2021年07月09日
アイデアよもやま話 No.5003 なぜ緊急事態宣言下でも営業を続けるお店があるのか!
5月17日(月)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)でなぜ緊急事態宣言下でも営業を続けるお店があるのかについて取り上げていたのでその一部をご紹介します。 
なお、日付は全て番組放送時のものです。

緊急事態宣言が延長されて迎えた初めての週末、東京都内の土曜日(5月15日)の人出は前の週末に比べて六本木で146%、新宿で135%など軒並み増加していたことが分かりました。
そして夜間の外出も増えています。
お台場、銀座、新宿などでは午後9時に外出する人が前の週より増加しています。

一方、午後8時を過ぎても営業を続けているお店があります。
渋谷にあるこちらのラーメン店では午後9時を過ぎても人だかりが出来ていました。
現在、都内では酒類を提供する飲食店は休業、そうではない店舗は午後8時までの時短営業が要請されています。
なぜこうした事態でも営業を続けているのか、店主に話を聞くと次のようにおっしゃっています。
「今、現状に至るまで協力金が一切おりていないため、どうしても営業せざるを得ない状態になってしまい、今の現状に至ります。」
「4月の中旬から深夜帯も営業を再開させていただきました。」
「悩んだんですけども、どうしても店を続けるには開けるしかないという判断になってしまい、・・・」

2回目の緊急事態宣言の際、時短要請に応じた店舗に対し、1月8日〜3月までひと月ごとに支払われる協力金、この店は3月まではなんとか資金繰りをして時短営業をしていたといいますが、それにも係わらずその3ヵ月分全てが未だに支払われていないというのです。
店主は次のようにおっしゃっています。
「ひと月に300万円ほど家賃でかかってしまいますので、やはり皆さんが協力している中でこうやって営業している以上、叩かれるということは百も承知でやっております。」
「1分1秒でも早く入金していただきたいという気持ちはあります。」

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

今回ご紹介したラーメン店の店主は本来ルールを守る意思があったので、国や東京都からの要請に従い、時短営業をしていたのです。
しかし、3月を過ぎても協力金が支払われない状態が続いたのでやむなく4月の中旬から深夜帯も営業を再開したというのです。
一方、特に若い人たちはコロナ禍の中、緊急事態宣言で何週間も外出自粛を強いられてはどこかで羽目を外したくなるのは当然です。
ですから、今回ご紹介したお店にも深夜帯に来店客があるのです。
しかし、外出する人たちが多くなればその分感染者の増加リスクが高くなってしまいます。

こうした状況を招いている根本原因は国の対応策の不備にあると考えます。
その背景には、お店や国民ひとり一人の置かれた状況をしっかり把握したうえでの対応策の検討がきちんとなされていないことがあります。
ではどのようなコロナ禍対応策が考えられるでしょうか。
以下に私の思うところをまとめてみました。
・出来るだけ早期に集団免疫に至る、国民の7割程度へのワクチン接種を達成する
・全ての従業員がワクチン接種を2回終えた店舗、あるいはレジャー施設などは、国や自治体の定めたガイドに従い(例えばマスクの着用など)、従来通りの営業を再開出来るようにする
・ワクチン接種を2回終えた国民は上記の店舗で食事をしたり買い物をしたり、あるいはレジャー施設などを利用出来るようにする
・こうした状況において、変異ウイルスによる感染拡大が発生した際には緊急事態宣言を発令し、その期間のタイムリーな協力金を支給出来るようなシステムを構築しておく

こうした取り組みは既に一部の国では対策として実施されていますが、どうも日本の場合は国が企業や国民に要請するばかりで、営業を続けるための要件を提示するなど、創意工夫次第でコロナ禍に立ち向かえることが出来るといったような、前向きな、あるいはやる気を起こさせるようなアイデアに欠けているように思えてならないのです。

今回お伝えしたラーメン店のケースでも、他国では協力金などの配布は短期間のうちに配布されているのです。
しかし、残念ながら日本では何か月かかからないと配布されないのが現状なのです。
これではつぶれないはずのお店がどんどんつぶれてしまっても仕方ありません。
また、お店を何とか守り抜きたいと思う店主が時間外営業を続けるお店が出てきても一概に責めることは酷に思われます。
またこうしたお店が出てくることが新たな感染拡大をもたらすのです。
国は再度の感染拡大の波をもたらしている大きな原因の一つを自らが招いていることを真摯に受け止め、デジタル技術を最大限に生かすべきなのです。

酷な言い方ですが、今の政府のコロナ禍対応はしっかりとした戦略に基づかず、太平洋戦争の終戦間近に竹槍精神でアメリカ軍の本土上陸に立ち向かおうとしていた国の態勢に重なって見えてきます。

 
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