2020年06月22日
アイデアよもやま話 No.4675 日本版CDCの必要性!

2月27日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で日本版CDCの必要性について取り上げていたのでご紹介します。 

 

日本医師会の横倉 義武会長が日本版のCDC(Centers for Disease Control and Prevention)、アメリカ疾病対策予防センターが必要だと提唱されておられるということについて、番組コメンテーターで日本総研 チェアマンエメリタスの高橋 進さんは次のようにおっしゃっています。

「このセンターには専門家がいて、文献だとか過去のデータだとか経験をちゃんと集めて、緊急時には経験をもとにして非常に適切な指導力を発揮するんですよね。」

「で、これを聞いて思い出したのは、実は大災害の時にもアメリカはFEMA(フィーマ:Federal Emergency Management Agency)、連邦緊急事態管理庁があって、役割を果たすんですよ。」

「なので、日本も異常時とか緊急時にはそういうセンターみたいなものを作った方がいいんじゃないかと思うんですけども。」

「私も提案したこともあるんですけども、日本はそういう新しい省庁をつくることをものすごく嫌がるんですけどね。」

「だけどやっぱり指導的な役割を果たす組織をつくった方が私はいいんじゃないかということをあらためて提案したいと思うんですけどね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

高橋さんの指摘について、もう少し詳しい情報が知りたくなり、ネット検索してみた結果を以下にCDCに焦点を当ててまとめてみました。

4月15日(水)付けのネット記事(こちらを参照 「Voice」2020年5月号に掲載された内容)でCDCも含めて新型コロナウイルス関連について伝えていたので以下にその一部をまとめてみましたが、ざっとでも全文お読みになるのをお勧めします。

なお、この記事の執筆者はイギリス キングス・カレッジ・ロンドンの渋谷 健司教授です。

・日本版CDCが機能するためには、三つの条件がある。まず、自己完結した軍隊的組織であること。次に、ガバナンス的に独立したプロ集団であり、科学が政治に左右されることなく提言ができること。そして、インテリジェンスとロジスティックスにおいて圧倒的なリソースをもつこと、である。この三つを満たす組織は、日本には存在しない。

そのために、本物のCDCをめざすのは、政治的にも行政的にも極めてハードルが高い。軍事大国である米国や中国などを参考にするのではなく、韓国、台湾、イスラエルなどのように、インテリジェンス機能を重視した組織なども検討に値するのではないだろうか。筆者が一番恐れることは、厚労省の付属機関になり、役人の天下り組織になってしまうことである。組織で肝心なことはハコではなく、人である。

・また、政治と科学の分離も必要であろう。米国CDCは保健福祉省に属しているが、科学的提案のための意思決定は独立している。日本の場合、新型コロナウイルスの専門家会議は官邸につくられており、その機能は不明瞭だ。どのように科学的検討と政治を切り離すかはわが国の健康危機対応においては大きな課題である。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

そもそも日本版CDCは必要かと問われれば、必要だと思います。

ただし、私の考えるCDCの役割は以下の通りです。

・今回の新型コロナウイルスを含めた過去のウイルス感染の原因、感染経過、各国の対応策/被害状況のまとめ

・ICT(情報通信技術)の最大限の活用

  感染状況の数値化に必要な基準の統一

  感染状況の予測システムの確立

感染状況とそれに対する対応レベルとの紐づけ

  上記に照らしての感染状況の把握、およびタイムリーな公開

  国民や企業へのタイムリーな給付金や必需品の配布システムの確立

テレワークやオンライン授業などのインフラ整備

・感染拡大による人的被害と経済的な損失とのバランスを考慮した対応プロセスの最適化の検討

・最適なウイルス対策組織の検討

  政府、地方自治体、およびCDCの役割の明確化

  ウイルス関連の第一線研究者、および経済政策の専門家の参画

・新型コロナウイルス終息後の再発防止策の検討

・ウイルス対応のワクチン、および治療薬の開発状況の把握、および開発完了後の利用可否の検討、および国への報告/提言

・継続的なウイルス感染の世界的な状況の把握、および国へのタイムリーな報告/提言

 

特にICTの活用については、他の国々に比べて驚くほど遅れているように思います。

そのため、アベノマスクや給付金などの配布に人力投入と時間がかかっているのです。

こうした面での政府の新型コロナウイルスへの取り組みは、冗談ではなく40年ほど前の業務プロセスを思い起こさせます。

ICTの活用に対する安倍政権の不十分な取り組みこそマスコミやジャーナリストによりもっと追及して欲しかったと思います。

 

なお、こうした役割が曖昧のままCDCのような組織を新設してしまうと、記事の中でも指摘されているように、役人の天下り組織になってしまうリスクが出てきて、税金の無駄遣いになってしまいます。


 
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