3月23日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で”富士山大噴火”のシミュレーションについて取り上げていたのでご紹介します。
富士山で大規模な噴火が発生した場合、どのように火山灰が広がるのか、国の検討会がシミュレーションを公表しました。
今回のシミュレーションは時間を追って計算されているのがポイントです。
検討会の主査である、東京大学の藤井 敏嗣名誉教授は次のようにおっしゃっています。
「必ず富士山は噴火しますから、いつかっていうことは分からないけど間違いなく噴火は起こります。」
富士山が最後に噴火したのは、300年余り前の江戸時代です。
それが「宝永噴火」、大量の火山灰で大きな被害が出ました。
国の検討会が公表したのは、その「宝永噴火」と同規模の大噴火が発生した場合のシミュレーションです。
噴火が15日間続いたことを想定し、風のデータは昨年12月を基にしています。
富士山の近くの静岡県御殿場付近では1時間に1〜2cm程度の灰が降り続き、最終的には1.2m程度にも達するとしています。
80kmあまり離れた横浜市付近では1時間に1〜2mm程度の灰が断続的に降り、最終的には10cm程度積もる見込みです。
90km以上離れた新宿区付近、噴火から12日目まではほとんど灰は降りません。
ところが13日目以降に1時間に最大1mmほどの灰が降り、最終的には1.3cmほど積もるとしています。
このシミュレーションを監修した、神奈川県温泉地学研究所の萬年 一剛主任研究員は次のようにおっしゃっています。
「時間によってどうのように変化していくかが分かるというのが今回のシミュレーションの優れているところですね。」
「それに沿った降灰の除去とか避難計画を立てるアイデアがいろいろ出てくると思うんですね。」
検討会では、“火山灰がわずか数ミリ積もっただけでも影響が出る”という想定が示されました。
クルマは1mm以上積もると、速度が30km程度まで落ちるとしています。
タイヤが空回りしてしまうからです。
10cm以上で通行出来なくなります。
鉄道はレールが火山灰に覆われると、電気で制御されている列車の運行システムなどに障害が起きる恐れがあります。
藤井名誉教授は次のようにおっしゃっています。
「数センチでも火山灰が東京で降ったら、それを全部取り除かない限り、飛行機も飛ばない、電車も動かない、どういう影響があるか、それに対してどこまで対策出来るか、将来的には考えていきたいと思っています。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
今回ご紹介した”富士山大噴火”のシミュレーションと通して分かったことを以下に要約してみました。
・富士山の近くの静岡県御殿場付近では最終的には1.2m程度にも達すること
・横浜市付近では最終的には10cm程度積もること
・新宿区付近でも最終的には1.3cmほど積もること
・クルマは1mm以上積もると、速度が30km程度まで落ち、10cm以上で通行出来なくなること
・鉄道はレールが火山灰に覆われると、電気で制御されている列車の運行システムなどに障害が起きる恐れがあること
・数センチでも火山灰が東京で降ったら、それを全部取り除かない限り、飛行機も飛ばない、電車も動かない状況になること
番組では移動手段に焦点を当てた被害のリスクを伝えていました。
この被害だけでも、物流や交通など移動手段の影響はかなり大きいものと見込まれます。
実際には、その他にも農作物や太陽光発電にも大きな影響が出るはずです。
しかし、最大の影響は富士山のすそ野付近の溶岩や噴石による被害です。
いずれにしても、時期は未定ながら必ず富士山は噴火するということは分かっているのです。
ですから、今回公表されたシミュレーションの結果を参考に、国、あるいは各自治体は時系列での対応策を検討しておく必要があります。