6月25日(火)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)でアマゾンの森林破壊の与える世界的な影響について取り上げていたのでご紹介します。
ブラジルのアマゾナス州ワイキルのある集落には17家族、108人が暮らしています。
彼らの暮らしは今もほとんどが自給自足です。
毎日のように森に入り、食料などを調達します。
集落に住むある男性は次のようにおっしゃっています。
「これはクンナンの木です。」
「皮をお茶にしたり、水に入れて飲む。」
「体が痛い時にとてもよく効く。」
「私たちの先祖は森を守るために戦って、死んでいった。」
「今は私たちが戦い続ける時だ。」
森の恵みを糧に伝統的な生活を続ける先住民たち、熱帯雨林が破壊されれば暮らしていけなくなると考えています。
先住民たちは開発を進めようとする政府から森を守らなければならないといいます。
専門家は、ブラジルのボルソナロ大統領が先住民保護区の開発を許可し、熱帯雨林の伐採が進んだ場合、地球全体の温暖化が加速し、生態系に取り返しのつかない影響を与えかねないと警告します。
国立アマゾン研究所のアルナルド・カルネイロ・フィーリョ研究員は次のようにおっしゃっています。
「今の政権は破壊的なシナリオを書いている。」
「森林が破壊され続ければ、先住民保護区は危機にさらされる。」
「アマゾンの森林破壊が30%に達したら、世界に大きな影響を与えるだろう。」
ボルソナロ大統領はG20サミットにも出席する予定です。
国内外で批判が高まっているアマゾン地域の開発ですが、ボルソナロ大統領はアメリカのトランプ大統領にも共同開発を呼びかけていて、先住民族保護区の見直しを今後も進めていく方針を示しています。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
また、8月26日(月)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)でも同様のテーマで以下のように伝えています。
アマゾンは地球の酸素の約20%を生み出すことから“地球の肺”とも呼ばれる、世界最大の熱帯雨林ですが、記録的なペースで火災が起きています。
今回のG7サミットでも早急に支援を行うことで一致するなど、懸念が広がっています。
8月25日までに7万9000件の森林火災が発生、昨年の同時期に比べて82%と2倍近くまで増えています。
ですから、その熱帯雨林の喪失は地球温暖化を加速すると指摘されています。
煙の影響は遠く離れたブラジル最大の都市、サンパウロまで、飛行機の運行にも一部で影響が出始めています。
日本の約18倍もの面積を持つ、世界最大の熱帯雨林、アマゾン、未だに知られていない動植物も多く生息していると見られます。
なお、元軍人で差別的で過激な発言から“ブラジルのトランプ氏”とも呼ばれるボルソナロ大統領は今年1月の就任後、アマゾンの保護に積極的だったそれまでの大統領と打って変わって開発重視の姿勢を表明、今月にはアマゾンの森林破壊のデータを発表している国立研究所の所長を“嘘を流している”として退任させました。
こうした姿勢が森林火災の増加につながったと批判されているのです。
ブラジルではこの時期、家畜の放牧地を広げるために違法に森林火災を起こすこともありますが、“大統領が開発重視を強調した結果、現場の取り締りが緩くなった”というのです。
火災への対応について、ボルソナロ大統領は次のように発言し、物議をかもしました。
「人員が足りなくて、混とんとしている。」
「NGOに(政府をおとしめるために火を点けた)疑いがある。」
こうした対応に、国際的な圧力が高まります。
G7議長国、フランスのマクロン大統領は次のようにおっしゃっています。
「生物の多様性や温暖化対策のためにアマゾンを再生しなければならない。」
世界的な著名人の一人である女優、アンジェリーナ・ジョリーさんも次のようにおっしゃっています。
「熱帯雨林を守る必要は、誰もが認識してきた。」
「目先のビジネスより未来を優先すべきだ。」
こうした中、ボルソナロ大統領は今月24日になって軍など4万4000人を消火活動に投入しました。
しかし、火災の範囲は広く、効果に懐疑的な声も上がっていて、火災が収束する目途は立っていません。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
地球上の資源の有限性や資源の適切な使用について語るため、地球を閉じた宇宙船にたとえて“宇宙船地球号”という言葉が使われています。
この“宇宙船地球号”という閉じられた空間において、人為的なCO2排出量の増加や一部の地域の広大な森林破壊などが永久凍土の溶け出し、あるいは海水温の上昇などをもたらし、これらが更に地球全体の温度上昇をもたらすというように、今や地球環境は悪循環の中に入っているのです。
そして、これまでお伝えしてきたように地球温暖化は異常気象や巨大台風など様々な弊害をもたらしています。
そうした中、番組でも伝えているようにアマゾンは地球の酸素の約20%を生み出すことから“地球の肺”とも呼ばれています。
この広大なアマゾンの森林破壊が進んでいるのです。
アマゾンの森林の開発行為・破壊行為によってアマゾンは、もとの面積の15%を既に失ったといわれます。
大規模に森を失ったアマゾンは、いま急速に乾燥化が進んでいます。
アマゾンの森林破壊の現状の詳細についてはこちらを参照下さい。
そして、番組でも指摘しているように、アマゾンの森林破壊が30%に達したら、世界に大きな影響を与えるだろうと言われています。
ですから、このままアマゾンの森林の開発行為・破壊行為が進めば、ブラジルのみならず世界全体に更なる地球温暖化の影響が及ぶのです。
ですから、アマゾンの森林破壊対策についてもブラジル政府にだけ任せるのではなく、世界各国が協力して取り組むべきなのです。