47%
 歴史的にも民族的にも緊密な関係にあるアメリカとイギリスは、ことあるごとに互いの「特別な関係」を強調してきた。良好な関係にある両国は、イギリスがEUの後ろ盾を失った今後、さらに結びつきを強めていくとみられる。イギリスは2016年に79%をマークしたのをピークに、いずれの調査年でも41%以上の高い水準を維持している。
◆1位:カナダ 49%
 首位は49%のカナダとなり、回答者のほぼ2人に1人がアメリカの重要なパートナー国に挙げる結果となった。カナダはイギリスと並び79%を記録した2016年をピークに、ほぼすべての年で40%台以上の高い数値を獲得している。
 伝統的にアメリカを最も緊密な同盟国と位置づけ、国連やNATO、主要7ヶ国首脳会議(G7サミット)など複数の枠組みを通じて対米関係を強化している。

以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。

まず今回ご紹介した「米国における対日世論調査」は飽くまでもアメリカの成人1005名を対象とした調査なので、必ずしもアメリカ政府の意向と一致するわけではありません。
しかし、2019年まで3年連続でトップを飾った日本が2020年には3位に転落し、最新の2021年では更に5位となっているのはちょっと気になります。
しかし、この調査結果に対する外務省のコメントにもあるように、経済面でも安全保障面でも、日米は基本的に良好な関係を維持していること、またアメリカの隣国、カナダ、およびEUの主だった国の次にランキングされており、しかも3位のフランス、および4位のドイツとの差はほとんどないので、それほど気にしなくてもいいのではないかと思われます。

なお、中国が11位というのは、アメリカの成人が中国を好意的に見ているというよりも
台湾有事の緊張の高まりや東シナ海や南シナ海での中国の軍事行動、あるいは半導体で中国が利権を握るといったような、中国との間の経済、および軍事における安全保障面での脅威というマイナスな観点で要注意であるということから重要な国であると思っていることを示していると言えます。

 
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