2020年10月22日
アイデアよもやま話 No.4780 中国・武漢で今起きていること!

10月5日(月)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で新型コロナウイルスの感染源、中国・湖北省武漢の近況について取り上げていたのでご紹介します。

 

中国では建国記念日にあたる国慶節の大型連休の真っ最中、旅行や帰省で延べ6億人以上が移動すると予想されています。

中でも旅行先として人気なのが新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した湖北省の武漢です。

現地では感染拡大を抑え込んだというアピールが行われる一方で、家族を亡くした人たちによる政府の責任を問う声は封じられようとしています。

 

その武漢では新型コロナウイルスの感染が世界で最初に拡大、1月に都市の封鎖が行われました。

一時は医療崩壊の状態に陥り、感染者は5万人余り。3800人を超える犠牲者を出した末に4月8日、封鎖は解除されました。(中国当局の発表)

それから間もなく半年、武漢の店内では若者たちが「3密」の状態でマスクを着けずに踊っています。

9月には中国当局が外国メディアなどを対象に取材ツアーを開催、安全だと大々的に宣伝し、負のイメージを払拭する狙いがあるものと見られます。

 

街の賑わいの一方、新型コロナウイルスで家族を失った人たちは当局への怒りを募らせています。

その一人、帳 海さんは今年1月中旬、骨折した父親を武漢の病院に入院させたところ、父親は2月1日に感染によって亡くなりました。

張さんは当時、急速に感染が拡大していたのに当局が隠ぺいしていたと考えています。

張さんは次のようにおっしゃっています。

「もし武漢の感染状況が重大だと知っていたら絶対に父親を武漢には連れて行っていない。」

「そのことを思うたびに(当局に)強い憤りを覚える。」

 

一方、政府の責任を問い続ける遺族もいます。

楊 敏さんの一人娘は別の病気の治療で武漢の病院を訪れた後、ウイルスに感染して亡くなりました。

楊さんは国営テレビが当初ウイルスについて、デマを流した人たちを警察が取り調べたなどと伝えていたことから感染の危険性は高くないと考えてしまったのです。

楊さんは次のようにおっしゃっています。

「後悔している。」

「テレビを見なかったらよかった。」

 

当局による隠ぺいが娘を死に追いやったのではないか、遺影を持って政府の建物の前に座り込んで訴えましたが、当局により遺影を取り上げられました。

楊さんは次のようにおっしゃっています。

「感染状況を隠ぺいした武漢市の当局者は一体誰で、なぜそのようなことをしたのか。」

「最低でも遺族に説明するべきだ。」

 

情報交換をしている遺族の多くは当局からの圧力を恐れ、声を上げられない状況だということです。

 

日常を取り戻しつつある町、遺族の悲痛な訴えはかき消されようとしています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

アメリカのトランプ大統領を始め、多くの先進国は中国の習近平国家主席が武漢での新型コロナウイルスの感染拡大の初期に拡大阻止に向けて早期に取り組んでいればパンデミックは引き起こすことはなかったと主張しています。

一方、習近平国家主席は、中国は適切に対応して来たと報じられています。

しかし、この番組を通して次のことが言えます。

・感染者が発生した初期にその事実を隠蔽し、デマを流した人たちを警察が取り調べたなどと伝えていたことから中国国民の中には感染の危険性は高くないと考え、武漢の病院で診察を受け、そのために感染者が増えてしまったこと

・今も感染して身内を亡くした遺族の一部は当局の責任を追及していること

・しかし、当局はこうした遺族に対して圧力を加え、声を上げられない状況であること

 

なお10月12日付けネットニュース(こちらを参照)では以下のように報じています。

 

・中国湖北省武漢市で新型コロナウイルスにより父(76)を亡くした遺族男性が12日までに、習近平国家主席に宛てて、市政府が中央政府や市民に情報を隠し「多くの罪のない人の命を失わせた」と訴え、法的責任を負わせるよう求める書簡をインターネット上で公開したが、当局が情報規制したとみられ、書簡は即座に削除された。

・中国政府はこれまで習氏の「指揮」したコロナ対応を自賛し、情報公開で「いかなる遅れも隠蔽もなかった」としている。

・当局はコロナ対応を批判した知識人や共産党員も相次ぎ拘束、処分された。

 

こうした事実から、明らかに市政府が感染初期にその事実を隠蔽したり、デマを流したと言われる人たちを警察が取り調べるのではなく、感染拡大阻止に向けて取り組んでいれば、今のような世界的パンデミックにはつながらなかったと言えます。

しかも、新型コロナウイルスの発生源や感染拡大を巡り、オーストラリアが独立調査の必要性を主張して以来、中国が激しく反発し、オーストラリアへの人やモノの動きに次々と圧力をかけ、両国関係は悪化の一途をたどっていると6月13日付けネットニュース(こちらを参照)で報じられています。

 

中国発の新型コロナウイルス感染により、いまだにパンデミックが拡大している中で独立調査の必要性を主張したオーストラリアに激しく反発し、しかも圧力をかけている習近平国家主席の責任は重大と言えます。

こうした一面を見るだけでもやはり中国は覇権国家を目指していることが伺われます。

 

更に、中国はアメリカが大統領選でバタバタしており、日本も菅新政権の誕生間もない、その間隙を突いてか、10月4日付けネットニュース(こちらを参照)では以下のように報じています。

 

中国政府は沖縄県の尖閣諸島について、中国固有の領土だと主張する博物館をインターネット上に開設し、領有権の主張を強めるねらいがあるとみられます。

 

こうした中国の動きを見ると、人権軽視、覇権主義、領土拡大に突き進む唯我独尊の習近平国家主席に対しては、世界一の大国、アメリカを中心にして共同して阻止することが求められます。

ですから、アメリカの次期大統領が誰になろうと、この一点についてだけはしっかりリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 

問題解決の要諦は、例えてみれば、病気は出来るだけ早期に治療することです。

放置していれば病状は悪化し、治療は増々困難になるのです。


 
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