2021年05月12日
アイデアよもやま話 No.4953 見習うべき中国の変異ウイルス対応!

前回、米中の覇権争いのさ中、気になる今後の米中関係についてお伝えしました。

一方で、中国はコロナ禍においては相対的に即断即決でうまく対応しているように見えます。

そうした中、1月22日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で中国の変異ウイルス対応について取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

世界的な懸念となっている変異ウイルス、中国・北京でも相次いで確認され、危機感が高まっています。

北京市は南部の大興区で昨日までに14人からイギリス由来の変異ウイルスが確認されたと発表しました。

既に区民およそ155万人にPCR検査を実施し、一部の地域を封鎖しました。

1日の感染者は中国全土で100人を超える水準ですが、変異ウイルスの見つかった北京市の東城区と西城区では約193万人の住民全員にも今日からPCR検査を始めました。

2日間で全住民の検査を終える予定です。

 

素早い対応に出たのは理由があります。

この2つの区には政府機関や繁華街、そして中国共産党の幹部が住む中南海などが集まっているためです。

2月には国民の多くが移動する旧正月の春節、そして3月には中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)があるため、中国は変異ウイルスの封じ込めに厳戒態勢で臨んでいます。

 

北京から1100km以上離れた武漢は中国で最初に新型コロナウイルスの感染が大規模に確認されました。

その武漢がロックダウンされてから明日で1年となります。

大量のウイルスが検出された海鮮場を訪れると、市場の看板は既にはがされています。

周囲は高い壁で囲まれ、中の様子をうかがい知ることは出来ません。

近くを歩くと、「英雄都市 あなたに感謝します」と、武漢を褒めたたる内容の大きな看板があります。

武漢は、中国ではウイルスとの闘いに勝利した象徴の都市になっています。

市内で開かれている展示会では、最初に目を引くのは習近平国家主席の写真、隔離した住民に食料や生活必需品を届けるボランティアの写真を展示、大規模検査と徹底した隔離措置を行う中国式のウイルスを抑え込んだ手法を詳しく解説しています。

 

このように武漢はウイルスに勝った街として宣伝されていますが、北京で変異ウイルスが見つかったことを受けて、首都を防衛する新たな局面に入っています。

10万人規模のPCR検査を行う能力を確保していることや北京に隣接する河北省に大規模な臨時隔離施設を造っていることなど、こうした中国の思い切った迅速な対応には武漢での経験が生かされているようです。

その背景には3月に予定されている、重要政策を決定する全人代を予定通りに開催したいという意図があると考えられます。

昨年に引き続き全人代を延期したとなれば、ウイルスを抑え込んだという中国政府の作り出す勝利ムードと整合性が取れなくなります。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

世界的に感染力の強い変異ウイルス感染への対応のさ中にあります。

日本もその例外ではなく、第四波で感染者数が増大傾向にあり、収束の見込みが立たない状況が続いています。

 

一方、中国では1日の感染者は中国全土で100人を超える水準ですが、変異ウイルスの見つかった北京市の東城区と西城区では約193万人の住民全員にPCR検査を始まり、2日間で全住民の検査を終える予定だというのです。

その理由はともかく、スピーディな大規模検査と徹底した隔離措置を行う中国式のウイルス対策は概ね功を奏しているように見えます。

ちなみに、5月5日、中国本土で新たに5人の感染が確認されましたが、その全ては「輸入症例」といいます。こちらを参照)

 

ですから、感染者数は日本に比べてはるかに少数の状態を維持しています。

 

一方、日本政府の対応はというと、後手後手に回っているように思えてなりません。

ワクチン接種においても、医療施設における重症患者の受け入れ態勢においてもスピーディとは言えません。

その結果、新型コロナウイルスの感染者以外の患者への対応が手薄になり、一部の地域では医療崩壊が起きています。

 

こうしたコロナ禍対応における日中政府の比較を考えると、平常時と緊急時の頭の切り替えが出来ているかどうかが違うように思えます。

新型コロナウイルスの感染が拡大する状況、すなわちパンデミックはまさに緊急時なのです。

 

こうした状況において、確かに中国は共産党による一党独裁政権で、強権で大胆な政策をスピーディに実施出来ます。

緊急時には平常時には求められない決断とスピーディな実行力が一国のリーダーに必要なのです。

ですから、僭越ながら、この点において、菅総理は習近平国家主席のリーダーシップを参考にしていただきたいと思います。

 

さて、新型コロナウイルスによるパンデミックはウイルスと人類との戦争とも言えます。

ですから、これまでの日本政府の後手後手の対応を見ていると、実際にどこかの国と戦闘状態になった場合に、的確な対応が素早くなされるのかとても心配になってしまいます。


 
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