2022年11月23日
アイデアよもやま話 No.5433 中国の展開する「サラミスライス戦略」!
8月11日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中国の展開する「サラミスライス戦略」について取り上げていたのでご紹介します。

台湾周辺の緊張が続いていますが、中国軍の台湾周辺での演習は8月10日に終了しましたが、アメリカのペロシ下院議長は「中国が新常態を築こうとしている」とけん制しました。
この発言について、解説キャスターで日経ビジネスの編集委員、山川龍雄さんは次のようにおっしゃっています。
「中国はやはり転んでもタダでは起きない国だということで、ペロシ下院議長が訪台したことを口実にして、今回、軍事演習をエスカレートさせたんですけども、よくこれを中国が「サラミスライス戦略」という言い方をするんですが、ギリギリの線で現状を変更していくことを言うんですけども、今回もアメリカや台湾が軍事行動を起こさないギリギリの線を狙って軍事演習をエスカレートさせたわけですね。」
「つまり、またサラミを1枚削ったような状況で、当然、既成事実化させるためにこれからこの演習を繰り返すと思います。」

切り取られたサラミはもとに戻らないですから、止めなければなりません。

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、ウィキペディアで「中国の夢」について以下の記述があります。(こちらを参照)

中国の夢とは、習近平がアメリカン・ドリームを真似して創った宣伝標語のこと。2012年でこの概念が生まれ、現在の中国では愛国主義的な場面に多用している。

「中国の夢」は「中華民族の偉大なる復興」と「一帯一路」、二つの部分が構成している。かつて東は中国から西はローマ帝国に及ぶ広大なシルクロードを勢力下に置き、鄭和の艦隊がアフリカの角にまで進出して文化や経済と科学技術をリードした中国の栄光を取り戻す」という意が込められている。

そして現実に習近平国家主席は「中国の夢」の実現に向けて「中華民族の偉大なる復興」、および「一帯一路」を旗印に着々と世界制覇に向けて取り組んでいるのです。
なお、「一帯一路」については西のヨーロッパ方面のみならず、東の太平洋の島しょ国に対しても積極的に足場を築いています。
そして、こうした中国の動きにアメリカも危機感を抱き、遅ればせながら太平洋の島しょ国でのその存在感を増そうと取り組み始めているのです。

今回ご紹介した「サラミスライス戦略」はまさに「中国の夢」の実現に向けての具体的な手段と言えます。
中国海警局の船の尖閣諸島周辺の領海侵入や南シナ海における人工島の建設、あるいは台湾周辺での軍事演習などは「サラミスライス戦略」の一環で、「中国の夢」の実現に向けて少しずつ歩を進めているというわけです。
ですから日本としてはこうした中国の狙いや戦略を理解したうえで、中国の「サラミスライス戦略」を前に進めないような対応をアメリカなどと協力して継続させることが求められるのです。

 
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