昨年10月28日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で“空飛ぶタクシー”への試乗について取り上げていたのでご紹介します。
世界で初めて人が乗れるドローンを開発した企業と2年間の交渉の末、“空飛ぶタクシー”に試乗することが出来ました。
実際に試乗したTBSテレビ上海支局の森岡紀人さんは次のようにおっしゃっています。
「本当にびっくりしましたね。」
「感想としては映画やアニメで見た世界がついに現実になってきたと感じました。」
中国で最近たびたび目にするドローンを使ったライトショー、こうした小型ドローンを開発している中国のドローンメーカー、イーハン(EHANG)が“空飛ぶタクシー”に取り組んでいます。
今回試乗したのは最新型の「EHANG216」、2人乗りで16個のプロペラが付いていることから216と名付けられました。
早速乗り込んでみると、高度30mまで垂直に飛び上がり、しばらくホバリングした後、時速20kmで前進し始めました。
機内には操縦桿はなく、タブレットが2つ付いているだけで、全自動で航行します。
16個のプロペラが回るので機内は結構揺れましたが、怖いとは感じませんでした。
これまでに世界23の都市で5000回以上テスト飛行をしていて、最高時速は130km、1回の充電で21分間飛行可能です。
機体の価格は30万ドル、日本円で約3200万円で、中国や日本の企業などに既に89台販売されたとのことです。
試乗した森岡さんは次のようにおっしゃっています。
「実用化については、まだ課題が見えてないところが多いんです。」
「イーハンは“空飛ぶタクシー”を高層ビルの消火活動用などに使うことも検討しているんですが、利用実績はまだゼロです。」
「実用化するには充電スタンドや駐機場の整備などに莫大な資金が必要なため中国でも一部の都市で荷物搬送用としてのみ使われているのが実情です。」
「そして法整備の問題もあります。」
「例えば、日本では“空飛ぶタクシー”には航空法などが適用されるため家屋が密集している場所では最も高い建物の300m上空を飛ばなければならないなど、“空飛ぶタクシー”に合わない規制が多く、新たな法整備が必要です。」
「一方で、世界展開をしていくうえでアメリカによる中国企業の締め出しも懸念されているのですが、この点について(イーハンに)聞いてみると・・・」
主席戦略官の徐華翔さんは次のようにおっしゃっています。
「アメリカの市場は割合にすごく小さいです。」
「ほぼ無視出来ます。」
「そしてアメリカの技術に対する依存度も小さい。」
「ですのでファーウェイとは違います。」
森岡さんは次のようにおっしゃっています。
「サプライチェーンもほぼ中国なので心配ないと強気でした。」
「とは言え、世界中で200もの“空飛ぶタクシー”が開発されているため競争は必死です。」
「逆にいうと“空飛ぶタクシー”が飛び回る世界がもうすぐそこに来ていると言えます。」
実用化にあたっては法整備が必要になってきますが、世界中の都市で交通渋滞などが深刻という問題もあります。
“空飛ぶタクシー”の登場に期待したいものです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
恐らく初めて自動車に乗った時には誰もが大変な興奮を覚えたと思います。
その後、初めて飛行機に乗った時には更なる興奮に包まれたと思います。
そして今回ご紹介したドローンによる“空飛ぶタクシー”ですが、タクシーですから乗客になれば空を自由にあちこち移動出来るのです。
ですから、初めて“空飛ぶタクシー”に乗ったら、これまでにない大変な感動を味わえると思います。
ただ、“空飛ぶタクシー”の実用化に向けては以下のような課題があるといいます。
・航続可能時間が短い
現在は1回の充電での飛行時間は20分程度である
・乗客は1人のみである
最低でも乗客の定員は2人にして欲しい
・販売価格が高い
機体の価格は日本円で約3200万円である
・運賃が高額である
機体価格が高額で、タクシードライバーの人件費もかなりかかるのでその分運賃が上乗せされる
・飛行の可否は強風など天候に大きく左右される
・飛行中の安全性に対して不安がある
・充電スタンドや駐機場の整備などに莫大な資金と時間が必要である
・新しい空の乗り物ということで、新たな法整備が必要である
“空飛ぶタクシー”の実用化に向けてはこのようにいろいろな課題がありますが、用途や特定の地域内での飛行に限定すれば、実用化までの期間はそれほど長くないと思われます。
というのは中国や日本の企業などに既に89台販売されているからです。(番組放送時)
ちなみに“空飛ぶタクシー”の実用化初期の用途として以下のようなものが考えられます。
・災害救助
・高層ビルの消火活動
・ディズニーランドなどのレジャー施設での飛行
・法律で定められた特定地域内での飛行