2021年08月29日
No.5046 ちょっと一休み その789 『集団免疫に必要なワクチン接種率は?』
4月29日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で集団免疫に必要なワクチン接種率について取り上げていたのでご紹介します。 

ワクチン接種の遅れが問題になっていますが、どのくらいの人に接種すれば集団免疫を獲得出来るかに関しては注目の数字があります。
解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「野村総研が試算(*)したんですけど、従来だいたい5割〜7割(55.6%〜74.1%)の摂取が必要だと言われてきたんですけど、実際の年齢や活動状況を加味して試算するとだいたい4割〜5割(38.4%〜54.6%)ということになるわけです。」
「実際、アメリカやイギリスの状況でだいぶ新規の感染が減ってきているという結果がある。」
「日本でも全員接種の目標でアップアップ言うよりもこの実際の状況を確認して接種を急ぐというのが正しいアプローチのような気がしますが、どうでしょうか。」
「(こちらの方が気持ちも楽になるというか、前向きになるという指摘に対して、)前向きの発想がすごく重要だと僕は思います。」

* ワクチンの感染抑止率を90%、基本再生生産数を2.0〜3.0として、野村総合研究所未来創発センターが試算

以上、番組の内容をご紹介してきました。

なお、国内のワクチン接種率(8月26日現在)は以下の通りです。(詳細はこちらを参照)

 1回接種完了率:54.0%
 2回接種完了率;43.0%

ですから、2回目のワクチン接種者数が更に増えて、ワクチン接種率が50%程度になれば、野村総研の試算によると集団免疫をほぼ獲得出来たということになります。

ここで思うのは日本政府の国民や企業に対する要請の仕方です。
不要不急の外出を控えるように、といったように定性的な表現が多いですが、集団免疫は新型コロナウイルス感染の収束に向けたとても重要な手段であり、従って重要な指標となります。
ですから、ワクチン接種に向けては、いつまでに2回目のワクチン接種率何%を達成するかといった目標を掲げ、毎日、その日までのワクチン接種率を公表するといったような仕組みを取り入れるべきだと思います。
そして、目標とするワクチン接種率を達成した後、しばらく日々の感染者数のトレンドを把握し、ほぼ収束しつつあると判断出来た段階で徐々に飲食店の営業時間やイベント開催における制約を緩くしていくといったように対策を緩めていくのです。

このように日々のワクチン接種率と集団免疫達成に対応する目標ワクチン接種率とを対比させて日々公開していけば、国民や飲食店などサービス業界もコロナ禍の長いトンネルをいつ抜けそうかという見通しが立つので、ワクチン接種に向けて積極的な気持ちになれると思うのです。

なお、一方で、海外ではワクチン接種率が高くても、変異ウイルスの感染力の強化により再度感染者数が増えている状況が見られます。
ですから、2回目のワクチン接種を終えた人たちもマスクの着用や“3密”(密閉、密集、密接)の回避を心掛けることが求められます。
更に世界的な新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、今後ともより感染力の強化された新たな変異ウイルスの誕生は避けられないので、2回目のワクチン接種後も更に回数を増やすことやこうした変異ウイルスに対する対処の仕方を柔軟に変化させていくことが求められるのです。

 
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