2020年10月13日
アイデアよもやま話 No.4772 香港国家安全維持法の実態、および中国政府の詭弁!

7月6日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で香港国家安全維持法の実態について取り上げていたのでご紹介します。

 

反政府デモなどを規制する香港国家安全維持法が施行されてからメディアの前に姿を現さなかった民主化運動のリーダーの一人、周庭、アグネス・チョウさんが7月6日にテレビ東京の単独インタビューに応じました。

アグネスさんは7月6日の午後(日本時間)、香港の裁判所に出廷しました。

昨年6月のデモを扇動したなどの罪に問われ、裁判が続いています。

この中でアグネスさんは罪を認めたことを明らかにしました。

 

7月1日に施行された香港国家安全維持法ですが、学校などでは民主派リーダーの著書が閲覧禁止になるなど、言論の自由への圧力が強まっています。

アグネスさんたちは6月末、所属する政治団体「デモシスト」を解散しましたが、香港の現在の動きを懸念しています。

アグネスさんは次のようにおっしゃっています。

「今、香港国家安全維持法によって外国メディアや外国社会との交流、そして例えばスローガンを叫ぶことも犯罪となったということ、私たちの権利が弾圧されることがますます増えることになると思います。」

 

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「キーワードを挙げるとすれば、CHILLING EFFECTって言うんですけども、萎縮効果ですよね。」

「どういうことかと言いますと、要するに言いたいことが言えなくなっちゃうんです。」

「真綿で首を絞めつけられるような状況が今香港で起こっていると思います。」

「(具体的にはどういったことが起きているのかという問いに対して、)まず中国と香港当局は、懲罰の対象はごく一部だと言っているわけですけれども、これは一方的な言い分としか言いようがなくて、今実際に起こっているのは捕まえた人のDNAを採取しているんですよね。」

「これははっきり言って、重罪犯扱いしているのと同じですから、これがまさに行動を萎縮させる最たるものですね。」

「こういう実態を僕らはきちっと見定めなきゃいけないんだと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

また、7月13日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で香港の人権問題について取り上げていたのでご紹介します。

 

この問題については世界各国から人権侵害だと中国は批判されていますが、これに対して中国政府は内政干渉だと反発しています。

こうした状況について、解説キャスターで日本経済新聞 編集委員の滝田洋一さんは次のようにおっしゃっています。

「この問題に対する答えははっきりしていると思うんです。」

「実は国連の世界人権会議(1993年)でこういうこと(「全ての人権の促進・保護は国際社会の正当な関心事項であること」)を参加国が申し合わせているんです。」

「要するに中国もそれに同意しているんだったら、内政干渉なんて言えた義理ではないんですよ。」

「(国際社会は見て見ぬふりをしてはいけないということではという指摘に対して、)そう、僕らも声を発するところはちゃんと発しないといけないというお話だと思いますよ。」

「(今回、日本も明確に批判をしているのではという指摘に対して、)はい、そう思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

なお、9月26日(土)付けネットニュース(こちらを参照)では、中国当局が新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で取り壊したモスク(イスラム礼拝所)は約16000に上っていると報じています。

 

まさに、信仰の自由の侵害です。

 

習近平国家主席の率いる中国共産党による一党独裁政権の目指す方向性は“まず中国共産党ありき”で、香港も含めた中国国民の思想や信仰の自由は許さない方針です。

一方で習近平国家主席は、世界制覇を成し遂げ、中国を中心とした国際社会の実現を目指していると見られます。

しかも、中国政府の意に沿わない他国の意見に対しては徹底して内政干渉と主張し、反発しています。

 

しかし、滝田さんの指摘されているように、国連の世界人権会議(1993年)で中国も人権の重要性について参加国として同意しているのですから内政干渉は詭弁に過ぎず、まさに“言行不一致”と言わざるを得ません。

この点についてこそ、アメリカを始め、自由主義陣営の国々は強く中国に対して追求すべきだと思うのです。

 

仮に習近平国家主席の率いる中国が世界制覇を成し遂げた場合、どのような国際社会になってしまうかについて、少なくとも自由主義陣営の国々はもっと深刻に考えるべきだと思います。

同時に、今やまぎれもない大国となった中国の習近平国家主席には、ひたすら覇権を目指すのではなく、国際社会の一員としてどうあるべきかについて真剣に考えていただきたいと思います。

このまま人権軽視の状態が続けば、いずれ中国は国際社会から孤立してしまいます。

それは、中国共産党の敗北につながります。

なぜならば、中国国民の暮らしに大きな影響を及ぼし、多くの国民による政府に対する反発が無視出来ないほど強まるからです。

 

しかし、このことについて、とても不安材料があります。

中国は以前から国連に加盟している途上国への開発支援をしてきて、途上国の多くは中国の意向に異を唱えることが出来ず、その結果香港国家安全維持法には国連加盟国の半数以上はこの法律に賛成しているというのです。

中国は戦略的にこれまで途上国への開発支援に取り組んできて、いま功を奏しているわけです。

 

どのような理念を掲げる国においても、人権侵害は許されるべきではありません。

ですから、人権軽視を標榜するというこの1点において、世界各国は中国に対して一致団結して取り組むべきなのです。


 
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