昨年10月9日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で5000人待ち商品について取り上げていたのでご紹介します。
コロナ禍による外出自粛で苦境に立たされた外食産業ですが、ある企業ではその窮地をお取り寄せ商品に救われました。
今でも5000人が発送待ちとまさに見えない行列をつくる戦略を取材しました。
焼肉矢澤 東京(東京・中央区)、最高級の黒毛和牛が売りです。
サーロインの矢澤焼きは1800円からです。
昨年9月のお客の入りは約9割(前年比)とコロナ前の活気が戻りつつあります。(番組放送時)
しかし緊急事態宣言中は一時休業、再開直後の客数は約5割と苦戦しました。
焼肉矢澤の料理長、中屋猛さんは次のようにおっしゃっています。
「お店自体に問題があれば解決策を考えられますが、どうにも出来ないところが不安になりますね。」
その厳しい時期、ある商品が会社を支えたといいます。
それが“焼肉のふりかけ”です。
白いご飯にかけるだけで自宅で手軽に高級焼肉店の味が楽しめると人気に火が着きました。
焼肉矢澤を運営している精肉卸業者、ヤザワミートの副社長、東海林一紀さんは次のようにおっしゃっています。
「コロナ禍という窮地を救ってくれた一品だと。」
ネット通販限定の商品、昨年9月に注文したお届け日はなんと今年の4月、半年待ちです。
東海林さんは次のようにおっしゃっています。
「現在、大変お待ちいただいているような状況ですね。」
「一個一個手作りにこだわって作っていますので。」
現在約5000人のお客の見えない行列をつくるこのふりかけ、その味の秘密とは何でしょうか。
東京・港区、商店街の一画にある建物に入ると、そこでは巨大な肉が切り分けられていました。
ここはヤザワミートの工場です。
東海林さんは次のようにおっしゃっています。
「(この肉は)ブランドでいうと神戸牛、日本が誇る最高のお肉。」
「一つの特徴としては脂の良さ。」
「この部屋は10℃以下なんですけど、その中でもどんどん脂が溶けていってしまう。」
「こういうお肉が口に入れた時に口溶けの良さにつながる。」
ここで切り分けた肉を都内の高級レストランや焼肉矢澤など自社が運営する飲食店に卸しています。
“焼肉のふりかけ”の味の秘密は肉のプロがこだわるその素材にあります。
使用するのはサーロインやカルビなど脂がよく乗った部位ではなく、赤身の部分が多い「うで肉」です。
東海林さんは次のようにおっしゃっています。
「腕の部分はよく動かすのですごくうまみの詰まった部分なんですね。」
「焼肉のタレと併せた時にタレに負けないような肉のうまみががっちり合わさって、ご飯のうま味、肉のうま味がしっかり伝わるようなふりかけになります。」
この「うで肉」に加え、うま味が強く、食感お異なるすね肉をミンチにします。
生姜や玉ねぎなど保温野菜をいためたところに身びきした肉とタレを入れて煮込めば完成です。
更に焼肉の味をより引き立てるのがセットになっている秘伝のカリカリです。
材料はニンニクやジャガイモ、焼き肉ならではの香ばしさを再現させるものです。
商品のセット内容も肉2瓶、カリカリ1瓶、2対1でかけるのがお勧めの食べ方です。
外出自粛の中でも焼き肉店の味を楽しめると話題になり、緊急事態宣言中は1ヵ月に約6000件もの注文が入りました。
東海林さんは次のようにおっしゃっています。
「自宅で食べるものとしてのニーズはあるんだろうと思っていましたけど、ここまで伸びるとは正直思っていなかったです。」
このふりかけをきっかけに、ヤザワミートではネット通販を強化、豚肉を使った手ごろな
価格の商品、焼売(6個入り)、価格972円を新たに開発するなど、外食の不透明感が続く中、巣ごもり消費を取り込む狙いです。
東海林さんは次のようにおっしゃっています。
「卸や飲食だけでなく、オンラインも一つの柱としていきたいと思います。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
私も番組を観て、是非一度この“焼肉のふりかけ”をご飯にふりかけて食べてみたいと思い、1月12日にネット通販で注文したところ、なんと発送予定日は7月30日でした。
ですからそれまでは我慢です。
さて、番組を通して思いついたことを以下にまとめてみました。
・とても魅力的な商品であれば、多少高価でも、また商品が届くのがかなり先でも消費者はその商品を注文してくれること
・今やSNSなどネットを通して、短期間のうちに魅力的な商品の情報は拡散すること
・今やどんな小さな企業でも、また販売店を持てなくてもアマゾンなどの通販サイトを通して広範囲で自社の商品を販売出来ること
・誰でもどこからでもネット通販を通して気軽にこうした商品を容易に購入出来ること
・ネット通販は、コロナ禍による外出自粛、および“巣ごもり消費”という新たな生活様式をきっかけにマーケットとしての役割を大幅に拡大していること
・既存のデパートや専門店などもコロナ禍をきっかけに新たな販路としてネット通販に本格的に取り組み始めたこと
今回のコロナ禍は多くの企業を大変な苦境に追い込んでいます。
また当分の間はこうした状況を続くと見込まれます。
そうした中にあって、ただ手をこまねいているだけでは存続はとても危ういのです。
しかし、こうした状況においても生き残り戦略はあるのです。
それは競合他社にはない優れた商品、あるいはサービスの提供です。
焼肉矢澤による最高級の黒毛和牛というとてもの魅力的な商品のネット通販での成功はその証しの一例と言えます。
先ほどもお伝えしたように、他を圧倒する優れた商品、あるいはサービスを提供すれば、ネット通販を通して全国展開することが出来るのです。
そしてその評判はSNSを通して瞬く間に多くの顧客の心を捉えることが出来るのです。
ということで、繰り返しになりますが、コロナ禍は他を圧倒する優れた商品、あるいはサービスの提供によりピンチをチャンスに変える千載一遇のチャンスと言えるのです。
ですから、是非コロナ禍を前向きに捉えて、アイデアは存在し、見つけるものであるという言葉を信じて、千載一遇のチャンスに積極的に取り組んでいいただきたいと思います。
このチャンスを生かすことが出来れば、コロナ禍の終息後の成長も期待出来るはずです。