2022年12月31日
プロジェクト管理と日常生活 No.778 『中国軍の育成にイギリス軍が関与!』
10月19日(水)放送の「国際報道2022」(NHK総合テレビ)で中国軍の育成にイギリス軍が関与と報じていたのでご紹介します。 

軍備の増強を続ける中国軍、地域を不安定にしかねないとして、その動向に日本や欧米が警戒していますが、その中国軍の育成にイギリス軍が係わっているという驚きのニュースが入ってきました。
BBCなどイギリスメディアの報道によりますと、イギリス空軍の戦闘機「タイフーン」などの元パイロット、最大30人が中国を訪れ、現地で中国空軍の訓練にあたっていたというのです。
元パイロットたちは中国空軍に対して、西側の軍用機とパイロットの運用の方法に加え、台湾などを巡る紛争時の重要となる情報について中国側の理解を手助けする仕事に係わっていたとしているのです。
そのうえで、仕事の報酬としては年に24万ポンド(約4000万円)を得ていたということなのです。
イギリスメディアによりますと、“軍事機密を漏らしてはいない”として、“イギリスの法律には違反していない”ということなのですが、イギリス国防省は安全保障上大きな問題だとして、こうした行為が繰り返されないよう規則を強化する方針だとしています。

そして、このニュースはイギリス以外にも波紋が広がっています。
オーストラリアでは、このニュースを受けて、マールス国防相は「非常にショックを受け、動揺する」として、オーストラリア軍に該当者がいないか調査に乗り出す考えを示しました。

中国政府が自国の能力向上のために外国人をリクルートするプログラムを巡っては「千人計画」と呼ばれるプログラムがよく知られています。(こちらを参照)
これは、欧米の優秀な研究者や科学者を中国に招き、共同研究を通して高度な技術や知識を得る代わりに報酬を提供するというプログラムなのです。
こちらも違法ではありませんが、欧米は知的財産権や最新技術が不当に中国に流出している疑いがあると警戒を強めています。
欧米と中国の間では学術交流や緊張緩和を目指した防衛交流がこれまで行われてきましたが、今や中国に対する欧米の不信が募り、交流の機運は低下する一方です。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

これまで何度となくお伝えしてきたように、中国は世界最強の軍事力、および経済力を達成し、それらを背景に中国共産党の思い描くビジョンで国際社会を再構築しようと意図しているのです。
もし、この狙いが実現すれば、国際社会は中国共産党に牛耳られ、自由も人権も尊重されなくなると危惧されます。

そうした中、今回ご紹介したように、イギリス空軍の元パイロット、最大30人が中国を訪れ、高額報酬を得て、現地で中国空軍の訓練にあたっていたというのです。
そればかりでなく、台湾などを巡る紛争時の重要となる情報について中国側の理解を手助けする仕事にも係わっていたというのです。

イギリス空軍の元パイロットでこのようなことが起きているということは、イギリスの陸軍や海軍、あるいは兵器、更には日本やアメリカなどでも同様のことが起きていると考えられます。
なぜならば仕事の報酬として年に24万ポンド(約4000万円)が得られるのであれば、また違法でなければ、どこの国の退役軍人でも中国からの依頼案件を請け負ってしまう可能性が大きいと考えられるからです。

しかし、こうした退役軍人の行為が中国軍の軍事力強化につながれば、中国の覇権主義の世界展開のスピード化が図られ、あるいは万一中国との間で日本や欧米各国が戦闘状態になった場合、日本や欧米各国の軍隊を不利な状況に追い込むリスクが高まるのです。
ですから、早急に日本や欧米各国はイギリス空軍の元パイロットのような事例の再発防止策を検討することが求められるのです。

 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています