2021年03月01日
アイデアよもやま話 No.4891 新型コロナウイルス感染の重症化を防ぐ研究!

昨年11月13日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で新型コロナウイルスの感染による重症化を防ぐ研究について取り上げていたのでご紹介します。 

 

新型コロナウイルスの感染状態が未だ落ち着かない中、患者の重症化を防ぐための研究も進んでいます。

新たに判明したのが重症化し易い人とそうでない人を判別出来るあるタンパク質の存在です。

発見したのは国立国際医療研究センター研究所のグループです。

杉山真也さんは次のようにおっしゃっています。

「CCL17は血液中に含まれるタンパク質の1つです。」

「そのタンパク質の濃度がある一定の値より低くなっている場合に重症化する方が多くいらっしゃったと。」

 

CCL17、抗体をつくる細胞の機能を上げる作用のあるタンパク質です。

健康な人の濃度の値は200〜300だといいますが、杉山さんは次のようにおっしゃっています。

「我々の解析ですと、100を切るぐらいの低い値の方が重症化し易い。」

「(CCL17を増やす方法はあるのかという問いに対して、)今のところないんじゃないかなと思っていますし、増やし過ぎるとアトピーとか喘息にも関係していまして、・・・」

 

実はこのCCL17はアトピー性皮膚炎の検査マーカーとして使われていて、アレルギーの人の値は1000を超えるといいます。

「(欧米人はこのCCL17が少ないということなのかという問いに対して、)アトピー性皮膚炎の検査マーカーとしても日本でしか使われていなくて、人種による差というのはとっても重要なとこなので、研究の中で海外で使って確かめる。」

 

研究グループは今後約20カ所の病院で有効性を調査したうえで、重症化を予測する検査薬としての導入を目指します。

杉山さんは次のようにおっしゃっています。

「物としてはもう出来上がっていまして、承認が得られればメーカーから世に出る。」

 

PCR検査で陽性となった人の中でも症状がある方の約80%は軽傷、そして重症化・重篤化する方は約20%ということです。

この重症化・重篤化する方の可能性が早い段階、特に検査して陽性と分かった早い段階で分かれば対処の方法も変わって来るのではないかということです。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「その物差しが分かったというのは大変な業績だと思いますよね。」

「CCL17とはどんなものなのか、もう一度整理してみると分かり易いと思うんですけども、CCL17が高い人は重症化しにくく、低い人は重症化し易いということが分かったわけです。」

「他の因子についても研究がだいぶ進んでいます。」

「で、その中で一番重要なのはCCL17なんですけども、一番良いのは何なのかというと、血液検査で検査可能だというのは相当大きなメリットだと思いますね。」

「(重症化に関する研究も随分進んできているという指摘に対して、)はい、コロナについての戦略的に重要な点は重症化を防ぐという点だと思うんですね。」

「その道筋がつかめるということは、経済を止めずにコロナと対処して行くという道が開けるということで、相当重要なニュースだと思います。」

「それは強調しておきたいと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

血液中に含まれるタンパク質の1つ、CCL17の効用について以下にまとめてみました。

・CCL17は抗体をつくる細胞の機能を上げる作用がある

・健康な人の濃度の値は200〜300で、100を切るぐらいの低い値になると重症化し易いという分析結果がある

・PCR検査で陽性となった人の中でも症状がある方の約80%は軽傷、そして重症化・重篤化する方は約20%という

・この重症化・重篤化の判別が早い段階、特にPCR検査して陽性と分かった時点で血液検査でCCL17の値も分かれば対処の方法も変わって来る

 

新型コロナウイルスの感染が未だ収束に向かっていない状況において、特に医療施設の負担の大きい重症患者の受け入れ態勢が限界に近い状況では早期に血液検査によりCCL17の値の計測により重症患者の識別が出来ることは、滝田さんも指摘されているように医療関係者にとってとても有益です。

ですので、研究グループには早急に重症化を予測する検査薬としての導入を目指していただきたいと思います。


 
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