2020年06月08日
アイデアよもやま話 No.4663 手塚治虫のAI漫画誕生の意味するもの!

2月26日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で手塚治虫のAI漫画について取り上げていたのでご紹介します。

 

“漫画の神様”と評される手塚治虫が亡くなって30年、講談社で2月26日に手塚治虫の新作発表会が開かれました。

AIの新たな挑戦です。

手塚治虫の残した作品、700点、描いた原稿15万枚、生命とは、科学とは、未来を見つめながら問い続けました。

 

AIと人間が協力して手塚治虫の新作を作るという今回のプロジェクト「TEZUKA2020」は、半導体大手の旧東芝メモリが昨年12月にキオクシア株式会社と社名を変更したのに伴うキャンペーンの一環として始まりました。

AI漫画はどう作られているのでしょうか。

 

まず、キオクシアの高速メモリーを使い、AIにこれまでの手塚作品の流れや登場人物を読み込ませます。

そこからAIが手塚作品の特徴を生かしたストーリー案を考え、キャラクターを描きます。

このAIが考えた原案をもとに人間が手を加えて完成させました。

ただ実際の作業は困難を極めたといいます。

公立はこだて未来大学の迎山 和司さんは次のようにおっしゃっています。

「まず、「これが顔だよ」というのを教えてあげなきゃいけない。」

「そのためには1個や2個じゃなくて、1万単位ぐらいデータを集める作業を学生にお願いしました。」

「(学生は)辛い、辛いってずっと言っていました。」

 

AIにとって、漫画の顔は線としてしか捉えられなかったのです。

そこで新たな方法として実際の顔写真を読み込ませることで、AIに人間の顔を認識させました。

すると徐々に精度があがり、手塚作品らしい主人公が決まりました。

名前は「ぱいどん」、手塚治虫の息子さんでプロジェクトの主要メンバーである手塚プロダクションの手塚 眞さんは、AI漫画の可能性に胸を膨らませます。

そして、次のようにおっしゃっています。

「プロの漫画家のためというよりも、素人がちょっと漫画を作ってみようという時に使う、そういうアプリのようなものに利用出来るのではないか。」

「みんなが漫画を書いたり、読んだりする習慣が残ると、これは漫画文化全体が未来に残っていく。」

 

手塚治虫のAI漫画は2月27日発売のコミック誌「モーニング」で前編掲載、後編は制作中といいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通してまず感じたのは、人の「顔」一つとっても、それをAIに認識させることはとても大変な作業であるということです。

しかし、「TEZUKA2020」ではこの大変なハードルを飛び越え、手塚作品らしい「顔」の誕生まで行き着いたのです。

 

近い将来、特定の人物や生物、あるいは一つひとつのモノをAIに認識させることにより、リアルやバーチャルの世界を無限に表現出来る時代の到来を感じます。

更に手塚 眞さんの指摘されているように、素人でも実在の人物や漫画の登場人物に似せた人物などを登場させて自在に自分のイメージを表現させることが出来てしまうアプリの登場も期待出来ます。

そうした時に、一方で肖像権の保護などいろいろな課題が出てきそうです。

ですから、先行してこうした課題の解決が求められます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています