2021年02月22日
アイデアよもやま話 No.4885 レコードの売り上げが急上昇!

昨年11月3日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で売り上げが急上昇のレコードについて取り上げていたのでご紹介します。 

なお、日付は全て番組放送時のものです。

 

11月3日はレコードの日です。

今年の上半期、実はアメリカではレコードの売り上げ(約246億円)がCD(約138億円)を約30年ぶりに上回ったといいます。(全米レコード協会調べ)

日本でもアナログの音が見直されていて、新型コロナウイルスの感染拡大に苦しむ町工場の助けとなっています。

 

渋谷にあるレコード専門店、HMVレコードショップの竹野智博さんは次のようにおっしゃっています。

「こちら(キテレツ大百科)がものすごい反響がある商品でして、当店の入荷数が一番多いタイトルになりますね。」

 

こちらの店舗では8万点以上のレコードが揃っていて、レコードの日の今日、107のタイトルが新たに発売されました。

その中には広末涼子さんのファーストアルバム「Arigato!」(4180円)や外国人に人気があるという大貫妙子さんの「Drawing」や「TCHOU<チャオ!>」(各4180円)のアルバムもあります。

来店した20代のある男性は次のようにおっしゃっています。

「親がレコードを沢山持っていて、その影響で家にレコードプレーヤーがあって、自分もちょっと買ってみようかなという感じです。」

 

スマホなどで圧縮された音源を聴くのが主流の中、手軽に聴くことが出来る低価格のプレーヤーも登場し、アナログレコードが見直され始めています。

ちなみに、「VINYL TRNSPORT」はスピーカー内蔵で6463円(税別)です。

竹野さんは次のようにおっしゃっています。

「今年に関してはトータルだと(コロナ禍の影響で)4〜5月が休業だったため明確には言えないんですけど、2018年から2019年にかけては(売り上げが前年比)115%とかそのぐらいで。」

 

今、音楽ファンの間で話題になっているレコードプレーヤーがあります。

完全受注生産、納品まで3ヵ月待ちという商品「AP0」で、価格は200万円(税別)です。(詳細はこちらを参照)

製造しているのは神奈川県茅ケ崎市にある中小企業、株式会社由紀精密で医療や航空宇宙機器の精密部品メーカーで、宇宙ステーションへの無人補給機「こうのとり」に使われた部品も製造しています。

精密加工の技術をレコードプレーヤーに注ぎ込みました。

大坪正人社長は次のようにおっしゃっています。

「レコードを正確に回転させなければいけない。」

「そこから信号を正確に読み取らなければいけないので、その一連のものがすごく精度が必要なんですね。」

「なので私たちはものすごく精度の高い部品を売りにしているので、アナログレコードプレーヤーがぴったりだったんですね。」

 

設計や構造は機械エンジニアの視点で考えられていて、ターンテーブルは磁気ベアリングで非接触で支えるという、磁石の反発力を使い、振動の影響を受けないようになっています。

 

予想を上回るペースの注文で新型コロナウイルスの影響を補うかっこうになっているといいます。

大坪社長は次のようにおっしゃっています。

「コロナの影響も私たちの会社としてはものすごく受けているんですね。」

「飛行機の部品(の製造)がなくなってしまったりとか。」

「そういう意味では、飛行機が減っている分をこういったものを作ることで埋めて、一般の方も楽しめるような機器に応用が出来るというのはすごく良いことだなと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、昨年の上半期、アメリカでのレコードの売り上げがCDを1.8倍近くまで増えているという事実に驚かされます。

今や、楽曲の媒体はCDから更にファイルへと移行され、レコードは完全に過去の遺物状態かと思いきや、盛り返しているのです。

しかし、考えてみれば、レコードのジャケットはちょっとした飾りにもなるし、レコードを聴く際にレコード針を回転するレコードの上にセットする間のワクワク感、そしてアナログ音の温かさがレコードにはありました。

更に何十年も前のドーナツ盤をたまに聴くと当時を懐かしく思い出してきます。

ですから、便利さでは劣るものの、レコードにはCDやファイルには無い独特の良さがあるのです。

一方、若い世代の中には過去の楽曲に対して当時とは違った意味で魅力を感じている人たちが現れているということ、更にはコロナ禍で外出がままならない状況も相まってレコードやレコードプレーヤーの売り上げが伸びていると思われます。

こうした状況において、200万円と高額ではあるものの、高音質のレコードプレーヤーが予想に反して売り上げを伸ばしていることはコロナ禍で苦しんでいた技術力のあるメーカーの支援にもつながり、何となくほっとした気持ちになります。

 

ということで、今回ご紹介した由紀精密のように、より多くのメーカーにはその独自の技術を生かした商品やサービスを新たに生み出し、コロナ禍を乗り切り、さらなる発展を遂げていただきたいと思います。


 
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