7月16日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)で松枯れ防止装置について取り上げていたのでご紹介します。
松の木を食い荒らす害虫を駆除するには、これまでは薬剤を使うのが主流でしたが、今薬を使わない画期的な方法が注目を集めています。
環境や生態系に影響を与えないその方法とはどんなものでしょうか?
松の木が枯れるのを防ぐ画期的な装置が実用化に向けて検証されています。
松は景観や防風林、山の土壌流出防止などに役立っていますが、問題となっているのが松が枯れる病気です。
その原因は、松に寄生する線虫とそれを媒介し松を食い荒らす害虫のカミキリムシです。
森林総合研究所の研究者は問題解決のためカミキリムシの調査に取り組んでいました。
ある日、昆虫には鳥などの天敵の接近を振動で感知する能力があることを知りました。
閃いたのはその時です。
「それなら木に振動を与えれば天敵だと思って逃げ出すんじゃないだろうか。」
調べると、カミキリムシの足に振動を検知する感覚器官があることを発見、2010年には松の木に取り付ける振動発生装置の開発に成功しました。
農薬を使わず、生態系への影響も少ないため、他の害虫への応用も期待されているのです。
松枯れ防止装置は振動を感知する昆虫の習性を巧みに利用していました。
ということで、今回のアイデア方程式はカミキリムシ×振動=松枯れ防止装置でした。
解決を急ぐ人は駆除を選ぶかもしれません。
しかし、それでは根本的な解決にはなりません。
まず敵を知る、それが予想もしなかった方法を生み出しました。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して、あらためて問題解決にはその原因分析がとても重要であることを再認識しました。
しかし、問題解決の根本原因を突き止めるのは容易ではありません。
今回ご紹介した松枯れ防止装置もカミキリムシの調査に取り組んでいて、たまたま昆虫には鳥などの天敵の接近を振動で感知する能力があることを知ったことから解決の糸口を見つけたのです。
また解決方法は一つではありません。
現に今でも松枯れなどの防止のためいろいろな種類の殺虫剤が販売されています。
しかし、環境への負荷などを考慮すると、殺虫剤は最善の解決策とは言えません。
こうしたことから解決案が一つ見つかったとしても、その他にいくつか代替案を検討してみて、より根本的な解決案を解決策として取り入れることが必要なのです。