2020年12月15日
アイデアよもやま話 No.4826 アーム×エヌビディア=DXの加速!

9月14日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でエヌビディア(NVIDIA)によるアーム(Arm)の買収について取り上げていたのでご紹介します。 

 

4年前、2016年7月、当時アーム社(イギリス)の買収を発表した翌日、ソフトバンクグループ(SBG)の孫会長兼社長は、当番組に出演し、次のようにおっしゃっています。

「(今回は失敗出来ない投資ということですが、)もうここ(アーム社への投資)に僕の夢とロマンと命を賭けてやると。」

 

IoT時代、そのIoTの主役になる会社がアームであると、夢のようにうれしい興奮の真っただ中だと孫さんはおっしゃっていましたが、あれから4年、ネヌビディア(アメリカ)に売却することになりました。

今回の提携の意味合いについて、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「まずネヌビディアという会社なんですけどもAI、人工知能が強いわけですよね。」

「一方で、アームなんですけども半導体の基本設計で一頭地を抜いているということですね。」

「その2つが合わさるとDX(デジタルトランスフォーメーション)革命の先頭を行けるんじゃないのかということは思惑としてあると思います。」

「それで孫さんのSBGなんですけども、(アームの)株式を売却して資金が入るだけではなくて、エヌビディアに対する株式の取得が出来るというのが大きいわけですね。」

「つまり、アームは手放してもエヌビディア経由でその2つの連合体についての影響力を持てるというメリットが株式上で評価されたんじゃないでしょうか。」

「(気になるのが、SBGが株式の非公開化、上場廃止の議論を再開する方針であると報じられていますが、)要はアームとエヌビディアがSBGの中核的な保有企業になるとしても、やっぱり投資会社って分かりにくいじゃないですか。」

「株式市場からやっぱり評価が低くなっちゃうんですよね。」

「だったら、どこかからお金を入れて非上場化しようという議論が出てくるのは分かる。」

「だけど、どこからお金を入れてくるのかというのは大いなるクエスチョンマークだと僕は思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

滝田さんの指摘されているように、DXの中核技術と言われる半導体の先端技術を有するアームの持ち株を売却し、その資金で同じくアームを買収したAIの先端技術を有するエヌビディアの株を購入して大株主になったSBGですが、そこにはDXの持つ将来的に大きな可能性に賭ける孫さんの並々ならぬ意欲が感じられます。

ちなみに、ロボットについては既に2017年にアメリカのロボット開発会社、ボストン ダイナミクスを傘下に収めていまます。

 

孫さんは、講演の場で、よく「自分はIT革命におけるそれぞれの業界の最も将来性のある企業に投資し、それらの企業群をあたかも指揮者のごとく、自分がプロデュースして、それぞれの企業の持つ良さを結び付けて潜在能力を最大限に引き出す」といったような趣旨のお話をされております。

 

これまで日本の企業は、個別の技術でのモノづくりにおいては強さを発揮してきましたが、先端技術を最大限に活用してサービスとして総合的に展開していく、こうしたビジネスモデルを発案して展開していくタイプの経営者はとても少なかったと思います。

しかし、今やインターネットをベースに、AIやロボット、IoT、そしてセンサーといったテクノロジーはどんどん進化し、これらの組み合わせによりDX、あるいはデジタル革命といわれるように、これまでの産業構造がガラリと大転換する流れがどんどん大きく、速くなっているのです。

しかも、こうした構造は、経済のグローバル化を増々加速させていきます。

そして、とても残念ながら前回もお伝えしたように、今のところ日本はこうした取り組みの後発組になっています。

 

そうした中、SBGの孫さんのようなタイプの経営者は貴重な存在と言えます。

ということで、特に若い人たちには、第二、第三の孫さんを目指して、世界中の先端企業を束ねて思う存分に自在にプロデュース出来るような存在、あるいはある特定分野で世界ナンバーワンと言われるようなベンチャー企業の経営者になって欲しいと思います。

また、孫さんはこうした成長性のあるベンチャー企業を選別する鋭い眼を持っているので、きっとそういう企業には資金提供をしてくれるはずです。


 
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