昨年11月6日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で金融緩和の光と影について取り上げていたのでご紹介します。
なお、日付は全て番組放送時のものです。
世界的な金融緩和を追い風にして、今日、日経平均株価は29年ぶりに高値を付けました。
そして、一方では円高ドル安も進んでいる状況です。
ただ先行きを見てみると、アメリカ大統領選を含めて不透明な要素もかなりあります。
こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「そのリスクというかダークサイドを織り込んでいるのが金相場とビットコイン、暗号資産だと思いますね。」
「それで金相場なんですけども、上昇しているビットコインも投資家の資金を集めているんですけど、いずれも共通しているのはアメリカの分裂状態、そして基軸通貨、ドルに対して大丈夫なのという不信感があるんだと思うんです。」
「そして、どうも株価に熱気が感じられないんですよね。」
「その辺がリスク感覚と表裏の関係にあるように思えてなりません。」
「(その市場感覚が金やビットコインに現れてくるということなのかという問いに対して、)リアルではなくむしろ仮想の方にお金が逃げている感じじゃないんでしょうか。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
この番組も参考にして、現在の金融状況について以下にまとめてみました。
・コロナ禍による金融緩和と一方で一部の業界、あるいは企業を除いて消費の激減から企業の新規投資の削減により、“カネ余り”状態が続いている
・従って株式や金、あるいはビットコインが主な投資の対象となっている
・更にコロナ禍により在宅勤務が増え、時間に余裕の出来た個人が株式などへの投資に向かっている
・その結果、これらが相まって株式相場などの上昇が続いており、“投資のための投資”、あるいは“バブル”の様相を呈しつつある
こうしてまとめてみると、コロナ禍の収束の兆しが見えるまでこの状態はしばらく続くと思われます。
しかし、“山高ければ、谷深し”という株式相場の格言があるように、やがてコロナ禍が収束に向かい出すと、一転して多くの企業の新規投資が再開始め、金融緩和は一段落し、どこかの時点で行き過ぎていた株価などのバブル崩壊を迎えることになります。
そもそも株式相場においては、これまでの歴史が示しているように、また先ほどの格言もあるように、株価が上昇する時も下落する時も大なり小なり行き過ぎてしまいがちなのです。
そして上昇し過ぎた状態がしばらく続くとバブルと呼ばれ、それが一転して大きく下落するとバブル崩壊と呼ばれるのです。
今回のコロナ禍においても、緊急事態宣言が出た辺りでは投資家の過剰反応が出て、今から思えば必要以上に株価の下落がありました。
そして、少し間を置いて株価は戻り始め、今では金融緩和を背景にバブル状態を呈しつつあるというわけです。
ということで、プロの株式投資家でなくてもこうした株式相場の基本的な特性を意識することによって、多少は株式投資という大海をより安全に航行し続けられると思うのです。