2020年04月04日
プロジェクト管理と日常生活 No.636 『“緊急事態宣言”はすぐにでも出すべき』

本日は地球温暖化問題の最新状況についてお伝えするつもりでしたが、急きょ新型コロナウイルス関連の内容に切り替えることにしました。

4月3日(金)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)で“緊急事態宣言”について取り上げていたのでご紹介します。

 

新型コロナウイルスに日本で感染が確認された人は、空港の検疫で見つかった人やチャーター機で帰国した人なども含めて、全国で3003人となり、3000人を超えました。

1日の新たな感染者は午後7時の時点(放送時点)で227人と4日連続で200人を超えています。

 

一方、専門家グループは人と人との接触を8割削減した場合、収束に向かうとするシミュレーションをまとめ、対策の必要性を指摘しています。

 

東京都は新たに10代から80代までの89人の感染の確認を発表しました。

89人のうち6割に当たる55人は今のところ感染経路が分かっていないということです。

都内で感染が確認されたのは合わせて773人になりました。

爆発的な患者の増加、オーバーシュートを防ぐ重要な局面とされる東京、対策の強弱で感染者数にどんな違いがあるのか、専門家がシミュレーションをしました。

国のクラスター対策班メンバーでもある北海道大学の西浦 博教授などのグループは、対策を取らなかった場合、緩やかな外出の自粛要請で人と人との接触を2割減らした場合、そして強い外出制限をかけて接触を8割減らした場合で、人口10万人当たりの1日の新たな感染者数を分析しました。

 

新規感染者数のシミュレーションのグラフでは、東京は流行が始まってから10日〜2週間ほど経った状況に当てはまるといいます。

この時点で、対策の強弱の違いで感染者数に大きな違いはありません。

差がつくのは流行開始から30日後、今から2〜3週間経った時期です。

対策を取らなかった場合と接触を2割減らした場合はいずれも爆発的な患者の増加を防ぐことは難しいとしています。

一方、強い外出制限をかけて接触を8割減らした場合は感染が終息に向かうとしています。

西浦教授は次のようにおっしゃっています。

「感染の増加を防ぐことが難しくなってきましたので、約8割の行動制限をすることが必要になると考えております。」

「おおむねヨーロッパで行われている行動制限というのが8割程度の行動制限するものに相当すると考えられています。」

「どんどんと速いスピードで感染者数が出てきて、医療の崩壊する時期に立たされるということを考えれば、出来るだけ早く強固に対策をしておくことが必要だと思っています。」

 

こうした状況において、安倍総理は“緊急事態宣言”について4月3日の参議院本会議で次のように述べました。

「現時点でまだ全国的、かつ急速なまん延という状況には至っておらず、ギリギリ持ちこたえている状況にあり、必要な状況になれば躊躇なく“緊急事態宣言”を行う所存です。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

以前にもお伝えしたように、リスク対応策はリスクが顕在化する前の早い時期に対応策に着手していれば、リスクが顕在化してもそれほど大きな影響を受けずに済みます。

一方、リスクの顕在化が間近になって対応策の着手が遅くなれば遅くなるほど大きな影響を受けるというのがリスク管理の常識です。

 

さて、今回の新型コロナウイルスについて、専門家による新規感染者数のシミュレーションではまさに強い外出制限をかけて接触を8割減らすことが現時点で必要だという結果が出ているのです。

最近、他の有識者の方々の中でも同様の発言をされているようです。

 

ところが、安倍総理は「現時点でまだ全国的、かつ急速なまん延という状況には至っておらず、ギリギリ持ちこたえている状況にある」とおっしゃっているのです。

ということは、安倍総理は、オーバーシュート(爆発的な患者の増加)が顕在化した時点で“緊急事態宣言”を発令するつもりであるというように受け取れます。

これは、リスク管理の考え方をはき違えているように思えます。

もし、本当に安倍総理がこのようにお考えであるならば、感染経路が不明な感染者の割合の増加によるオーバーシュートに突入するリスクはとても高くなります。
しかもその時期はこれから2〜3週間後です。
更にそれ以前に感染者の増加は医療崩壊をもたらす可能性が高いと言われています。


しかし、一国の総理なのですから、当然こうした基本的な考え方をお持ちだと思います。

ですから、何か裏に公に出来ないような事情があるのかもしれません。

そうであれば、明確にそうした事情を国民に分かり易く説明していただきたいと思います。

一つ考えられるのは経済的な多大な影響ですが、何よりも大切なのは人の命です。
でも今も毎日感染者数は増えている状況なのですから、きちんと国民に説明すれば、少なくとも半数以上の国民の理解は得られるはずです。
また、空振りに終わったとしても、だからと言って現状から見れば国民からの非難はあまりないと思うのです。


とうことで、リスク管理の常識に照らせば、安倍総理はすぐにでも“緊急事態宣言”を発令し、強い外出制限をかけるべきだと思うのです。


 
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